珈琲道場 マジックビーン講座
珈琲道場
Q&A方式で
珈琲を深く理解するコーナーです
1.キングスコーヒーの珈琲と紅茶について
2.アイスコーヒーの入れ方 その1
3.アイスコーヒーの入れ方 その2
4.コーヒーゼリーの作り方
5.カフェ オ レの入れ方
6.エスプレッソコーヒー その1
7.エスプレッソコーヒー その2
8.エスプレッソコーヒー その3
9.エスプレッソコーヒー その4
10.エスプレッソコーヒー その5
11.マジックビーン その1
  (マジックビーンってな〜に?)
12.マジックビーン その2(7月11日に更新)
  (マジックビーンって知ってる?
13.マジックビーン その3
  (マジックビーンを楽しむ法は?)
14.抽出濃度 その1
15.抽出濃度 その2
16.焙煎について
17.ドリップコーヒーの美味しい入れ方 その1
18.ドリップコーヒーの美味しい入れ方 その2
19.ロトの穴の影響について
20.コーヒー豆袋のふくらみ
21.コーヒーの新豆
22.コーヒーのドリップ抽出 その1
23.コーヒーのドリップ抽出 その2
24.コーヒーのドリップ抽出 その3
25.コーヒーのドリップ抽出 その4
26.ブラジル式コーヒー
27.コーヒーのドリップ抽出 その5
28.コーヒーのドリップ抽出 その6
29.コーヒーのドリップ抽出 その7
30.味覚の話(1)
31.味覚の話(2)
32.テイスティング考
33.ナチュラルということ その1
34.ナチュラルということ その2
35.アペラシオンについて
36.保存について
37.解説:ドリップコーヒー抽出に関する実   験的研究の手法と概要
38.公開講座・コーヒー学入門を聴講して
39. 「コーヒーの美味しい・まずい」
40.「コーヒーの美味しい・まずい」その2

41.「コーヒーの美味しい・まずい」その3
42.焙煎という言葉
43.ブレンドという言葉
44.抽出という言葉
45.味という言葉・味覚という言葉
46.煎りたてと言う言葉
47.煎りたてコーヒーってな〜に?
48.解説:コーヒーの抽出メカニズムに関する実験的研究の手法と概要
49.後味という言葉・後口と言う言葉
50.最初のブレンド
51.茶せんでカプチーノ
52.コーヒーの泡
53.コーヒー豆袋について
54.カッピング・ジャッジについて
55.トルココーヒーの話

2013.8.2.

珈琲道場 55 トルココーヒーの話
豆太君 トルココーヒーの話をしてください。
Mr.キングス

ルココーヒーの話
―トルコでトルココーヒーを飲むー

 2013526日から63日にかけて、文明の交差点と言われているトルコを旅行した。エフェスの古代都市遺跡〜バムッカレの石灰棚〜ギョレメのカッパドキア奇岩〜イスタンブールのトプカピ宮殿やバザールなどをめぐった。日本では見られないところを見学し、世界の三大料理と言われているトルコ料理を楽しむこともさることながら、本場のトルココーヒーを飲むことが大きい目的の一つであった。
 トルコの各地を旅行して感じたことを一口でいうと、トルコの国は面積が広く、歴史も古く、農産物や果実も豊かで、食事もおいしい。発展途上にあり、潜在能力のある国ということである。
 エフェスの古代都市遺跡は、ギリシャの遺跡を思わせるものであった。まだ発掘途中だということであったが、規模の大きさに眼を見張った。世界遺産に相当すると感じた。
 バムッカレの石灰棚は美しい風景で、石灰の白と水(温泉)の透明感のある薄いブルーが印象的であった。
 ギョレメのカッパドキア奇岩はまさに奇岩と言うべきものであった。さまざまな形があり、自然の造形の妙を感じた。
 カッパドキアの農民のかたの石の家でご馳走になった紅茶はもてなしの心がある美味しい紅茶であったし、カッパドキアのトラサンワインも軽い中に味のある後味の良い美味しいワインであった。

 以下に本題のトルココーヒーについて書く。
 本場トルコのトルココーヒーは3回飲んだ。カップは小さいデミで、トルココーヒーの味はいずれも苦みも酸味もすくなく、あっさりしたものである。料理の後にはぴったりであった。
 トルココーヒーはカップに注いだコーヒー液の表面全体に膜ができるのが上手な淹れ方のようである。私が飲んだ3回のうち2回はカップの表面全体にコーヒーのきれいな薄い膜が出来ていた。しかし1(空港のお店)はコーヒーの薄い膜の一部が壊れていた。プロでも膜をカップの表面全体に作るのは難しいようだ。飲んだ後、またカップの中をみると、コーヒーの粉がかなり残っていた。
 自宅で試そうとジャズべとトルココーヒーの粉を買った。トルココーヒーの粉は非常に細かく、ココアの粉のような微粉である。実際にジャズべに粉と水で入れ、3回泡立ちさせて、カップに注いだ。できたトルココーヒーの味はトルコで飲んだものと大きな差はないと感じた。しかしカップ表面全体にきれいな膜をつくるのは難しく、10回くらい試行錯誤を試みたが表面の膜の一部が壊れてしまい、一回も表面全体にきれいな膜をつくれずに終わった。トルココーヒーを完璧な状態で入れることは大変難しいことがわかった。
 なお、今のトルコでは紅茶が幅をきかせ、コーヒーはすこし影が薄いように感じた。トルコでは通常は紅茶を飲み、トルココーヒーは特別なときに飲むということだった。

(参考)
トルココーヒーの入れ方(2人用):
1.以下を用意する
  コーヒー豆(2人用)10〜12
    ブレンド(例:ブラジルベースとおもわれる。)
    焙煎の強さ(ミィデアムロースト)
    粉の粗さ(ココアのような微細分)
  水(2人用):100〜120cc
  器具:ジャズべ(2人用)
  カップ:デミカップ 2
2.トルココーヒーを淹れる
   ジャズべ(2人用)に粉10~12gと100〜120ccをいれ、直火の弱火にかける。あわが吹きあがり、吹きこぼれる直前に火から遠ざけ、泡を鎮める。これを3回繰り返す。(沸騰させてはいけない)3回目が終わったら、ジャズべからカップに3回に分けて注ぐ。泡がコーヒー液全面にできるようにする。
3.トルココーヒーを飲む
   くせがなく、さっぱりとした味。
   料理の後にぴったり。
   コーヒーを飲んだ後に粉が残る。

                       2013714日 衛藤正徳()


2011.11.14.(2012.12.03.修正、2013.04.19.写真挿入)

珈琲道場 54 カッピング ジャッジ(Cupping Judge)について
豆太君 カッピング ジャッジについて説明してください。
Mr.キングス
カッピング ジャッジ(Cupping Judge)は、
 医学では吸角法のこと。
 珈琲では、珈琲鑑定における重用な作業で、抽出したコーヒーを吸い込み、口に含み、その香味を判定(鑑定)し、ランク付けをすること、あるいはするもの。
 ブラジルとSCAAのカッピング ジャッジが有名。
 SCAAのカッピング ジャッジは正式にはSCAA公認カッピング・ジャッジ(SCAA Certified Cupping Judge)という.。SCAAはスペシャルティ・コーヒー・アソシエイション・オブ・アメリカ(全米スペシャルティ・コーヒー協会)のこと。またカッピング・ジャッジは珈琲鑑定士のこと。
  ちなみに、私(衛藤正徳)は2006年にSCAA公認カッピング・ジャッジの資格を得ています。なお、父・六蔵が1931年(昭和6年)にブラジルの公認カッピング・ジャッジ(珈琲鑑定士)の資格を得ているので、親子2代がカッピング・ジャッジの資格を得たということになります。
     2011.11.14.(2012.12.03.修正)
        キングスコーヒー 衛藤正徳(記 )
 
 私(衛藤正徳)が2006年に得たSCAA公認カッピング・ジャッジの資格証明書

2011.5.8.

珈琲道場 53 コーヒー豆袋について
豆太君 コーヒー豆袋について説明してください。
Mr.キングス

 コーヒー豆をいれる袋にはいろいろな種類がありますが、キングスコーヒーではこれまで豆袋の宅配用包装としてこれまで脱酸素剤入り真空包装を使用してきました。最近、アロマシール包装が新しく開発されました。

 焙煎したての珈琲豆はその瞬間から炭酸ガスを発生します。珈琲豆を挽くと炭酸ガスの量は短時間に大量に発生します。炭酸ガスの発生する量は豆の種類、焙煎の仕方、温度・湿度などの環境条件によって異なりますが、最初の2日間でその2/3位が発生します。これまでの脱酸素剤入り真空包装では炭酸ガスの発生量が許容量以上の場合にはすべての炭酸ガスを吸収できず、豆袋が多少膨らむ事がありました。

次にアロマシールの原理について説明致しましょう。
 さてアロマシール包装では袋の中の炭酸ガス、酸素などの気体を自動的に袋外に排出するガス抜きアロマシールを使用しています。前述したように焙煎したての珈琲豆はその瞬間から炭酸ガスを発生します。豆袋の中の圧力が炭酸ガスで大きくなると、袋の中の炭酸ガスを主体とした気体は自動的に袋の外に排出されます。炭酸ガスの発生が終了とともに袋の中は炭酸ガスで満たされた状態でガス抜きも終了します。すなわち気体の排出は袋の中の圧力と袋の外の圧力が同じ位なると自動的に止まります。コーヒー豆は焙煎後すぐに袋に充填しますので、袋の中は主として炭酸ガスで満たされ、劣化の原因ともなる酸素等の気体が排出された状態で保存され、新鮮さが保たれます。

                  キングスコーヒー2011.5.8.衛藤正徳(記)


2009.7.8.

珈琲道場 52 「コーヒーの泡」
豆太君 コーヒーを抽出するときに出来る「コーヒーの泡」について説明してください。
Mr.キングス

コーヒーの泡について説明します。

先日、お客様から、ドリップ抽出するとき、泡が出たり、出なかったり、またコーヒーがフワツと饅頭のように膨らんだり、膨らまなかったりするのは?という質問をいただきました。

以下にその答を書きます。

まずドリップ抽出における泡の生成には次のような傾向がみられます。
1.コーヒーの泡の元である気体(主として炭酸ガス)はコーヒー豆を焙煎すると生成されます。
2.この気体(主として炭酸ガス)はコーヒー豆の内部の空隙に捕捉され状態で存在すると考えられます。
3.コーヒーの泡は、コーヒー豆の空隙に含まれている気体(主として炭酸ガス)が抽出時にお湯と置換され、発生すると考えられます。
4.気体の発生は煎りたてのコーヒーのときに最大となり、時間が経過するにしたがって減少します。コーヒーの泡の発生も同様に、煎りたてのときに最大となり、時間が経過するにしたがって減少します。すなわち、煎りたてのコーヒーは泡が多く発生し、時間が経過した古いコーヒーは泡の発生が少なくなります。
5.また、コーヒーの煎り方が強いと気体の発生が多く、泡の発生も多くなり、膨らみも大きくなり、煎り方が弱いと気体の発生が少なく、泡の発生も少なく、膨らみも少なくなる傾向にあります。
6.お湯が熱いほうが気体の発生が多く、泡の発生も多くなり、膨らみも大きくなる傾向にあります。
7.蒸らしをしたほうが気体の発生が多く、泡の発生も多くなり、膨らみも大きくなる傾向にあります。
8.お湯が粉全体にかかれば気体の発生が多く、泡の発生も多くなり、膨らみも大きくなります。
9.コーヒーの粉の大きさは小さいほうが気体の発生が多く、泡の発生も多くなり、膨らみも大きくなります。
以上のようにコーヒーの泡の生成にはいろいろな条件が影響することがわかります。
このことがドリップ抽出においてコーヒーの泡がたくさん出たり出なかったり、また泡の形がいつも同じでなく、違った形となって現れる理由と考えられます。

                    2008.7.8.キングスコーヒー 衛藤正徳(記)


2008.5.19.

珈琲道場 49 「後味という言葉・後口と言う言葉
豆太君 「後味という言葉と後口と言う言葉」について説明してください。
Mr.キングス

1.後味という言葉
   新明解国語辞典によると、1、食べた後に舌に残る感じ。2、何かが済んだあとに当事者・関係者に与える感じ。の二つの説明がある。味覚の分野では前者の「食べた後に舌に残る感じ」。

2.後口という言葉
   新明解国語辞典によると、1、飲んだり、食べたりしたあとで、その物の味が口の中にいつまでも残ること。2.あとの順番。先口の逆。の二つがある。味覚の分野では前者の「飲んだり、食べたりしたあとで、その物の味が口の中にいつまでも残ること」。

 後味と後口という言葉を比べると、ほぼ同じような表現と捉えてよいようであるが、ニュアンスに若干の違いがある。

                   キングスコーヒー2008.5.13.衛藤正徳(記)

参考1.新明解国語辞典(三省堂)


2008.3.22

珈琲道場 48 解説:コーヒーの抽出メカニズムに関する実験的研究の手法と概要
豆太君 コーヒー文化学会の雑誌「コーヒー文化研究」に掲載された次の小論文について解説してください。「コーヒーの抽出に関する研究、とくにコーヒー抽出のメカニズムの考察」
Mr.キングス

はじめに
筆者の研究成果の報告として、以前に「解説:ドリップコーヒー抽出に関する実験的研究の手法と概要」について書きましたが、今回は「コーヒー抽出に関する研究、とくにコーヒー抽出のメカニズムの考察」についての研究手法と概要を報告したいとおもいます。

1.なぜこの研究を行なったか?

ドリッパーを用いたドリップ抽出は家庭で日常的におこなっています。研究を始めた最初の動機はお客様の言葉です。自分では同じように入れたつもりなのに毎回抽出液の落ち方が早かったり、遅かったり、変化しているとか、コーヒーが昨日は美味しくはいったのに、今日は美味しく入らなかったとかいう話や、疑問をお客様から言われたのがきっかけです。これまでは家庭で一般に行なわれているドリップ抽出におけるドリッパーの穴数の問題やろ紙の目詰まりの問題を研究してきました。このようなドリップ抽出の場合、その対象はコーヒー粉体粒子の集団です。このような条件下ではコーヒー粉体粒子群全体の抽出現象を知ることができますが、個々のコーヒー粉体粒子の抽出現象を知ることが出来ません。コーヒーの抽出の本質を知るためには、個々のコーヒー粉体粒子の抽出メカニズムを実験的に明らかにする必要があると考えました。そこで今回の研究を行ないました。

2. 研究のやりかた

私は大学の専攻が化学工学で、吉野先生(故人)の、研究室の下でろ過のメカニズムの研究を行ないました。基本となる「メカニズム」を研究することの重要性を認識いたしました。そこで簡単でも良いから「コーヒー抽出メカニズム」の実験を行い、現象を観察し、データにもとづいて考察することが必要だと思いました。今回は個々のコーヒー粉体粒子に着目してバラバラ実験と袋詰め実験を行い、次のような実験報告書のような小論文を書きました。

3.論文内容の概要

コーヒーはいまや第3位のシェアーを占めている世界的な飲料です。また私達はコーヒーを何気なく抽出して、何気なく飲んでいます。私はコーヒーの抽出の定義を「コーヒーの抽出とはコーヒー豆と水あるいはお湯のような液体を接触させて、コーヒー豆から液体に一つ以上の成分を引き出すこと」と考えています。しかしコーヒーがどのように抽出されているか、成分がどのような順序で抽出されているか、ということについて科学的なデータにもとづいた知見が得られているとは言いがたいのが現状です。そこで、浸漬抽出法について抽出メカニズムに関する研究を試みることにしました。
 本稿では浸漬抽出法で簡単なコーヒー抽出実験を行い、抽出過程の観察を行なうとともに抽出メカニズムの考察を行ないました。まず、コーヒー粒子のばらばら実験でコーヒー粒子をばらばらの状態でお湯に投入する実験を行い、観察しました。次に、コーヒー粒子の袋詰め実験でコーヒー粒子を袋に入れて棒に固定してお湯に投入する実験を行い、観察しました。これらの実験結果から、コーヒーの抽出メカニズムについて以下の考察が得られました。
 すなわち、コーヒー粒子あるいは粒子群を液体(お湯)に浸漬すると、沈降する粒子と浮上する粒子とに分かれます。沈降する粒子の場合、粒子と液体が接触した時、液体がコーヒー粒子の表面をまず濡らし、さらに粒子内の細孔(空胞)に進入します。このとき気体と液体の置換がおこなわれると推察されます。。そしてコーヒー粒子表面と内部の細孔でコーヒー成分が液体中に溶解し、拡散・対流するものと考えられます。一方、浮上した粒子は時間経過とともに沈降しますが、濡れにくく、沈みにくい傾向にあります。油脂の影響が考えられます。浮上した粒子は混合攪拌すると沈降しやすくなります。また混合攪拌によって抽出が促進されると考えられます。コーヒーの抽出過程は非常に複雑です。この考察の内容についてはさらに議論と実験的検証が必要です。


1.参考文献
(1)コーヒー文化研究 第10号 2003年12月発行 コーヒー文化学会
   (ドリップ抽出に関する研究その1)
(2)コーヒー文化研究 第13号 2006年12月発行 コーヒー文化学会
   (ドリップ抽出に関する研究その2)
(3)吉野善弥 化学装置 P47 1978年 1月号
(4)吉野善弥ら 工業用水 第226号 P23 (昭和52年7月)
(5)  オール・アバウト・コーヒー:ユーカーズ、UCC訳(TBSブリタニカ)
(6)コーヒーの事典:日本コーヒー文化学会編(柴田書店)
(7)珈琲の研究:井上 誠(健康之友社)
(8)珈琲求真:井上 誠(東京書房)
(9)珈琲の探求:伊藤 博(柴田書店)
(10)コーヒー小辞典:伊藤 博(柴田書店)
(11)珈琲と私:耕 八路(葦書房)
(12)コーヒー鑑定士検定教本:全日本コーヒー検定委員会(全日本コーヒー商工組合連合会)
(13)コーヒー抽出の技術:柄沢 和雄(柴田書店)
(14)コーヒーの世界 広瀬 幸雄(いなほ書房)
(15)コーヒー文化研究 第10号(2003年12月発行)
(16)エスプレッソ・その味と香り:国際コーヒーテイスタ―ズ協会編、広瀬幸雄訳(いなほ書房)
(17)コーヒー文化研究 第2号(1995年12月発行)
(18)コーヒー文化研究 第4号(1997年12月発行)
(19)コーヒーとフェアートレード 村田 武著 筑波書房
〈20)コーヒー焙煎の化学と技術 中林敏郎ら著 弘学出版
(21)基礎化学工学 化学工学会編 培風館
(22)コーヒー文化研究 第14号(2007年12月発行)
                                2008.03.22 衛藤正徳(記)


2008.2.20

珈琲道場 47 煎りたてコーヒーってな〜に?
豆太君 「煎りたてコーヒー」の定義について説明してください。
Mr.キングス

「煎りたてコーヒー」について説明しましょう。

1.煎りたてと言う言葉

コーヒー業界では良く使われる言葉に「煎りたて」と言う言葉があります。「煎る」と「たて」が合成された言葉です。国語辞典によると「煎る」という字は焙煎という言葉のところでも書きましたが、「いる」とよみ、「なべなどに入れて熱を加えながら水分を取り去る」という意味です。コーヒー豆についていえば焙煎を意味します。また「たて」という字は国語辞典によれば「ある状態が出現したばかりであること」と記載されています。

「煎りたて」と言う言葉をそのまま解釈しますと、「コーヒーの生豆から焙煎豆という状態が出現したばかりであること」ということができます。すなわち「コーヒーの生豆を焙煎した直後の焙煎豆」ということができます。焙煎した直後の焙煎豆の状態は加熱状態にあります。熱い状態のままでは使用することが出来ません。ある時間をかけて冷却してから使用することになります。したがって「煎りたて」といってもある時間経過した焙煎豆を実際には使用しているわけです。ここで問題になるのは焙煎してからどのくらい経過したものを「煎りたて」と呼ぶか?ということです。以上のことは説明するまでもないことかもしれませんが、あえて「煎りたて」と言う言葉の意味を考えてみました。

2.煎りたてコーヒーとは

まず煎りたてコーヒーの特徴ですが、香りと炭酸ガスの発生があります。これらは焙煎してから時間が経過するにしたがって消失していきます。炭酸ガスの発生と経時変化については沢田・泉谷の詳細な研究データ(文献4)があります。この研究によりますと、焙煎豆の状態で炭酸ガスは焙煎した直後から8日間くらい発生するようです。

さて前項で述べたように焙煎してからどのくらい経過したものを「煎りたて」と呼んだらよいか?ということですが、炭酸ガスを発生する期間とするのが合理的ではないかと考えています。沢田・泉谷の研究データを参考にすると、「煎りたて」の期間は焙煎豆の状態で8日間くらいとするのが妥当だろうと思います。しかし、さらにいろいろな条件について検討する必要がある。

           キングスコーヒー 2008.1.27.衛藤正徳(記)
参考文献
1.新明解国語辞典(三省堂)
2.旺文社漢和辞典(第五版)(旺文社)
3.広辞苑(第二版)
4.コーヒー文化研究No.3 P25 


2008.2.3

珈琲道場 46 煎りたてという言葉について
豆太君 コーヒーで使われている「煎りたて」とはどういう意味でしょうか?
Mr.キングス

煎りたて」という言葉について説明しましょう。

コーヒー業界で良く使われる言葉に「煎りたて」と言う言葉があります。「煎る」と「たて」が合成された言葉です。国語辞典によると「煎る」という字は焙煎という言葉のところでも書きましたが、「いる」とよみ、「なべなどに入れて熱を加えながら水分を取り去る」という意味です。コーヒー豆についていえば焙煎を意味します。また「たて」という字は国語辞典によれば「ある状態が出現したばかりであること」と記載されています。したがって、「煎りたて」は「コーヒーの生豆から焙煎豆という状態が出現したばかりであること」ということができます。簡単にいえば、「コーヒーの生豆を焙煎した直後の焙煎豆」と言い換えることができます。このようなことは説明するまでもないことかもしれませんが、あえて「煎りたて」と言う言葉の意味を考えてみました。

なお、煎りたてコーヒーの定義は次回の「煎りたてコーヒーについて」にかくことにします。  
                          キングスコーヒー 衛藤正徳(記)

参考1.新明解国語辞典(三省堂)
参考2.旺文社漢和辞典(第五版)(旺文社)
参考3.広辞苑(第二版)


2008.1.26

珈琲道場 45 味という言葉・味覚という言葉
豆太君 味という言葉と味覚という言葉の違いを説明してください。
Mr.キングス

味という言葉と味覚という言葉について説明しましょう

「味」という言葉

新明解国語辞典には1.舌が飲食物に触れた時に起こる感じ、2.体験しなければ分からない、そのものの感じ、3.外の何物でも出も置き換えることの出来ない、その物事の面白みの三つがあります。
 また広辞苑(第二版)によると、「味」の意味には1.「飲食物が舌の味覚神経に触れた時におこる感覚」、2.「体験によって知った感じ」、3.「かみしめて知るような物事のおもむき」、4.「一風かわっていて、気のきいていること(おつ)」、5.「手ぎわのよいこと」、6.「相場の動きぐあい」の六つがあります。
 「味を描く」の「味」は狭い意味としては「飲食物が舌の味覚神経に触れた時におこる感覚」であり、また、広い意味では「おもむきのある味」や「おつな味」という内容も含んでいると捉えるのが良いと思います。

「味覚」という言葉

新明解国語辞典によると、「舌などで感じる味の感覚」と記載されています。
また広辞苑(第二版)によると、「味覚器官に化学物質が刺激となって生ずる感覚」と記載されています。

「味」と「味覚」の比較

「味」と「味覚」の意味を比較すると両者は似ていますが、若干の違いがあります。「味」には「味覚」とおなじ意味もありますが、「舌に触れた感じ」というかなり漠然とした味の感じを有しており、より広い意味を含んでいるようです。一方、「味覚」は「味覚器官に生ずる感覚たとえば酸味・苦味・甘味などの感覚という科学的な感覚を意味していると捉えることができます。

参考1.新明解国語辞典(三省堂)
参考2.旺文社漢和辞典(第五版)(旺文社)
参考3.広辞苑(第二版)


2007.12.4

珈琲道場 44 抽出という言葉について
豆太君 コーヒーで使われている「抽出」とはどういう意味でしょうか?
Mr.キングス

「抽出」という言葉について説明しましょう。

コーヒー屋の世界ではコーヒーをいれることを「抽出」という言葉で呼んでいます。「抽出」を国語辞典で調べると、「サンプル・要素などを抜き出すこと」と説明されています。また、「抽」は「ぬく」と読み、「引き抜く」という意味です。「出」は「でる」と読み、「内から外へ行く」あるいは「表にあらわれる」という意味です。
 これをまとめると、「抽出」は「あるものから要素を抜き出して表に出す」という意味となります。また、広辞苑(第二版)で調べると、「抽出」には「ぬき出すこと、引き出すこと」という意味と「固体・液体からなる物質を、液体で溶解してとりだすこと」の意味があります。後者はまさにコーヒーの抽出の説明になっています。
 「抽出」に相当する英語を考えると、「extract」と「brew」の二つがあります。「extract」は「draw out by force」(引き抜く)、obtain from a substance(抽出する)、pick out(抜粋する)、derive(起源とする)という四つの意味があります。また「brew」には make beer(ビールを醸造する)、make tea or a drink by soaking(浸たすことによってお茶あるいは飲み物をいれる)、bring about(引き起こす)grow to ripeness(熟す)、impend(起ころうとしている)四つの意味があります。「extract」には引き抜くという意味はありますが、お茶や飲み物を入れるという概念はありません。「brew」には「お茶を入れる」という意味があります。コーヒーの事典(日本コーヒー文化学会編)に書かれているように、コーヒーの「抽出」という言葉の英訳は、「extract」でなく、「brew」が正しいと思います。
 以上からわかるように、日本語の「抽出」という言葉には、コーヒーをいれることの本質である「成分あるいは要素を抜き出す」(extract)という意味と「コーヒーをいれる」(brew)という意味が包含されています。私はコーヒーの抽出の定義を「コーヒーの抽出とはコーヒー豆と水あるいはお湯ような液体を接触させて、コーヒー豆から液体に一つ以上の成分を引き出すこと」と考えています。なお、コーヒーの事典(日本コーヒー文化学会編)の抽出の説明も参考にしてください。以上

              2007.9.10.キングスコーヒー 衛藤正徳

参考1.新明解国語辞典(三省堂)
参考2.旺文社漢和辞典(第五版)(旺文社)
参考3.NELSON’S SCHOOL DICTIONARY
     (THOMAS NELSON AND SON’S)
参考4.コンサイス英英辞典(三省堂)
参考5.広辞苑(第二版)
参考6.コーヒーの事典(日本コーヒー文化学会編)


2007.11.1

珈琲道場 43 ブレンドという言葉について
豆太君 コーヒーで使われている「ブレンド」とはどういう意味でしょうか?
Mr.キングス

「ブレンド」という言葉について説明しましょう。

「ブレンド」は英語では「blend」です。「blend」を英英辞典で調べると、「mix」という意味です。「mix」は「join together into one mass」という意味です。「ミックス」は「種類の違う物をまぜること」すなわち「混合」という意味です。
 一方、「ブレンド」は広辞苑や新明解国語辞典には掲載されていません。コーヒー屋の世界では「ブレンド」は「配合」と訳されています。「配合」は「調和するように幾つかの物を取り合わせるあるいはまぜ合わせる」という意味です。
 英語では「ブレンド」と「mix」を同じような意味で使っているようです。しかし日本語では「ミックス」と「配合」を明確に区別して使っています。
 コーヒー豆を単に混ぜる(混合する)のではなく、調和するように配合する場合に使う言葉としては「ミックス」でなく「ブレンド」のほうが良いと思います。
 またブレンドの場合にはなぜか外来語の「ブレンド」(英語のblend)と言う言葉が主として使かわれ、「配合」という言葉は従として使われています。「焙煎」の場合とは言葉の使い方が好対照です。私も「ブレンド」を使っています。
 私は「ブレンド」を「2種類以上のコーヒー豆を混合して、もとの味とは異なる新しい味の輪郭を描くこと」と定義しています。なお、「ブレンド」で重要なことは調和のとれた、個性のある、新しい味を創作することであると考えています。以上

2007.9.10.キングスコーヒー 衛藤正徳(記)

参考1.新明解国語辞典(三省堂)
参考2.旺文社漢和辞典(第五版)(旺文社)
参考3.NELSON’S SCHOOL DICTIONARY
    (THOMAS NELSON AND SON’S)
参考4.コンサイス英英辞典(三省堂)
参考5.広辞苑(第二版)



2007.9.12

珈琲道場 42 焙煎という言葉について
豆太君 コーヒーを焼くことを「焙煎」と呼んでいますが、なぜでしょうか?
Mr.キングス

焙煎という言葉について説明しましょう。

 珈琲豆を焼くということを日本語では「焙煎」とよんでいます。「焙煎」という言葉の意味を辞典で調べてみました。「焙煎」という言葉は広辞苑や新明解国語辞典にはありませんでした。次に「焙煎」を構成する「焙」と「煎」を調べてみました。まず、「焙」という字は「あぶる」と読み、「火を少し離して焼く」という意味です。また、「煎」という字は「いる」とよみ、「なべなどに入れて熱を加えながら水分を取り去る」という意味です。したがって、「焙煎」は「あぶって、いる」とうことで、「容器に入れて、火を少し離して、熱を加えながら、水分を取り去り、焼く」ということになります。

また、焙煎に相当する英語は「roast」です。英英辞典では「cook before fire」あるいは「heat too severely ]あるいは「parch]」という意味です。「roast」を簡単な日本語に訳すと「焼く、あぶる、煎る」になります。

焙煎の実際的な定義としては「焙煎とはコーヒー豆を焙煎機のような容器に入れて、加熱して、飲用に適する状態に変化させる熱的操作である」とするのが良いと考えています。コーヒー豆を焼くということをいつ、だれが「焙煎」と名づけたのでしょうか?実に上手く名づけたものだとおもいます。なずけ人を教えていただければ幸いです。以上

2007.9.10.キングスコーヒー 衛藤正徳(記)

参考1.新明解国語辞典(三省堂)
参考2.旺文社漢和辞典(第五版)(旺文社)
参考3.NELSON’S SCHOOL DICTIONARY
    (THOMAS NELSON AND SON’S)
参考4.コンサイス英英辞典(三省堂)
参考5.広辞苑(第二版)


2007.8.15.

珈琲道場 41「コーヒーの美味しい・まずい」ということ その3
豆太君 コーヒーの美味しい・まずいはどのような要素で決まるか?
Mr.キングス  コーヒーの美味しい・まずいがどのような要素できまるかを考えて、以下に書きました。ご意見をいただければ幸いです。

1.素材:
 まず、コーヒー生豆の品質が最初にあげられます。これはコーヒーの品種、栽培地、気候、土壌、水のやり方、肥料のやり方、保管方法などが影響すると考えられます。

2.焙煎:
 次にコーヒーの生豆をどのように焼くかがあげられます。コーヒー豆はマジックビーンと呼ばれるように、焙煎によって香味が変わるのは皆さんがご承知のとうりです。焙煎は浅煎り、中煎り、深煎りの3段階にを大きく分類することができます。浅煎りでは爽やかな酸味があり、中煎りでは個性のある酸味となります。苦味も少しづつ現れてきます。深煎りになると苦味が次第に強くなり、酸味はだんだんに少なくなっていきます。どの程度に焼き上げるかはコーヒー豆の種類、焼く人の個性(好み)、飲む人の個性(好み)、どのようなコーヒーを飲みたいか?などによって決まります。

3.ブレンド:
 そのあとがブレンド(配合)をどのようにするか?です。これもコーヒー豆の品質、焙煎の程度、ブレンドする人の個性、どような味を求めるか?などによって決まります。ブレンドをする上でなにが一番大切かというと、オリジナリティーとバランスです。もう少し説明するとコーヒーの香味に、良い香りがあり、味にオリジナリティーがあり、味のバランス(たとえば、酸味と苦味のバランスなど)がとれているかどうかです。

4.粉砕:
 抽出の前段階ですが、粉砕の程度によって、抽出の方法、そして抽出されたコーヒーの味が変わります。用いる抽出の方法や求めるコーヒーの味によって粉砕の程度を考える必要があります。また、用いる粉砕機(コーヒーミル)も重要です。

5.抽出
 さらに、コーヒーの味は抽出方法と抽出条件と抽出する人の個性で大体決まると考えてよいと思っています。抽出する人が味を描き、抽出方法と抽出条件が決まります。ドリップコーヒーを飲みたければドリップ抽出になり、エスプレッソコーヒーが飲みたければエスプレッソ抽出になるという具合です。両者の味が異なるのは抽出条件(温度、時間、その他)が異なるからで、ドリップ抽出でも抽出温度と抽出時間が異なれば味がことなります。さらに、ドリップ抽出では使用するろ紙の目詰まりの程度によって、抽出時間に変化が生じますので、味の変化はより大きくなります。抽出方法の特性を知り、ご自分が好きな味がどの抽出条件でえられるか?を知ることが重要です。

6.ふんいき
 最後にどのような時に、どのような場所で飲むかということも、味に影響を与えています。飲みたい思うときに飲むコーヒーは美味しいと思いますし、飲みたくないと思う時はあまり美味しいとは思いません。また、まる尾修三先生(まる尾飲料開発研究所)は金沢大学で行なわれた特別公開講座コーヒー学入門(2007.2.10)でコーヒーが美味しいと感ずる条件として、(1)知人と語らう時に飲むコーヒー、(2)外の風景が見えるところで飲むコーヒー、(3)天井が高い場所(喫茶店など)で飲むコーヒーの3つを挙げて説明されましたが、そのとうりであると思います。以上。

平成19年8月15日 キングスコーヒー 衛藤正徳


2007.5.26.

珈琲道場 40「コーヒーの美味しい・まずい」ということ その2
豆太君 スペシャルティーということについて
Mr.キングス

スペシャルティーと言う言葉を聞くと、英語ではSPECIALTYという文字が、紅茶の分野ではスペシャル ティー(SPECIAL TEA)という文字が、コーヒーの分野ではスペシャルティー・コーヒー(SPECIALTY COFFEE)と言う文字が頭に浮かびます。いずれにしてもスペシャルティーには「特別のとか素晴らしい」と言う意味が含まれています。前回の美味しい・まずいの評価基準ということからすると、これは美味しいという評価基準のひとつです。英語のSPECIALTYがどの範囲をSPECIALTYというのか?が問題になります。漠然とした感じで表現するのは簡単ですが、正確に表現しようすると難しいものです。

 コーヒーの味を評価する方法としては、アメリカスペシャルティーコーヒー協会/略称SCAA(クリスチャン・ウォルサーズ会長)の提案したスぺシャルティー・コーヒーの評価方法と基準(SCAAカッピングフォーム)が画期的なもので良い方法の一つであると思います。しかし、珈琲道場 32 (テイステイング考)でも書きましたように人間の舌(感覚)で評価するので、個人差などのばらつきの問題を含んでいて、まだまだ改善の余地のある方法だとおもいます。SCAA(アメリカスペシャルティーコーヒー協会)の評価方法はすでに発表され、使われていますので、ここで詳しく説明する必要はないと思いますが、以下にこの方法の要点を簡単に書いて参考に供します。

 1.容易するもの:200cc位のカップ、コーヒー(挽いたもの8g位)、お湯(150cc位)、データシートの4つ。(最低限必要なもの)
 2.標準とする水:ミネラル分として150〜200ppm含む水。
 3.抽出方法:浸漬法。
 4.カッピングの開始:コーヒー粉に注湯してから3〜4分静置後カップ上の泡を割り、カッピングを始める。
 5.カッピングの終了:お湯を注いでから終了までに必要な時間は1時間以上。
 6.評価項目:アロマ、フレーバー、酸味、ボディ、均質性、クリーンカップ、アフターティスト、バランス、甘み、オーバーオールなどの10項目。
 7.スペシャルティーコ−ヒーの基準:評価項目の合計点が80点以上のものをスペシャルティーコ−ヒーとしている。

参考:
1.SCAAニューカッピングフォーム新・味覚評価方式に関する特別講義
 SCAA技術委員会マネー・アルベス 帝飲食料新聞(2004年5月26日)
2.第2回SCAA公認CUPPING JUDGE 養成セミナー資料(2006年 4月)


2007.5.12.

珈琲道場 39 「コーヒーの美味しい・まずい」ということ
豆太君 「コーヒーの美味しい・まずい」は個人のか問題か?
Mr.キングス

先日、小学校時代からの友人と「コーヒーの美味しい・まずい」について議論になりました。この問題についてすこし書いてみようと思います。

「コーヒーの美味しい・まずい」というのは人間の感覚的表現ですが、突き詰めて考えていくと味覚の評価基準と選択の問題になると思います。たとえば私達は何気なく、このコーヒーは美味しいねとか、まずいねとか、言っています。これはコーヒーの味を評価しているわけです。私達は味について個人個人のベロメーターという評価指標と基準をもって「美味しい・まずい」を判定していると思います。そして飲むか、飲まないかを選択しているように思います。個人レベルではこれで良いと考えています。「食べられる・食べられない」のように生存を左右する問題ではありませんので・・・。しかし「美味しい・まずい」は判断をともなう人間の味覚の本質に基づいたものではないかと考えています。

また、社会生活の集団レベルでも「美味しい・まずい」が存在します。個人レベルと集団レベルとで「美味しい・まずい」の評価基準が同じとは限りませんが、たしかに多数が認める「美味しいとまずい」が存在します。人間には「美味しい・まずい」を判定する能力が本来の性質として備わっているように思われますが、集団レベルの「美味しい・まずい」の評価はできれば万人が納得する評価基準が必要です。この評価基準が定まると、個人を含めた集団全体の評価基準となります。従ってこの評価基準は感覚的に決めるのではなく、科学的な方法によって確立することが求められると考えています。コーヒー好きの皆さんも科学的にコーヒーの美味しい・まずいを評価する方法について一緒に考えていただければ幸いに思います。(衛藤正徳)


2007.2.19.

珈琲道場 38 公開講座・コーヒー学入門を聴講して
豆太君 2月10日に石川県金沢市で開催された公開講座・コーヒー学入門をMr.キングスが聴講してきました。その報告です。
Mr.キングス 演題のテーマは次の3つありました。
1.愛媛大学農学部教授 村田 武先生の「コーヒーと経済」
先生のお話をまとめると、「国際商品としてのコーヒー豆がテーマ。最近の世界のコーヒー生産量は1億1千万袋。世界の飲料では3番目のシェアーを占めている.開発途上国といわれる国で商品として提供できるのはコーヒーしかない。国際価格の変動と安値が生産国の農民とって課題。一つの解決方法がフェアートレード(公正貿易)。」ということになります。私見をいえば、売り手と買い手がきちんと話し合い、ギブ&テイクの関係を築くことが必要であると思っています。(2007.2.19.)
2.金沢学院大学知的戦略本部長・教授 広瀬 幸雄先生の「コーヒーの科学」
広瀬先生のテーマはコーヒーの美味しい・まずいそしてイヤミはどこにあるが主題。コーヒー豆の内部構造を顕微鏡写真で示し、概念図で示し、美味しい部分は内部の壁にあるという考え方を述べられました。私の考えとは違うところもありますが、じつに面白い考え方だと思いました。コーヒーは世界的な飲み物ですが、まだまだ分からないことがたくさんあるようです。いろいろな方が研究されるとよいと思っています(。2007.2.21.)
3.中国大連科学技術大学客員教授 まる尾 修三先生司会によるシンポジュウム「健康とおいしい飲み方」
まる尾先生の話しや質疑応答のときに、とくに印象に残ったことをまとめて書きますと、
コーヒーを飲んで美味しいと感ずる条件としてィ)知人と語らう時、ロ)高い天井のあるところで飲むとき、ハ)外の風景が見えるところで飲むときをあげたことと、ヨーロッパのオープン・カフェでお客が長居はをするのはなぜかという問に対して生活文化でしょうと答えたことです。参考になりました。(2007.3.28)

2007.1.7

珈琲道場 37 (解説:ドリップ・コーヒー抽出に関する実験的研究の手法と概要)
豆太君 コーヒー文化学会の雑誌「コーヒー文化研究」に掲載された下記の小論文について解説してください。
1.ドリップコーヒー抽出に関する研究その1
  とくにドリッパーの穴数に関する実験的研究
2.ドリップコーヒー抽出に関する研究その2
  とくにろ紙の付着と目詰まりの影響に関する実験的研究
Mr.キングス

はじめに

ドリップ抽出に関する研究報告第1報と第2報という研究小論文を書きましたが、皆様にはわかりにくいと思いますので、この論文の解説を書くことに致しました。なお、ご家庭ではこの論文に捉われず、ご自分のスタイルでお好きなように抽出されればよろしいと思います。

1.なぜこの研究を行なったか?

始めた動機はお客様の一言。自分では同じように入れたつもりなのに毎回抽出液の落ち方が早かったり、遅かったり、変化しているとか、コーヒーが昨日は美味しくはいったのに、今日は美味しく入らなかったとかいう話や、疑問をお客様から言われたのがきっかけです。

2. 研究のやりかた

ドリッパーを用いたドリップ抽出は家庭で日常的におこなっています。私は大学の専攻が化学工学で、研究室が吉野先生(故人)の下で沈降分離やろ過の研究をしていましたので、同じように入れても同じような抽出液をが得られないのはドリッパーの構造やろ紙の目詰まりに問題がありそうだとピンときました。それにドリッパーにおけるコーヒーの目詰まりについて記されたものが見当たらないようなので、とにかく簡単でも良いから実験を行い、現象を観察し、データにもとづいて考察することが必要だと思い、実験報告書のような小論文を書くことにしました。

最初にドリップ抽出も化学工学的な観点から捉えて見ようと思いました。また誰にでもできる簡単な方法でできないか?と考えました。それで、ドリップ抽出を抽出の工程とろ過分離の工程とに仮想的に考えて、抽出工程は浸漬法で行い、ろ過工程は浸漬法で得られたコーヒー懸濁液をドリッパーに注入して抽出液の透過時間を測定するというやりかたを考えました。

3.論文内容の概略

まず抽出に影響があると思われる因子を列挙しましたら、29項目もありました。たくさんのことがコーヒーの味に影響しています。この中で、ドリッパーの穴数の問題やろ紙の付着の問題や目詰まりの影響を実験的に調べました。

最初にドリッパーの穴数が抽出液の透過時間(抽出時間に相関)に影響するかどうかを調べたところ、1つ穴と3つ穴とでは抽出液の透過時間にはあまり差がありませんでした。抽出効果もあまり差がないと考えられます。

次にドリッパーのリブの効果(言い換えれば溝の効果)を調べました。ろ紙をセットしたドリッパーにお湯を供給して透過時間を測定すると、透過時間にばらつきが見られました。ろ紙の一部がリブの間の溝に付着していることと、その割合が変化することがわかりました。
さらに、ろ紙とドリッパーの間に有孔のスペーサー(格子状の網)を挿入したところ、透過時間が早くなり、均一化しました。

 次に、浸漬法で得られたコーヒー懸濁液(所定回数攪拌)をドリッパーに供給して、抽出液の透過時間を測定しました。今回の実験結果をまとめると、同一条件での透過時間の各平均値は79秒〜205秒の範位にわり、同一条件でもばらつきが存在していて、平均透過時間に対して(+−)25ポイントくらいあることがわかりました。この原因はろ過分離の観点から見ると、コーヒー粒子とその抽出成分によるろ紙表面上の目詰まりおよびその上に形成されたコーヒー粒子層の目詰まりであると考えられます。どちらが支配的かはまだはっきりしていません。このことから分かりますようにドリッパーを用いたドリップ抽出ではドリッパー内で非常に複雑な現象が起きていることは確かです。

最後に結論を簡単にまとめますと、この論文はコーヒーをドリップ抽出する時にドリッパー内で起こっている現象を調べたもので、その結果ドリッパー内では複雑な現象が起きていることがわりました。さらに実験的検討を行なってこの現象をすこしでも明らかにしていきたいと思っています。

(注)コーヒーのドリップ抽出は自然現象に属すると考えてよいと思います。実験データはおそらく統計学の正規分布に従うと考えています。本来なら統計学でデータを整理するのが良いと思いますが、データ数が少ないので、本論文では統計学的な処理は行ないませんでした。

1.参考文献
(1)ドリップ抽出に関する研究その1:とくにドリッパーの穴数に関する実験的研究(2)ドリップ抽出に関する研究その2:とくにろ紙の付着と目詰まりの影響に関する実験的研究
上記(1)、(2)はコーヒー文化学会の雑誌「コーヒー文化研究」に掲載された論文です。
(3)吉野善弥 化学装置 P47 1978年 1月号
(4)吉野善弥ら 工業用水 第226号 P23 (昭和52年7月)
(5)  オール・アバウト・コーヒー:ユーカーズ、UCC訳(TBSブリタニカ)(6)コーヒーの事典:日本コーヒー文化学会編(柴田書店)
(7)珈琲の研究:井上 誠(健康之友社)
(8)珈琲求真:井上 誠(東京書房)
(9)珈琲の探求:伊藤 博(柴田書店)
(10)コーヒー小辞典:伊藤 博(柴田書店)
(11)珈琲と私:耕 八路(葦書房)
(12)コーヒー鑑定士検定教本:全日本コーヒー検定委員会(全日本コーヒー商工組合連合会)
(13)コーヒー抽出の技術:柄沢 和雄(柴田書店)
(14)コーヒーの世界 広瀬 幸雄(いなほ書房)
(15)コーヒー文化研究 第10号(2003年12月発行)
(16)エスプレッソ・その味と香り:国際コーヒーテイスタ―ズ協会編、広瀬幸雄訳(いなほ書房)
(17)コーヒー文化研究 第2号(1995年12月発行)
(18)コーヒー文化研究 第4号(1997年12月発行)
以上


2006.11.11

珈琲道場 36 (保存について)
豆太君 お客さまからの「保存」に関する質問。「普段は200gぐらいずつ豆のまま購入し、冷凍庫に入れて保存しているのですが、500gだと使うまでに時間がかかり、味が劣化してしまうかなと買ってから思いました。そのようなことはないのでしょうか?」
Mr.キングス  コーヒー豆の味を保つためには酸化を防ぐことが基本です。実際的で最も良い保存方法は密閉容器にいれて、冷凍保存することです。冷凍保存の目安ですが、豆なら約2〜3ヶ月、粉なら3週間〜1ヶ月くらいは美味しく飲めます。ただ香りは徐々に変化していきます。また、冷凍庫から出したばかりのコーヒーは温度が零度以下に下がっているので、少し置いて常温くらいに戻ってから使うとよいです。すぐに使用するコーヒーは3日分くらいを密閉容器に小分けしておき、冷凍保存するものとは別に冷暗所に保管しておくと便利です。

2006.2.23.

珈琲道場 35 (アペラシオンについて)
豆太君 「アペラシオンとは?」
Mr.キングス  アペラシオンは日本語では原産地呼称統制と呼ばれています。
 ワインで始められた制度です。たとえばボルドーワインですが、ワインのビンに「APELLATION BORDEAOX CONTROLEE」 (フランス語で書かれているのでつづりがすこし違いますが)と記載されているのを見た方もあるでしょう。ボルドー産認定品というように訳してもよいでしょう。ボルドーという特定の地域で生産され、基準をパスしたワインであるということを保証するものです。
 
 最近、コーヒーでもセラードが2005年にアペラシオンとして認定されました。コーヒーの豆袋に「APELLATION CERRADO CONTROLEE」と記載されています。すなわち、セラードコーヒーはセラードという特定の地域で生産され、基準をパスしたコーヒーであることを保証する表示です。 セラードコーヒーがアペラシオンとして認定されたのは、セラードコーヒーのセミナー講演・資料から引用すると、次の4つ要件をみごとにクリアーしたからだそうです。1)地域性に特徴があること、2)生産基準が統一されていること、3)品質(味覚官能性)に特徴があること、4)トレーサビリティーがあること。なお、セラードがアペラシオンを取得するのに10年かかったというこですが、セラードでますます素晴らしいコーヒーを作り出してくれることを期待しましょう。

2006.1.22.

珈琲道場 34 (ナチュラルということ その2)
豆太君 「コーヒーの精製法としてのナチュラルは?」
Mr.キングス  コーヒー豆を作る精製法には水洗式と非水洗式がありますが、非水洗式(アンウオッシュド)で作られたコーヒー豆を「ナチュラル」と呼ぶ習慣があります。非水洗式(アンウオッシュド)は摘み取ったコーヒーの果実を乾燥床に敷いて天日で乾燥後脱穀してコーヒー豆を作る精製法。たぶん自然乾燥するところからつけられたのでしょう。なお、キングスコーヒーでは非水洗式はナチュラルと呼ばず、「アンウオッシュド」と呼ぶことにしています。

2005.12.21.

珈琲道場 33 (ナチュラルということ その1)
豆太君 キングスコーヒーの「ナチュラル」は?
Mr.キングス キングスコーヒーでは「ナチュラル」という言葉は「有機栽培されたJAS認証のコーヒー生豆を用いて当社で焙煎したコーヒー煎豆」に使用しています。

2005.12.20.

珈琲道場 32 (テイステイング考)
豆太君 テイスティングの結果の見方ついて?
Mr.キングス  コーヒーのテイスティングとは、コーヒーの鑑定においてコーヒーの品質を見極める、最後に行なう重要な検査で、コーヒーの味を識別することです。カッピングともいいます。日本酒では利き酒という言葉がありますが、コーヒーの味をきくことと言っても良いでしょう。
 カッピングの方法で現在最も優れていると思う方法は、SCAA(アメリカスペシャルティーコーヒー協会)のカッピング・メソッドでしょう。私もこの方法を参考にしてキングス・バージョンを作り、カッピングをおこなっています。これについてはいずれ紹介致しましょう。
 ここで書きたいことは、「コーヒーのカッピングの結果はそのまま鵜呑みにしないで、あくまで参考に」ということです。コンテストで順位がつけられますが、大きな傾向は変わるわけではありませんが、順位が前後するということはおおいに考えられます。
 何故か?結果にはつぎのようなことが内包されているからです。
1.カッピングは官能検査であるため、個人差のはいる余地があること。
2.あなたの好みの味ではないかもしれないということ。
3.カッピングは浸漬法なので、コーヒー液の微粒子(味覚の話2参照)も含めた香味を検査していること。
4.実際に飲まれるコーヒーはカッピングと違う方法と条件で抽出されているので、コーヒー液が同じではないこと。
イ)ペーパードリップ抽出ではろ紙でろ過するので、微粒子は大部分が除去されて、溶液としてのコーヒー液を味わっている。
ロ)エスプレッソではコーヒー液に微粒子はふくまれているが、極端に短い時間で抽出されている。
 金沢大学の広瀬先生は味を見る時、カッピング・テストと同時にドリップ・テストもするとおしゃっています。筆者もその一人です。これらのことを踏まえてカッピング・テストの結果を捉えることが大切だと思います。

2005.8.30.

珈琲道場 31 (味覚の話2)
豆太君 微粒子と味覚の関係について
Mr.キングス

コーヒーの微粒子と味覚の関係について説明しましょう。
  
  1.コーヒー液の味覚に影響する成分:

コーヒー液の成分は、大別すると微粒子と溶解成分から構成されています。微粒子はSS粒子とコロイド粒子からなり、水に懸濁した状態で存在します。溶解成分は水に溶解してイオンの状態で存在する化学物質です。微粒子であるSS粒子とコロイド粒子は物理的な味になり、溶解成分である化学物質は酸味、苦味、旨みの化学的な味になります。

また、コーヒー液の成分は抽出法で変わります。表1に浸漬抽出法とドリップ抽出法についてコーヒー液成分の関係を示します。

表1.各抽出法とコーヒー液成分の関係

SS粒子
(注1

コロイド粒子
(注2)

溶解成分
(注3

浸漬抽出法

あり

あり

あり

ドリップ抽出法

なし

一部あり

あり


この表にドリップ抽出法と浸漬抽出法のコーーヒー液の違いが示されています。ドリップ抽出では、コーヒー液はろ過分離されるので、微粒子がほ とんど含まれず、溶解成分主体の清澄な液体です。一方、最も単純な方法である浸漬抽出法では、コーヒー液は重力沈  降分離されているので、微粒子(SS粒子とコロイド粒子)が残っていて、少し濁った液体です。今後詳細に分析してみたいと思っています。

注1) SS粒子とは0.1ミクロン以上の、長時間放置すると沈殿する懸濁固形物粒子である。浸漬抽出法では放置時間が短いのでSS成分が含まれていると考えてよい。

注2)コロイド粒子とは10オングストロームから0.1ミクロンの長時間放置(たとえば24時間)しても沈殿しない粒子である。一例をあげるとデンプン、アルブミン、カラメルなどである。ろ紙は通過でるが半透膜は通過できないという特徴がある。コーヒーのペ−パードリップの場合、ろ過のメカニズムから考えてコロイド粒子もSS粒子といっしょに補足されている可能性が高い。

注3)溶解成分とは、水に溶解する化学物質である。一例をあげると有機酸とかカフェインである。

2.微粒子の有無と味覚の関係:

 コーヒー抽出液成分に含まれる微粒子(SS粒子とコロイド粒子)に焦点を当てて、微粒子の有無と味覚の関係を述べましょう。実際に抽出液をのんでみるとよくわかります。浸漬抽出法の味はまったりとしていて濃い。ドリップ抽出法の味はすっきりとしていてきれが良い。この違いが微粒子の有無によるものです。

参考事例:微粒子が味覚に影響する事例として「味噌汁」と「果汁(ジュース)」が良く知られています。

(イ)味噌汁(スープ):味噌汁には味噌が懸濁した状態で含まれています。スープでいうならポタージュです。このためなめらかな舌ざわりとコクのある味がでます。しかしろ過して懸濁した味噌の微粒子を除去すると、コンソメ風の味になることが知られています。

 (ロ)  果汁(ジュース):オレンジのようなフルーツをミキサーで砕いた果汁には細かいフルーツの粒が含まれていて、味噌汁と同じように舌ざわりよく、コクのある味です。しかしこれをろ過した果汁はすっきりとした味ですが、少しものたりない味なることを経験しています。

参考文献:食品の味 小原正美 光琳書院
        コーヒー焙煎の化学 中林敏郎 全日本コーヒー協会


2005.8.3.

珈琲道場 30 (味覚の話1)
豆太君 味はどこでどのように感じるのですか?
Mr.キングス

コーヒーを飲んで美味しいとか美味しくないとか、また酸味が強いとか弱いとか、さらにまたこくがあるとかないとか、私達はいいますが、食品の味とはなんでしょうか?人が味をどこで感じ、どのように認識するのか調べてみました。

1.物理的な味と化学的な味
「食品を口に含んだときの感覚」を総称して「味」または「味覚」と呼んでいます。大別すると「味」には物理的な感覚に由来する味と化学的な感覚に由来する味があります。ちなみに、味に深い関係を持つ嗅覚は化学感覚ということになります。 
 物理的な味とは品温、口当たり、舌ざわり、歯ごたえなどです。コーヒーでいえばコロイダル粒子に由来する味がこれにあたります。

 
 一方、化学的な味とは化学物質が刺激となって引き起こされる味覚、すなわち甘味・酸味・苦味・旨みなどです。コーヒーでいえば、コーヒー抽出液に溶解している成分に由来する酸味や苦味などです。

2.最近の味の認識メカニズムに対する考え
 これまで味は舌の各部位で認識する(たとえば先端は甘味とか)という説が信じられてきましたが、最近では正しくないと考えられています。さて、人は味をどのように認識するのでしょうか?以下に最近の考え方を述べましょう。
 
イ.
味を感じる場所
 口の中にある味蕾。味蕾は紡錘形をした味細胞の集合体(3070個)で、文字どうり花の蕾のような形をしています。径0.1ミリメートルにも満たない大きさで、口の中に7~8千個もあります。味蕾は舌の先端と奥に多く、さらに上あごやのどの奥にもあります。根元で味覚神経につながっています。

ロ.味を認識するメカニズム
 a食品を食べると、まず味物質が味蕾の味細胞に接触します。
 b)すると味細胞で化学変化が起こり、神経伝達物質(味の情報)が放出されます。
 c)この味の情報は味覚神経の電気信号(神経インパルス)に変換されて脳に伝えられます。
 d)
脳における味の認識や記憶は大脳皮質味覚野でおこなわれていると考えられています。

参考文献は以下のとうり。
小原正美著 食品の味 光琳書院
日本味と匂学会編 味のなんでも小事典 講談社


2005.4.20.

珈琲道場 29 (コーヒーのドリップ抽出 その7)
豆太君 ペーパードリップ抽出でコーヒーの味が変わる原因のまとめ
Mr.キングス  これまでペーパードリップ抽出でコーヒーの味が変わる原因について私達の実験データを交えて説明してきました。きょうはこれらの原因をまとめて一覧表にして示しましょう。これを見るとなんとたくさんの原因がペーパードリップ抽出のコーヒーの味に影響していることがお分かりいただけると思います。たかがコーヒー、されどコーヒーというところです。読者の方で何か気がついた方はメールでご連絡いただだければ幸いです。T・P・Oの項目を追加しました。(4月24日)

表 ドリップ抽出の味に影響する因子のまとめ
珈琲豆 種類・品種 アラビカかロブスターか。
栽培条件 土壌・肥料(有機栽培)など
精製条件 ナチュラルかウオッシュドか、
天日乾燥か機械乾燥かなど。
焙煎条件 煎り方(浅煎り、中煎り、深煎り)。
保管条件 焙煎後の日数、冷凍保存で粉1〜2週間、豆3〜4週間など。
挽き方 細挽き〜中挽き〜荒挽きなど
粉の粒度分布 均一性と微粒子の量など。
粉の量 抽出液の濃度に関係。1人前8〜10gが標準。
ドリッパー 外形 円錐か非円錐か、傾斜角度など。
内壁の構造 抽出液の透過速度に影響。
リブなどの突起物 ろ紙を支えることができる形・幅など。
抽出液の流れやすい形・幅・深さ。
突起物と溝の比
排出穴 すみやかな抽出液の排出。
丸穴が最適か、三つ穴か一つ穴かなど。
ろ紙 材質 木材パルプかコットンパルプかなど
目開き・厚み 抽出液の透過速度と清澄性に影響。
臭い 極端な場合古本のような臭い。
湯洗いで除去など。
目詰まり ろ過条件(コーヒー粉の粒度、お湯の注ぎ方)で変化。
付着 ドリッパーの溝への付着度合で抽出時間が変化。
水質 軟水が適。硬水、塩素イオン、鉄イオンは不適など
湯温 通常は85〜90度C位。湯温が高いと苦味が強くなる。
湯量 コーヒー液の濃度に関係。通常は粉8〜10gに対してお湯が150〜200cc。
時間 抽出時間は通常2〜3分。長すぎると雑味がでる。
蒸らしの仕方 蒸らしはお湯を粉全体にふりかけ、湿潤させること。通常30秒位。
抽出の仕方 お湯の注ぎ方(高さ・太さなど)が重要。通常3−4回に分割し注湯。
T.P.O 飲む時間・場所・ふんいき・体調 朝のコーヒー、午後のコーヒー、コーヒーだけを飲む、食事と飲む、体調の良い時に飲む、体調の悪い時に飲むなど。

2005.3.26.

珈琲道場 28 (コーヒーのドリップ抽出 その6)
豆太君 ペーパードリップ抽出でコーヒーの味が変わる原因
(その2 ろ紙の目詰まり)
Mr.キングス  前回、自分ではコントロールできない味が変わる要因として「ドリッパー壁面とろ紙の付着問題」をとりあげました。実はもうひとつあります。それは「ろ紙の目詰まりという問題」です。
 以前、コーヒー液の透過時間はろ紙とその表面に形成されるコーヒー粉体層の部分で主として決まると書きました。ろ紙とコーヒー粉体層の状態が一定ならば透過時間は同じはずです。しかしコーヒー粉はすべてがろ紙の表面で補足されるわけではなく、その一部とくに微紛がろ紙の中に入り込み、ろ紙の内部の状態が変化します。いわゆる目詰まりという現象です。
 ミルで挽いたコーヒー粉は粒度が均一というわけではなく、粗いものから細かいものまで含まれています。微紛のようなろ紙の目より小さい粒子がろ紙の内部に入り込んで捕捉されて「目詰まり」となります。
 目詰まりの程度は微紛の量やお湯の注ぎ方などの微妙な変化で変わるので、その結果としてコーヒー液の透過速度や時間が変化すると考えられます。 
 またコーヒーを抽出・ろ過している間、目詰まりは一定ではなく、変化しますその結果、透過速度も変化します。通常は目詰まりが増えつづけ、透過速度が減りつづけます。その結果、目詰まりが発生するとコーヒー液の透過時間が長くなり、味が変化する原因になります。
 なお、ろ紙の表面に形成されたコーヒー粉の層もコーヒー液の透過を遅くしますがこれは目詰まりとは言いません。
 参考までに、最近おこなった目詰まりに関する実験で、コーヒーをお湯に浸漬した状態で攪拌すると透過時間が長くなることがわかりました。味覚にも変化がありました。攪拌によって目詰まりをおこすコロイダル粒子とか微紛のような微細な粒子が増えるのではないかと推測してます。
豆太君 この問題の解決方法は?
Mr.キングス  正直にいって難しい問題です。
 お湯の注ぎ方でずいぶんと変わります。漠然とした言い方ですが、微紛がろ紙の内部へはいり込まないようにお湯を優しくそそぐことです。同時に粉全体にお湯が一様に注がれていることが必要です。
 微紛の量はミルの性能によります。ミルで挽いた粉が均一で、ろ紙の目の中に入りこむ微紛がなければ、ろ紙の目詰まりはかなり解消されます。根本的な解決法といえます。このようなミルの開発が望まれます。

2005.2.1.

珈琲道場 27 (コーヒーのドリップ抽出 その5)
豆太君 ペーパードリップ抽出でコーヒーの味が変わる原因は?
Mr.キングス  ペーパードリップ抽出でコーヒーの味がいつも変わる理由はいろいろとあります。ドリッパーの形状、ろ紙のろ過性能は、お湯の温度、蒸らし時間、湯量・注入方法・抽出時間などなど。どのような要因があり、味にどのように影響しているかについて順次取り上げていきましょう。
豆太君 自分では同じように抽出しているのにいつも味が変わります。
Mr.キングス                                  ペーパードリップでコーヒーを抽出する場合、自分でコントロールできない盲点となる要因があります。意外と思われかもしれませんが「ドリッパー壁面とろ紙の付着問題」がそのひとつです。ドリッパーの壁面とろ紙の付着はなかなか事前にはわからず、ろ過時間が長かったり、味が変わったりという結果として出てきます。
 ドリッパーは通常、壁面に溝があり、抽出液が抜けるように設計されています。しかし、ドリッパーの壁面にろ紙が張り付いて、溝を塞ぐことが
あるのです。そうすると、コーヒー抽出液の抜けが遅く、ろ過に時間がかかりますので、抽出時間が長くなり、味も変化することになります。極端な場合にはドリッパーの壁全面にろ紙がピタッと張り付くと、溝がない状態と同じになり、抽出液の抜けが非常に悪くなり、ろ過に時間が長くかかります。
 ろ紙がドリッパーの壁面にどの程度付着するかはろ紙のセットの仕方とお湯の注ぎ方で微妙に変化します。ろ紙の壁面への付着の程度によって抽出液の抜け具合やろ過の時間が変化するので、この結果として味も変化します。これがコーヒーの味がいつも変わるおおきな理由の一つと考えられます。
 市販のドリッパーではこのような問題が多かれ少なかれ生じているとおもわれます。これはドリッパーの溝の構造上の問題であることを指摘しておきます。
豆太君 どうすれば、同じような味が得られるのでしょうか?
Mr.キングス  私の基本となる考えは、「蒸らしをすることを前提にすると、ろ紙を透過したコーヒー抽出液は溝を通して速やかに排出すべし」、すなわち「コーヒー液の滞留時間・ろ過時間を同じにすべし」ということです。
 このためにはろ紙がドリッパーの壁面に付着しないように、ドリッパーとろ紙の間に十分な隙間をつくればよいわけです。実際にはドリッパーの壁面とろ紙の間に台所で使う水切り取りネットなどを敷く方法や鉢底用の穴の開いた板を敷く方法などがあります。試してみてください。同じように抽出すればほぼ同じような味が得られますよ。
 なお、簡単な実験でドリッパーの壁面にろ紙が付着して、水の流れが悪くなるのを知ることができます。ろ紙をドリッパーに張り付けた時とそっと置いた時、またドリッパーとろ紙の間にネットを敷いた時と敷かない時のお湯の透過時間を計ってみてください。それぞれの透過時間に違いがあるのがわかります。

2004.10.8.

珈琲道場 26 (コーヒーの飲み方)
豆太君 ブラジル式コーヒーについて
Mr.キングス ブラジル式のコーヒーはカフェ・ジーニョといいます。カフェ・ジーニョはエスプレッソ・コーヒーと同様、深煎りのコーヒーを細かく挽いて濃厚に抽出したコーヒーで、デミカップで飲みます。両者の違いは抽出方法です。イタリアのエスプレッソ・コーヒーはエスプレッソ・マシーンで抽出されますが、ブラジル式のカフェ・ジーニョはドリップ抽出です。なお、コーヒーショップの呼び方は似ていて、イタリアではバール、ブラジルではバルとよばれます。エスプレッソ・コーヒーがお好きな方はブラジル式も試してみてはいかが。もとのコーヒー豆(粉)は同じでも違う味が楽しめます。

2004.7.8.

珈琲道場 25 (コーヒーのドリップ抽出 その4)
豆太君 挽き方で変わるコーヒーの味について(2)
Mr.キングス  前回、コーヒー豆の挽き方で味が変わるとお話しました。シティローストしたブラジル豆で比較すると、中挽きは酸味も苦味も強く、全体に濃く、重厚な味であるのに対し、荒挽きは酸味のキレがよく、全体に軽く、すっきりとした味であると書きました。挽き方で味が変わる理由について考えてみました。挽き方で何が変わるかというと、当然のことですが、コーヒーの粉の粒子サイズです。粉の粒子サイズが変わると、どうして味に影響するのでしょうか?私は以下の3つの理由を以下を考えています。 これは推論にすぎません。今後、科学的な実証が必要です。皆さんの見解はいかがでしょうか?

 1.コーヒー粉全体の表面積が変化するので、コーヒー成分の抽出量すなわち抽出濃度が変化する。。
 たとえば、粉のサイズが小さい場合、大きい場合に比べ、一個当たりの表面積は小さいのですが、粒子の数が多いので、粉全体としては表面積が多くなります(注1)。そのため、コーヒーとお湯の接触面積が大きく、同じ湯量で抽出しても抽出量が多く濃度が高くなると考えられます。。
  (注1)表面積の計算をすると、コーヒーの粉の表面積は粒子の径に反比例することがわかります。小さい粒子の半径をr1、粉の表面積A1、大きい粒子の半径をr2、粉の表面積をA2とすると、A1/A2=r2/r1の関係が得られます。

 2.粒子サイズの変化は、粒子内部へのお湯の浸透度合の変化と抽出成分の拡散の変化をもたらし、抽出効率が変化する。
 たとえば、粉のサイズが小さいと、お湯が粒子内部まで浸透しやすく、より抽出効果が高いと考えられます。量だけでなく、より多くの種類の成分が抽出されている可能性もあります。 一方、粉のサイズが大きい場合、
お湯が粒子の内部まで浸透しにくく、粒子内部の成分はあまり抽出されていない可能性があります。

 3.粒子サイズが変化すると、粒子間隙の大きさが変化し、お湯の透過速度が変化し、抽出時間・抽出量が変化する。
 なお、コーヒーの抽出方法はドリップ式です。コーヒーメーカーを使いました。お湯が3分間にわたって断続的に注湯するタイプです。コーヒー粉の粗さが中挽きでも荒挽きでも、注湯が終了したときには、コーヒー抽出液はほとんどがドリッパーからサーバーへ落ちていました。見た限りでは同じでした

2004.4.18.

珈琲道場 24 (コーヒーのドリップ抽出 その3)
豆太君 挽き方で変わるコーヒーの味について?
Mr.キングス  皆さん、ご存知のようにコーヒーの味は豆の挽き方で変わります。シティ・ローストしたブラジル豆のドリップ抽出について、中挽きと荒挽きの比較をしました。コーヒーの味は中挽きの方が酸味も苦味も強く、全体に濃く、重厚な味です。荒挽きの方は、酸味の切れが良く、苦味が少なく、全体的には軽く、すっきりした味です。香りは同じ位の強さですが、荒挽きの方が明瞭に感じます。また、中挽きでは油が表面に浮きましたが、荒挽きでは浮きませんでした。
 この結果は1例にすぎませんが、挽き方による香味の違いの程度や油の浮き方はコーヒー豆の種類や焙煎の程度で変化しますが、この傾向は同じです。
 重厚な味がお好きな方は中挽きからやや細挽きにすると良いですし、軽く、すっきりした味のお好きな方や油が浮くのが嫌な方はを荒挽きからやや荒挽きにすると良いでしょう。

2004.1.19

珈琲道場 23 (コーヒーのドリップ抽出 その2)
豆太君 ペーぺードリップ抽出におけるロトについて?
Mr.キングス  ぺーパードリップ抽出に使うロトは皆さんご存知のように、カリタやメリタのドリッパーが代表的な形です。これは良く考えられた形ですが、ロトは
この形しか駄目なのでしょうか。私はこの形にこだわる必要はないと考えています。ロトの役割はろ紙の保持とコーヒー抽出液のスムーズな排出です。ですから、この2つが満足されればどのようなものでも使用できると考えられます。
 私は100円ショップをさがし、いろいろと試してみました。その結果、ざる、味噌漉し、水切りネットなどなどが使えることがわかりました。茶漉しはろ紙のサイズに合うものが見つかりませんでした。ろ紙のサイズと合うものなら使えるでしょう。
 どうぞ、皆さんもお試しください。アウトドアーや旅行の時にお役に立つことは間違いありません。自分で探して実験するのも面白いですよ。

2003.12.18

珈琲道場 22 (コーヒーのドリップ抽出)
豆太君 コーヒーのドリップ抽出とは?
Mr.キングス  ドリップ抽出と書くと難しそうに聞こえますが、ご家庭で普通されている、ろ紙を用いたり、ネルのフィルターを用いてコーヒーを落とす方法です。そんなことは当たり前だという声が聞こえてきそうです。 さて、これが曲者で、入れる人によって味が千変万化します。
 このドリップ抽出には簡単とおもわれることでもまだわからないことがたくさんあります。私はドリップ抽出をもうすこし科学的にしらべて、データに基づいて考える必要があると思いました。たとえば、ペーパードリップに使うロトの穴が1つ穴と3つ穴とでコーヒーの抽出具合が変わるのかどうかということもその1つです。
 今回、この実験結果を「ロトを用いるドリップ式コーヒー抽出に関する研究とくにロトの穴数の影響に関する実験的検討」という小論文にまとめ、コーヒー文化研究第10号(コーヒー文化学会コーヒー文化研究第10号(コーヒー文化学会発行)」に発表しました。
 2003年4月8日付け道場にも書いたように、「ロトの穴数が1つでも3つでも、コーヒー抽出への影響はあまりない」ということがわかりました。ご家庭でもできる簡単な実験ですのでお試しください。
 コーヒー文化研究第10号(コーヒー文化学会発行)」に発表した小論文をご希望の方は、キングスコーヒー 衛藤までお申し出ください。

2003.11.1

珈琲道場 21 (コーヒーの新豆)
豆太君 コーヒーの新豆とは?
Mr.キングス  生産されて1年以内の豆が新豆です。通常ニュークロップと呼ばれています。ちなみに2年目になるとパーストクロップ、3年以上になるとオールドクロップと呼ばれます。
 新豆には香味に力というか勢いがあります。最近のコーヒー豆の主流はニュークロップです。古くなると香味が丸くなる傾向にあります。オールドクロップを珍重する向きもありますが、保管の仕方が難しく、通常香味は低下しても、向上することはまれです。一般的にはニュークロップ(パーストクロップまで)のコーヒーをおすすめします。

2003.8.20

珈琲道場 20 (コーヒー袋のふくらみ)
豆太君 「送られてきたコーヒーの袋が膨らんでいることがあるが、問題ありませんか?」というご質問をお客さまからいただきました。
Mr.キングス   コーヒー袋が膨らむ原因は大きく分けると2つあります。

 1つ目は「シールが剥がれている」または「袋にピンホールがある」場合です。この場合は空気が袋の中にはいり込んで、コーヒーを酸化させ、品質を劣化させるので、不良品として無償で交換しています。これは袋を押すとガスが抜けてへこむので、簡単に確認できます。コーヒー豆から発生したガスでシールが剥がれたものもこれにあたります。

 2つ目は「袋は膨らんでいる」しかし「シールは剥がれていない」場合です。この場合は袋がコーヒー豆から発生したガスで膨らんでいるだけで、袋の中は無酸素状態にあるので、品質は保持されています。安心してお飲みください。これは袋を押してもガスが抜けませんので確認できます。

 コーヒー豆を焙煎すると、ガス(炭酸ガスが主体)が発生します。このガスはコーヒー豆の内部や表面に吸着されて存在しています。このガスはコーヒー豆から数日間にわたって放出されます。その量は100g当り500−1000mlになるというデータが報告されています。

 キングスコーヒーでは、宅配のお客さま向けには、鮮度重視のため、焙煎後すぐにコーヒーを袋詰めしています。また鮮度保持のため、脱気処理して真空パックにするとともに、コーヒー豆から発生するガスを吸収させ、豆袋の膨らみを最小限に抑えるため、脱ガス剤(脱酸素・脱炭酸ガス用)を封入してしています。なお、発生するガスの量によっては完全に吸収できず、袋が多少膨らむことがあります。疑問の点はMr.キングスまで。

2003.4.8

珈琲道場 19 (ロトの穴の影響について)
豆太君 ドリップコーヒーに使う「ロト」の穴数(1つ穴か3つ穴)の違いは
コーヒーの抽出に影響するか?
Mr.キングス  ロトにはコーヒー液を排出するための穴が底部に設けられていますが、その穴数(1つ穴か3つ穴か)の違いによってコーヒーの抽出が影響されると思っている方が多いのではないのでしょうか。
 お客様に1つ穴用または3つ穴用に挽いてくださいといわれることもよくありますし、最近、全日本コーヒー商工組合連合会から「コーヒー鑑定士検定教本」という本が発行されましたが、その中にもドリップコーヒーに使う「ロト」の1つ穴と3つ穴とで抽出速度に違いがあるという内容の記載もみられました。中には疑問に思っているお客さまもいて、「穴の数でコーヒーの抽出に違いがあるのですか?」という質問を受けたこともあります。

 さて、ロトを用いるドリップ式コーヒー抽出法は、ロト内に敷いたろ紙の中にあるコーヒー粉にお湯をそそぎ、コーヒー成分を抽出すると同時に、得られたコーヒー液をコーヒー粉からろ過分離する方法です。
 ろ紙(コーヒー粉を含む)の部分ではコーヒー成分の抽出とコーヒー液のろ過分離がおこなわれ、ロトの穴の部分ではコーヒー液の排出がおこなわれていると考えられます。ロトの穴の部分の影響がどのくらいあるのかということが問題です。

 私はこの問題についてデータによる確認の必要性を感じて、比較実験をしてみました。その結果、ロトの1つ穴と3つ穴の違いがコーヒー抽出に及ぼす影響は小さいことがわかりました。要約して以下に述べます。
 ロトだけを用いてお湯を注ぐ場合、透過は短時間でした。また1つ穴の透過時間は3つ穴よりも長く、3倍程度かかりました。穴の数に反比例しています。しかしロトにろ紙を敷き、コーヒー粉をいれてお湯を注ぎますと、透過時間はロトだけの場合よりはるかに長くなり、また1つ穴でも3つ穴でもほぼ同じ(両者の差は10%位)になりました。
 このことから、コーヒーを抽出する場合のコーヒー液の透過抵抗は、ロトの穴の部分というより、ろ紙(コーヒー粉を含む)の部分で主として決まり、透過時間はロトの穴数(1つ穴か3つ穴)の違いによってほとんど影響を受けないということがわかりました。
 ロトの穴数の比較に限れば、 コーヒーの抽出は透過時間(抽出時間に相当)で決まるので、ロトの穴数の違いがコーヒーの抽出に及ぼす影響は小さいと考えられます。
 結論を申しますと、ドリップ抽出に使うロトは穴数(1つ穴とか3つ穴とか)の違いを気にせず、お使いになればよいということです.

 (この実験結果の詳細はコーヒー文化学会の会誌に投稿予定。)

2003.2.06

珈琲道場 18 (ドリップコーヒーの美味しい入れ方 その2)
茶子さん コーヒー豆の挽き方はどのくらいが良いでしょうか?
Mr.キングス ドリップコーヒーの挽き方は中挽きが基本ですが、あっさりした味が好きな方は中挽き、濃い味が好きな方は細挽きにするとよいでしょう。
豆太君 ろ紙の湯洗いをするのはなぜですか?
Mr.キングス これはろ紙についた臭いを除くためと、ロトとサーバーをあたためるためです。ろ紙は臭いを吸着し易く、予想以上に臭いが付着していることがあります。湯洗いしたお湯から古本のような臭いを感じる時があるでしょう。湯洗いするとろ紙がロト内壁に付着してろ過が遅くなるので湯洗いしてはいけないという人もいるようですが、私の経験ではろ過がとくに問題となるほどではありません。
茶子さん むらしはなぜ必要なのですか?
Mr.キングス コーヒーの粉にいきなりお湯をドット注いでも美味しいコーヒーは抽出できません。むらしは美味しいコーヒーを抽出するための準備の工程といえます。水分子がコーヒー粉粒子内部に浸透し、コーヒー成分を取り込んでいる様子を想像するとわかり易いでしょう
豆太君 お湯の温度は紅茶とおなじように沸かしたてがよいのですか?
Mr.キングス
少し違います。お湯の温度は90度位が適温といわれています。お湯は沸騰したものをすこし(1−2分程度)さましてから使うとよいでしょう。
きょうのレッスンはこれまで。次回またお会いしましょう。
資料をご希望の方は e-mail:webmaster@kingscoffee.comへ

2003.2.06

珈琲道場 17 (ドリップコーヒーの美味しい入れ方 その1)
茶子さん : ドリップコーヒーの入れ方のこつを教えてください。
Mr.キングス :
今日は美味しいドリップコーヒーの入れ方 Kings Version
を説明しましょう。
これは誰にでも簡単にできる、ロトとろ紙を使った
ドリップコーヒー の作り方です。






1)ドリップコーヒーに適したコーヒー豆
  中挽きのコーヒー豆 を用意してください。
2)ロト
3)ろ紙
4)サーバー
5)やかん
6)ドリップ用ポット(あるとよい)




美味しいドリップコーヒーの入れ方
a).サーバーにロトをのせ、ロトにろ紙をセットする。
b).ろ紙を少量のお湯で湯洗いし、サーバーに落ちた湯をすてる。  
美味しくいれるポイント1です。
c).ろ紙にコーヒーの粉を所定量いれる。
コーヒーの粉の量は1人前約8−10gが標準です。1人分抽出する場合
は10gですが、たくさん抽出する場合は1人当たりの量を減らします。
美味しくいれるポイント2です。
d).コーヒーの粉に少しずつお湯をふりかけ、むらす。
お湯をふりかける要領は、粉全体にお湯をポタポタとふりかけ、粉全面
が湿り、コーヒー液がサーバーに落ちてきたらやめます。むらし時間は
約30秒から1分位が適当です美味しくいれるポイント3です。
e).お湯を注ぎ、コーヒー液を抽出する。
お湯の注ぎ方でコーヒー液の味や濃度が変わりますが、その基本は
やさしく、ていねいに粉の中央から「の」の字を描くようにそそぎます。
抽出量は1人前150cc程度が目安です。美味しくいれるポイント4です。


2002.10.04

珈琲道場 16 (焙煎について)
豆太くん「オンデマンドばい煎」というのはどういうことですか。
Mr.キングス :
 オンデマンドばい煎の「オンデマンド」とは「あなたのご要望に応じて」ということです。英語では「on demand」。オンデマンドばい煎は「あなたのご要望に応じてばい煎すること」を意味します。すなわち、「お客さまが指定した条件でばい煎する」方式です。お客さま参加型のコーヒー豆挽き売りといえます。鮮度重視という最近のおおきな流れにもあっていて、最近注目されています。。キングスでは数年前から「オンデマンドばい煎」をおこなっています。

2002.08.07

珈琲道場 15 (抽出濃度 その2)
豆太くん深煎りコーヒーの抽出濃度と味の関係を教えてください。
Mr.キングス :
 前回でものべましたが、私達の舌はコーヒーの味が大変微妙な
ことを知っています。
 1.コーヒーの味は抽出濃度で変わること。
 2.煎り方(ばい煎度)で美味しい抽出濃度が変わること。
 3.さらに言えば「薄いほうが美味しい場合と濃いほうが美味しい
   場合がある」ということ

 きょうは深煎りのコーヒーのテイスティングをしましょう。
ドリップの場合、コーヒー10gを150ccのお湯で抽出するのが
標準といいましたが、まずコーヒー10gを250ccのお湯で
抽出してみてください。味はいかがでしたか。
深煎りを薄く抽出すると苦みばかりが強く舌に感じますね。
美味しいコーヒーとは言えないでしょう。それでは標準のお湯
の量で抽出したものはどうでしょう。苦みがマイルドに
感じませんか。味のバランスが良くなっていますね。
さらに湯量を減らして、100ccのお湯で抽出してみましょう。
苦みがほかの味と一体となり、深みとコクのあるコーヒーに
なっていますね。

 深煎りのコーヒーは薄いと苦みばかりを感じて美味しくない
のですが、濃くすると苦みがマイルドに感じられ、味のバランス
も良くなり、美味しくなるのです。深煎りのコーヒーはやや濃いか
濃い目めのほうが香味が生きるのです。これは濃度のマジック
といってもいいとおもいます。本当にコーヒ−の味を生かすも
殺すも濃度次第ですね。

 余談ですが、薄いコーヒーの代名詞になっているアメリカンは
浅煎りを薄くいれますが、浅煎りを美味しくのむ方法として理に
かなっています。またブラジルでは深煎りを濃くいれてデミカップ
で飲みますが、これは深煎りコーヒーを美味しくのむ、方法の1つ
です。エスプレッソも同じです。
 コーヒー豆の苦みの質や強さは濃度だけでなく、コーヒー豆の質
や煎り方の方法・程度によって異なりますし、浅煎りや中煎りで
美味しい豆とか深煎りで美味しい豆とかがあります。これについて
はまたの機会にお話しましょう。


上段:深煎り
下段:中煎り

2002.05.01

珈琲道場 14 (抽出濃度 その1)
豆太くん中煎りコーヒーの抽出濃度と味の関係を教えてください。
Mr.キングス :
私達の舌はコーヒーの味が大変微妙なことを知っています。
 1.コーヒーの味は抽出濃度で変わること。
 2.煎り方(ばい煎度)で美味しい抽出濃度が変わること。
 3.さらに言えば「薄いほうが美味しい場合と濃いほうが美味しい
   場合がある」ということ。

 濃度を変えてコーヒーの味を試してご覧になりましたか?
ここでいう濃度とは簡単にいうと「濃いか薄いか」ということ。
ドリップの場合、コーヒー10gを150ccのお湯で抽出するのが
標準ですが、まずコーヒー10gを100ccのお湯で抽出して、
コーヒーをテイスティングしてみてください。
さらにお湯を50cc、100cc、150ccと増やしてテイスティング
してみましょう。

 まず中煎り・浅煎りのコーヒーのテイスティングです。
コーヒー10gを100ccのお湯で抽出した味はいかがでしたか。
濃いけれどあまり美味しくないでしょう。むしろお湯の量を多くして
抽出した薄いコーヒーのほうが香りや味が生き生きとしている
でしょう。

 中煎りや浅煎りのコーヒーでは濃いと香りや味が互いに干渉
しあって味が死んでしまいます。やや薄めか薄めのほうが
香り・味が生き生きとするのです。
コーヒ−の味を生かすも殺すも濃度次第ですね。
次は深煎りのコーヒーについてテイスティングします。



2001.11.14.

珈琲道場 13 (マジックビーン その3)
豆太くん : マジックビーンを楽しむ法は?
Mr.キングス :
コーヒー豆がマジックビーンと言われるゆえんは、ばい煎によって香り高く味わい深いコーヒーに変身するからです。こんな実験というか、遊びをしたらどうでしょう。コーヒーにもっと興味がわくと思うので、試してみてください。

 1.まず、同じコーヒー豆でばい煎を変えて2種用意します。
ばい煎は中煎りと深煎りが適当でしょう。これを同じ抽出法で抽出して香味を比べてみてください。まったく違うコーヒーを飲んでいるように思うでしょう。
 2.次に、抽出濃度を変えてコーヒーを抽出して、飲み比べます。
コーヒーが濃さ(薄いか濃いかということ)で香味に違いがあり、煎り具合によって美味しい濃さに違いが
あることがわかるでしょう。
 3.さらに浅煎りとかやや深煎りも試すとよいでしょう。そうすると、
ご自分の好きな煎り具合と抽出濃度を知ることができ、ご自分のコーヒーレシピ(ちょっと大袈裟ですが)がつくれます。
 4.コーヒー豆はご自分のお好きなコーヒー豆かコロンビア豆・ブラジル豆から始め、いろいろと試されると、意外な発見もあり、楽しいでしょう。

 なお、コーヒーのばい煎ができないという方には最近は個人に少量からばい煎するお店もあります。キングスコーヒーはこのようなお客さまに、200gからコーヒー豆のばい煎を受け付け、ご相談にも応じています。

コロンビア・スプレモ
の生豆と煎豆
(左のスプーンはカップ
テスト用スプーン)

2001.11.1.

珈琲道場 12 (マジックビーン その2)
豆太君 「マジックビーンって知ってる?」が地域情報誌に掲載されたようですが?
Mr.キングス あさおマイタウン21 2001年11月1日号に掲載された「マジックビーンって知ってる?」をそのまま転載します。

魔法の豆、といってもジャックと豆の木の話ではありません。聞き慣れないこの言葉、香りに敏感な人ならピンとくるかもしれない。そう、ばい煎することで文字通り七変化するコーヒー豆はこんな言葉で表される。
 麻生区王禅寺西にあるキングスコーヒーには、マジックビーンがいっぱいだ。
 「マジックビーン」の言葉を好んで使ったのは、キングスコーヒー店長衛藤正徳さんのお父上。故衛藤六蔵さんは日本人で初めてブラジルのコーヒー鑑定士(クラシフィカド―ル)資格を授与された人。昭和6年のことだ。コーヒー鑑定士は視覚・味覚・嗅覚・触覚そして知識など様々な素養が必要だ。ブラジル・サンパウロ市内には鑑定士学校があり、ポルトガル語の授業そして試験が行われるそうだ。このハードルの高さゆえか、現在でも日本人にコーヒー鑑定士は多くはいない。(つずく)
 衛藤さんはコーヒーの知識はもちろん、おいしさ、不思議さ、奥深さをコーヒー鑑定士の父に教わった。コーヒー豆をマジックビーンと呼ぶのもお気に入り。
 コーヒーの味は豆の産地・種類、ばい煎具合で大きな違いが出る。自らもコーヒー好きな衛藤さんは「マイロースト」と名付けたサービスをしてい
る。お客様の好みに合わせたコーヒーを提供したくて始めた。35種類以上ある豆とばい煎具合を選び、小型のばい煎器へ。15分ほどでばい煎される。おすすめはハワイコナやバリ、トラジャ等。好みの味を伝えれば、豆の種類やばい煎具合を衛藤さんが考えてくれる。
 コーヒーは飲むと同時に香りを楽しむが、実はばい煎するときの香りが一番。マイローストでは香りも存分に楽しめる。「季節によって美味しいと感じるコーヒーは違う。春は軽め、夏は苦み、秋はコク、冬は徐々にあっさりが美味しい」と衛藤さん。香りを楽しみながら、衛藤さんとコーヒー談義を交わしてみては。
 (この記事は、あさおマイタウン21 2001年11月1日号に掲載されたもの
です。お問い合わせは(株)マイタウン21 TEL.. 044-954-2555)


2001.9.15.

珈琲道場 11 (マジックビーン その1)
豆太くん : マジックビーンってな〜に?       
Mr.キングス :コーヒー豆がどうして「マジックビーン」と呼ばれるのか説明しましょう?
「マジックビーン」(Magic bean)という言葉を聞いたことがありますか? 日本語に訳すと「魔法の豆」ですね。実はコーヒー豆のことなんです。
コーヒー豆はもともとはコーヒーの実の中にある種です。これを精製・乾燥すると、灰緑色をしたグリーンビーン(生豆)になります。このままでは味もそっけもありませんが、これをロースト(ばい煎)すると茶褐色で、素晴らしい香りと味を持つローステッドビーン(煎豆)いわゆるコーヒー豆になります。
私どものお客さまでもコーヒー豆と言うと最初から茶褐色をしているとおもっている方が意外と多く、生豆をお見せすると初めて見ましたという方が少なくありません。また、「コーヒー豆はロースト(ばい煎)の程度によって、これが同じコーヒー豆かと思うくらい香りと味が変化します。コーヒー豆にはそれぞれ適したローストがあるのです!」と説明しますと、驚かれる方がまだまだたくさんいらっしゃいます。
このように、「コーヒー豆は魔法のように変化する豆」というわけで、「マジックビーン」となずけられたようです。私の父「衛藤 六蔵」は何十年も前から、「マジックビーン」という言葉を好んで使い、コーヒーの面白さや奥深さを語っていました。「マジックビーン」と命名したのはだれか知りませんが、言い得て妙です。この由来についてもっと調べてみたいと思っています。

キングスコーヒーの
豆袋

2001.6.8.

珈琲道場 10 (エスプレッソコーヒー その5)
茶子さん : カプチーノの作り方について教えてください。
Mr.キングス :
ブリエル・ファーストクラスのような電気式エスプレッソコーヒー・メーカーを用いた、カプチーノの作り方キングスバージョンを説明しましょう。
カプチーのの作り方(1人分)
カプチーノはエスプレッソコーヒーに泡立てたフォームドミルクを
注いで作ります。まず広口のカップ(160cc位)にエスプレッソコーヒー(30cc位)を抽出します。次にミルク(市販の牛乳でよい)をミルクポットに100cc位加えます。スチームノズルを一度開いてたまっている水を出し、ミルクの液面にノズルをセットします。ノズルのバルブを開いて、最初ジュッ、ジュ、ジュッ、ジュという音がするように空気を吹き込みます。次にノズルを深く差し込んで加熱し、泡がミルクポット上端まできたらバルブを閉じます。ミルクポットの大きさは牛乳の深さが1/2位になるものが良い。ミルクポットの泡(フロス)とミルクをよくかき混ぜて、エスプレッソコーヒーの上から落とすように注げば、美味しいカプチーノの出来上がり。ココアをふりかけてもいいです。クリーミーな泡のはいったカプチーノはマイルドで本当に美味しいですよ!


ニューヨークのカフェ

2001.4.26.

珈琲道場 9 (エスプレッソコーヒー その4)
茶子さん : カフェラテとカプチーノの作り方について教えてください。
Mr.キングス :
ブリエル・ファーストクラスのような電気式エスプレッソコーヒー・メーカーを用いた、カフェラテの作り方キングスバージョンを説明しましょう。
カフェラテの作り方

たっぷりの温かいスチームドミルクにエスプレッソコーヒーを注いでつくります。マグカップに牛乳120cc位をいれ、スチームノズル用いて、スチームドミルクをつくる。これにエスプレッソ30cc位を注げば美味しいラテの出来上がりです。

ラテの場合は泡だてずに温めるだけなので、スチームノズルを牛乳の中に深く差し込んで温めます。牛乳をスチームノズルで温めると、最初はシューという音ですが、十分温まるとジューという音に変わります。ここが終点です。温めすぎると牛乳がぼこぼこと沸騰してカップから飛びだしますので要注意です。牛乳は冷蔵庫に冷やしてあるものを使います。

ニューヨークのカフェ

カプチーのの作り方は次回に

2001.3.9.

珈琲道場 8 (エスプレッソコーヒー その3)
茶子さん : エスプレッソコーヒーのメニューについて教えてください。
Mr.キングス :

最近、ご家庭でエスプレッソコーヒーやそのバリエーションコーヒーを楽しむ方が増えてきました。美味しくいれるには専用の器具とそれを使いこなす多少のテクニックが必要です。きょうはキングスコーヒーで実際に出しているメニューを紹介しましょう。
次回、この中からエスプレッソコーヒー・メニューの作り方を説明しましょう。

2001.2.13

珈琲道場 7 (エスプレッソコーヒー その2)
茶子さん : エスプレッソコーヒーの器具について教えてください。
Mr.キングス :

最近、ご家庭でエスプレッソコーヒーやそのバリエーションコーヒーを楽しむ方が増え
てきました。美味しくいれるには専用の器具とそれを使いこなす多少のテクニックが
必要です。きょうはご家庭用のエスプレッソコーヒーの器具について簡単に説明しま
しょう。
ご家庭用のエスプレッソ・メーカー には大きく分けて直火式と電気式があります。

モカ・エクスプレス(写真右) 定価: 3300−4000円
直火式エスプレッソ・メーカー の一例。上下2段にポットがあり、その中間にコーヒーの粉をいれるバスケットがある。下部ポットに水をいれ、加熱すると、沸騰して蒸気圧が生じ、その圧力によって湯がコーヒーの粉の層をとうり、上部ポットへコーヒー液がたまる仕組みになっている。
味のポイントはコーヒーの粉の細かさと詰め具合による。すなわち、
極細に挽き、少し山盛りになるくらいにつめると良い。
なお、カプチーノ用ミルクをつくるには、別にミルク・ホイッパーが必要です。

ボンマック・カタログより
ブリエル・ファーストクラス(写真右) 定価:19800円
電気式エスプレッソ・メーカー の一例。蒸気発生装置を内臓し、業務用とほぼ同じ基本機能をそなえているエスプレッソ・メーカーです。本格的な
エスプレッソコーヒーをつくることができる。カプチーノ用ミルクも付属のスチーム・ノズルでつくることができる、すぐれものです。
美味しいエスプレッソコーヒーをつくるには、コーヒーの粉を極細に挽き、フィルターに詰めたら、軽くプレスすることです。
カプチーノ用ミルクをつくるのにはかなりテクニックが必要です。これについては次回説明しましょう。

ボンマック・カタログより

2001.1.18

珈琲道場 6 (エスプレッソコーヒー その1)
茶子さん : 最近、エスプレッソコーヒーやカプチーノがブームですが、
エスプレッソコーヒーについて教えてください。
Mr.キングス :

エスプレッソコーヒーは簡単にいうと、イタリア生まれの、エスプレッソマシーンという特殊な機械で抽出されたコーヒーのことです。エスプレッソマシーンはコーヒーを蒸気の圧力によりあっという短時間(20−30秒位)で抽出します。ちなみに、エスプレッソは急行の意味です。
数年前にイタリアに行った時、ローマのカフェやバールで飲んだエスプレッソやラテやカプチーノにはイタリアの風と味を感じました。当時の日本で飲みなれていたものとは一味違う美味しさでした。とくにカプチーノは絶品でした。

ローマの有名なカフェ
「カフェグレコ」(96年)

エスプレッソコーヒーの量は通常1杯分が30cc前後です。キングスでも30cc程度を基準にしています。本場のナポリでは20−25ccだそうですが。カップには小さいデミカップが使われています。エスプレッソコーヒーの味はドリップ法に比べると同じ豆ならあっさりというか、さっぱりというか軽い味になります。
エスプレッソには味と香りの点で中煎りの豆よりも中深煎りからの深煎りの豆の方が適しています。とくに肉料理・味付けの濃い料理・油っぽい料理の後では深煎りの豆の、苦みのしっかりしたエスプレッソが良く合います。またイタリアンやフレンチでも軽い味わいならば中深煎りの豆で、柔らかな苦みのエスプレッソが良く合います。
イタリアでは南と北でエスプレッソの味が違うということですが、これは料理との関係があるのではないかと推測しています。

美味しいエスプレッソの判断ポイントは
(1)エスプレッソに適したコーヒー豆
中深煎りからの深煎りの豆が適しています。そのなかでも、苦みだけでなく
香りと甘みを感じるエスプレッソが抽出されるのが最高の豆と考えています。
キングスコーヒーではイタリアンブレンドをおすすめしています。
(2)エスプレッソに適したコーヒー豆の挽き方
粉の粒度によって味が大きく変化する。粉が粗いと水っぽくなります。極細挽き
にするのがポイントです。
(3)エスプレッソに適したマシーン
マシーンに必要な基本条件は、圧力:9気圧、湯温:90度Cとされています。
最近、業務用も家庭用も良い機種がいろいろと販売されています。
(4)作り手のテクニック
作り手のテクニックが要求されます。とくにカプチーノは作り手の上手・下手が
はっきりと味にでます。イタリアにはバリスタという専門のコーヒー職人がいる
ほどです。

次回に続く。

2000.11.1

珈琲道場 5 (カフェ オ レの入れ方)
豆太君 : 牛乳たっぷりの美味しいカフェ オ レを飲みたいのですが、
作り方を教えてください。またカプチーノとはどう違うのですか?
Mr.キングス:
コーヒーや紅茶の美味しい季節になりました。これからは牛乳たっぷりの
カフェ オ レがとくに美味しいですね。カフェ オ レはドリップコーヒーを作れる方なら
簡単に作れます。今回は「カフェ オ レの作り方 Kings Version」を説明
しましょう。
また最近、カフェ ラッテやカプチーノが人気ですが、これはエスプレッソコーヒー
にスチームドミルクあるいはフォームドミルクを加えたものです。作るには
エスプレッソマシーンが必要ですし、テクニックも必要です。。コンパクトな
家庭用マシーンも登場してきましたので、次の機会に詳しく説明しましょう。






1)カフェ オ レに適したコーヒー豆 10g(中挽き)
  カフェ オ レにとくに適したコーヒー豆は深煎りのヨーロピアンブレンド。
    大変香り高く、こくのある カフェ オ レができます・
   中深煎りのコーヒー豆を用いるとマイルドなカフェ オ レになる。
2) 水 (熱湯)
3)牛乳 100cc
4)ロト・ろ紙・サーバー
5)手鍋
6)コーヒーカップ(マグカップのような大き目のカップ)
*1人分の材料です




美味しいカフェ オ レの作り方

1)まずホットコーヒーを2倍強の濃さでつくる
a).サーバーにロトをのせ、ロトにろ紙をセットする。
b).ろ紙を少量のお湯で湯洗いし、サーバーに落ちた湯をすてる。  
美味しくいれるポイント1です。
c).ろ紙にコーヒーの粉を所定量いれる。
コーヒーの粉の量は1人前約8−10gが標準です。1人分抽出する場合
は10gですが、たくさん抽出する場合は1人当たりの量を減らします。
美味しくいれるポイント2です。
d).コーヒーの粉に少しずつお湯をふりかけ、むらす。
お湯をふりかける要領は、粉全体にお湯をポタポタとふりかけ、粉全面
が湿り、コーヒー液がサーバーに落ちてきたらやめます。むらし時間は
約30秒から1分位が適当です美味しくいれるポイント3です。
e).お湯を注ぎ、コーヒー液を抽出する。
お湯の注ぎ方でコーヒー液の味や濃度が変わりますが、その基本は
やさしく、ていねいに粉の中央から「の」の字を描くようにそそぎます。
抽出量は1人前60cc程度が目安です。美味しくいれるポイント4です。
2)つぎに手鍋に牛乳(100CC)をいれ、あたためる。
この時ホッパーで攪拌して泡だてるとカプチーノみたいなカフェ オ レ
になる。
3)温めたカップにコーヒーを入れ、その上から温めた牛乳
をそそぐ。最後に泡をすくってうかべる。さあ、召し上がれ!
資料をご希望の方は e-mail:webmaster@kingscoffee.comへ


2000.08.22

珈琲道場 4 (コーヒーゼリーの作り方)
茶子さん : コーヒーゼリーを作りたいのですが、作り方のこつを教えてください。
Mr.キングス :
香り高く、美味しいコーヒーゼリーの作り方 Kings Version
説明しましょう。
作り方は簡単。ポイントは香り高いコーヒー豆を選ぶことです。
香り高い、少し苦みのきいた美味しいコーヒーぜりーができます






1)深煎りの香り高いコーヒー豆 65g
  たとえばキングスのヨーロピアンブレンドが
おすすめです。
2)水 600cc(コーヒー抽出用)
3)ゼラチン 12.5g
4)砂糖 35g
*5〜6人分の材料です。




香り高く美味しいコーヒーゼリーの作り方
1)まず深煎りの香り高いコーヒー豆を選ぶ。
キングスのヨーロピアンブレンドがおすすめ。
中挽きに挽いてください。
2)中挽きのコーヒー豆65gを600ccの湯で抽出する。
3)あらかじめふやかしたゼラチン12.5gと砂糖 35g
を2で抽出したコーヒーに加えて、溶かす。
4)これをカップ5〜6個に注ぎ分ける。
5)冷えたら冷蔵庫へいれる。
6)固まったら、冷蔵庫から取り出して召し上がれ。
シロップや生クリームを添えてどうぞ。

2000.06.16

珈琲道場 3 (アイスコーヒーの入れ方 その2)
茶子さん アイスコーヒーには なぜ深煎りの苦みの強いコーヒー豆がよいのですか?
Mr.キングス アイスコーヒーに求められるのは基本的にさっぱりとした清涼感のある味です。また、人の舌は冷たいものにたいして、味を弱く感じる傾向にあります。ですから、キングスのアイスブレンドのような、深煎りの苦みの強いコーヒー豆が適しているのです。深煎りでも上質のコーヒーには甘みがあります。
豆太君 ろ紙の湯洗いをするのはなぜですか?
Mr.キングス これはろ紙についた臭いを除くためと、ロトとサーバーをあたためるためです。ろ紙は臭いを吸着し易く、予想以上に臭いが付着していることがあります。湯洗いしたお湯から古本のような臭いを感じる時があるでしょう。湯洗いするとろ紙がロト内壁に付着してろ過が遅くなるので湯洗いしてはいけないという人もいるようですが、私の経験ではろ過がとくに問題となるほどではありません。
茶子さん コーヒー豆の挽き方はどのくらいが良いでしょうか?
Mr.キングス コーヒーの粉の挽き方は、あっさりした味が好きなと方は中挽き、濃い味が好きな方は細挽きにするとよいでしょう。
豆太君 むらしはなぜ必要なのですか?
Mr.キングス コーヒーの粉にいきなりお湯をドット注いでも美味しいコーヒーは抽出できません。むらしは美味しいコーヒーを抽出するための準備の工程といえます。水分子がコーヒー粉粒子内部に浸透し、コーヒー成分を取り込んでいる様子を想像するとわかり易いでしょう
茶子さん お湯の温度は紅茶とおなじように沸かしたてがよいのですか?
Mr.キングス 少し違います。お湯の温度は90度位が適温といわれています。お湯は沸騰したものをすこし(1−2分程度)さましてから使うとよいでしょう。
きょうのレッスンはこれまで。次回またお会いしましょう。
資料をご希望の方は e-mail:webmaster@kingscoffee.comへ

2000.06.15

珈琲道場 2 (アイスコーヒーの入れ方 その1)
茶子さん : アイスコーヒーを飲みたいのですが、入れ方のこつを教えてください。
Mr.キングス :
アイスコーヒーは日本で考案された飲み物といわれています。
今日は美味しいアイスコーヒーの入れ方 Kings Version
を説明しましょう。
これは誰にでも簡単にできる、ロトとろ紙を使った
ドリップ式アイスコーヒー の作り方です。






1)アイスコーヒーに適したコーヒー豆
  深煎りの苦みの強いコーヒー豆
  (たとえばキングスのアイスブレンド)がよいでしょう。
2)ロト・ろ紙・サーバー
3)ボウル・氷水
4)容器(ペットボトルのようなもの)
5)アイスグラス




美味しいアイスコーヒーの入れ方
1)まず美味しいホットコーヒーをつくる
a).サーバーにロトをのせ、ロトにろ紙をセットする。
b).ろ紙を少量のお湯で湯洗いし、サーバーに落ちた湯をすてる。  
美味しくいれるポイント1です。
c).ろ紙にコーヒーの粉を所定量いれる。
コーヒーの粉の量は1人前約8−10gが標準です。1人分抽出する場合
は10gですが、たくさん抽出する場合は1人当たりの量を減らします。
美味しくいれるポイント2です。
d).コーヒーの粉に少しずつお湯をふりかけ、むらす。
お湯をふりかける要領は、粉全体にお湯をポタポタとふりかけ、粉全面
が湿り、コーヒー液がサーバーに落ちてきたらやめます。むらし時間は
約30秒から1分位が適当です美味しくいれるポイント3です。
e).お湯を注ぎ、コーヒー液を抽出する。
お湯の注ぎ方でコーヒー液の味や濃度が変わりますが、その基本は
やさしく、ていねいに粉の中央から「の」の字を描くようにそそぎます。
抽出量は1人前150cc程度が目安です。美味しくいれるポイント4です。

2)そして美味しいアイスコーヒーをつくる
ここまではホットコーヒーをいれる要領とまったく同じです。このあとが
美味しいアイスコーヒーをつくるポイントです。それは急冷すること
急冷はつぎの方法が確実です。大きなボウルに氷水をつくり、その中
にコーヒーの入ったサーバーを浸し、急冷する。急冷したコーヒーを、
氷をいれたアイスグラスに注げば、美味しいアイスコーヒーが出来上が
ります。なお急冷したコーヒーは容器にいれて冷蔵庫に保管すれば、
3日位美味しく飲めます。美味しくいれるポイント5です。


2000.06.06

珈琲道場 1 キングスコーヒーの珈琲と紅茶について
豆太君 キングスには珈琲豆の種類がどのくらいありますか?
Mr.キングス 現在ブレンドコーヒー豆が26種類、ストレートコーヒーが45種類です。
茶子さん それでは紅茶の種類はどのくらいありますか?
Mr.キングス ブレンドテイが21種類、ストレートテイが41種類です。
豆太君 なぜそんなに種類を揃えているのですか?
Mr.キングス コーヒーや紅茶の味は産地、等級、ロースト、ブレンドによってちがいます。また10人10色と言いますが、味の好みは 個人によてちがいます。それぞれお好きな味があります。お客 さまにいろいろな味を楽しんだりお好きな味を選んだりしていただけるようにするためです。
きょうのレッスンはこれまで。次回またお会いしましょう。
資料をご希望の方は e-mail:webmaster@kingscoffee.comへ