珈琲道場
マジックビーン講座

Mr.キングスのマジックビーン講座
・・・・コーヒーの愉しみ方・・・・
1.マジックビーンって何?(いつ、どこで発見されたか?)
2.コーヒーを楽しむためのチェックポイント

3.コーヒーが出来るまで

4.コーヒーの美味しい入れ方
5.コーヒー美味しい飲み方 2006.10.3.
6.コーヒーと健康について 2007.3.26
7.焙煎(ロースト)ってな〜に?2007.10.5.
8.ブレンド(配合)ってな〜に?2007.11.1
9.抽出(ブリュー)ってな〜に?
2007.12.4
10.ちょっと珈琲文化を語ろう
10.1 コーヒー文化とは2008.1.22
10.2 コーヒーの栽培文化の例
2008.1.22
10.3 コーヒーの飲用文化の例2008.1.22
10.4 コーヒーの芸術文化の例
10.5 日本のコーヒー文化の例


10.ちょっとコヒー文化を語ろう22008.1.22〜

10.コーヒー文化を語ろう

10.1 コーヒー文化とは

「文化」という言葉は難しい言葉でいろいろな意味があります。「文化」は英語では「culture」。「culture」の意味はNELSONS SCHOOL DICTIONARYによると、1.preparation for the growth of crops (栽培) 2.training of the mind(修養)  3.refinement(教養)
 また、英和辞典のIWANAMISNEW ENGLISHJAPANESE DICTIONAEYによると,1.耕作、2.栽培・飼育・養殖、3.培養、4.教養・修養・教育、5.ある社会に伝承される生活様式としての文化、6.ある集団の表現様式としての文化、7.文化活動。
 一方、「新明解国語辞典によれば、文化」という言葉には二つの大きな意味があります。1.文明が進んで、生活が便利になること、2.真理を求め、常に進歩・向上をはかる人間の精神的活動によって作り出されたもの、たとえば、学問、芸術です。
 従って、「コーヒー文化」という言葉の意味は、「コーヒーの真理を求め、コーヒーの進歩・向上をはかる人間の肉体的・精神的活動によって作り出されたもの」と定義することができるのではなでしょうか?換言すると、地域と歴史と人間性の相互作用で作り出されたコーヒーの形と言うことができると思います。具体的には、栽培に関する文化(栽培方法・栽培農園・栽培地域)、飲用に関する文化(入れ方・飲み方)、芸術(文学・絵画・音楽など)などがコーヒーに関する文化あるいは文化遺産として考えられます。下記にコーヒー文化の例を紹介しようと思います。

10.2 コーヒーの栽培文化の例

コーヒーの原産地はエチオピアといわれ、コーヒーの栽培を始めたのはイエメンといわれています。これらの地域には素晴らしいコーヒーを中心とした文化が残されています。

(1)エチオピア・ジェルジェルツー村

 エチオピアのハラール地方にあるジェルジェルツー村一帯は約500年以上前、16世紀頃にコーヒーの栽培が始められたとエチオピアの資料に記されているようです。この地域は標高1800m前後、火山性土壌、雨季と乾季があり、雨量が年間2000mm以上で、コーヒー栽培に適する気候風土にめぐまれたところです。ジェルジェルツー村一帯は古い栽培法が現存する栽培地で、現存する「世界最古の農園」と考えられています。ジェルジェルツー村の農園の特徴は、昔の栽培法を守り、カットバックしていないので、7〜8mにもなる樹齢150~200年のコーヒーの木が林立しています。コーヒー豆の収穫は黒く完熟したコーヒーの実をラダーという三脚梯子にのぼり手摘みで採取しています。黄色いゴールデン・ビーンズと呼ばれる豆にはモカ特有の独特の風味があります。

参考:1.森光宗男著「エチオピア、コーヒー野原風景と提言―前編・後編―」
        日本・エチオピア協会ニュース.1120021月)
     2.ジェルジェルツーワールドヘリテージの会パンフレット

(2)イエメン・モカ港とバニーマタルおよびバニーイスマイル

 イエメンはエチオピアの対岸のアラビア半島にあるアジアの国です。世界最初の珈琲の栽培地といわれています。栽培が行なわれたのは15世紀後半(一説には6世紀)とされています。イエメンのモカ港はエチオピアとイエメンのコーヒーの輸出港として栄えたところ。いまでも、その名残りの建物が現存しています。エチオピアとイエメンのコーヒーがモカ・コーヒーという名で呼ばれるのは輸出港であるモカからきています。コーヒーの産地は主として山岳地で、モカマタリで有名なバニーマタルは首都サナアから西へ50km(自動車で1時間位)のところです。イブラヒム・モカの産地であるバニーイスマイルはさらに奥地にあります。モカ・マタリもイブラヒム・モカも小粒のコーヒー豆で、市販されているコーヒー豆では最も小さい部類に属します。しかしその香味は独特のモカ・フレーバーに、フルーツあるいはワインのような酸味とまろやかで深い味わいを有しています。

参考:1.「エチオピア、コーヒー野原風景と提言―前編・後編―」森光宗男著
        日本・エチオピア協会ニュース.1120021月)
     2.「イエメン共和国」日本イエメン友好協会編
     3.「モカ・コーヒーの香りについて」森光宗男著
         FFI JOURNAL Vol.209,No.10,2003

(3)ブラジル・サンパウロ州とサントス

ブラジルのコーヒー栽培は現在、世界一の生産量を誇っていますが、1727年にブラジル・パラ州に移植されたのがスタートです。1780年にサンパウロ州にコーヒーが移植・栽培され、飛躍的に発展・拡大しました。1922年にサントス市に公認珈琲取引所(ボルサ・オフィシャル・デ・カフェ)が設立され、1927/1928年に第一回目の生産量のピーク(169万トン)を迎えました。サンパウロ州とサントス市がコーヒーのメッカと呼ばれる由縁です。サントス市には公認珈琲取引所(ボルサ・オフィシャル・デ・カフェ)の素晴らしい建物がコーヒー博物館として現存しており、当時を偲ぶことが出来ます。ブラジルのカフェ(バールという)ではカフェ・ジーニョとよばれる、濃厚で苦味のあるコーヒーが小さなデミ・カップ(容量70~80cc、コーヒーの量で50~60cc位)で出できます。コーヒーのカップはお店の顔のようなもので、オリジナルのデザインで作られていて、カップを見るのも楽しみの一つです。

参考:1.「O PALACIO do CAFE(The Coffee Palace)
        Bolsa Oficialdo Cafeを訪問した時に購入した本)
     2.「ブラジル珈琲の話() 衛藤六蔵著 TEA&珈琲 昭和95
     3.コーヒーの事典 日本コーヒー文化学会編

10.3 コーヒーの飲用文化の例

コーヒーの飲用はエチオピアピアからはじまり回教徒によってアラビアからイラク、エジプト、トルコに伝えられていったようです。豆も葉も利用していたようです。また最初の頃は薬用として用いられたようです。コーヒーの健康に関する研究がさらに行なわれ、その効果が一層明らかにされることを期待しています。現在では広く食文化として捉えるのが良いのではないかと考えています。

(1)エチオピア

エチオピアにおけるコーヒーの飲用の始まりはコーヒーの葉を利用した飲み物から始まったようです。現在でもコーヒーの葉を火であぶり、土器に水とともに入れて、煮出したものを飲んでいる人々がいるそうです。またハラール地方にはクティとよばれているコーヒーの葉を利用した飲み物があるそうです。さらに、エチオピアには大切な来客をもてなすためや祭礼の時に行なわれてきた古くからの習慣として「コーヒーセレモニー」があります。これは葉ではなくコーヒー豆を細かくすり潰した粉を用います。

参考:1.ジェルジェルツーワールドヘリテージの会パンフレット
     2.「エチオピア、コーヒーの原風景と提言―前編・後編―」森光宗男著
         日本・エチオピア協会ニュース.1120021月)
     3.コーヒー発祥の地・エチオピア/4.エチオピア・コーヒー・セレモニー 森光宗男著

2)イエメン

イエメンの人々が日常的に飲む飲み物はギシル・コーヒーと呼ばれ、コーヒー豆の殻を煎じた飲み物です。通常のコーヒーはほとんどが輸出され、特別な場合を除いて飲まないようです。

参考:1.イエメン共和国パンフレット

(3)イタリア

イタリアのカフェはバールと呼ばれ、街にあちこちにあり、街を形成する重要な要素になっていると思います。イタリアのエスプレッソ・コーヒーは急行列車のコーヒーと言う意味。速く抽出するコーヒーです。1杯づつ急速に浸出する方法が19031904年に考案されている。さらにデシリオ・パボーニ(イタリア)は1907年にべっツァラの機械の改良型でイタリア特許を取得している。エスプレッソ・コーヒーメーカーの原型のようです。彼の考案をくわしく知りたいところです。

参考:1.オール・アバウト・コーヒー
       ウイリアム・H・ユーカーズ著 UCC上島珈琲株式会社監訳

(4)フランス

フランス人はコーヒーに対し強い興味をもち、1644年にド・ラ・ロークがコーヒーを紹介しています。トルコ式コーヒーです。またフランス人はコーヒー抽出器の考案を熱心に行ないました。1800年頃にフランス式ドリップポットの原型となるド・ベロワのコーヒーポットが出現しました。1802年にはドノーブ、アンリオン、ローシュがコーヒー湧かし器の最初の特許を考案しています。フランスのコーヒーは深煎りで苦味のあるコーヒーですが、歴史的な背景やフランス料理との相性があるのではないかと思います。またフランスにはカフェ・オ・レという飲み方がありますが、これは朝に飲むコーヒー。深煎りの苦味の強いコーヒーは朝に飲むには少しきついコーヒーです。カフェ・オ・レにすればそのまま飲んでも良いし、フランス・パンとも良く合います。

参考:1.オール・アバウト・コーヒー
        ウイリアム・H・ユーカーズ著 UCC上島珈琲株式会社監訳

10.4 コーヒーの芸術文化の例

(1)文学(日本の文学・短歌を含む)
(2)絵画(日本の絵画・版画を含む)
(3)音楽

10.5 日本のコーヒー文化の例

(1)コーヒー事始
(2)コーヒー移民
(3)カフェ・パウリスタ
(4)ブラジルコーヒー宣伝部
(5)文学・短歌・版画
(6)コーヒー文化学会

参考文献
奥山義人・伊藤博著 こうひい絵物語(版画珈琲小史)
ウィリアム・H・ユーカーズ著 オール・アバウト・コーヒー



9.抽出(ブリュー)って何?22007.12.4

9.抽出ってな〜に?

9.1 抽出という言葉
 
 コーヒー屋の世界ではコーヒーをいれることを「抽出」という言葉で呼んでいます。「抽出」を国語辞典で調べると、「サンプル・要素などを抜き出すこと」と説明されています。また、「抽」は「ぬく」と読み、「引き抜く」という意味です。「出」は「でる」と読み、「内から外へ行く」あるいは「表にあらわれる」という意味です。

これをまとめると、「抽出」は「あるものから要素を抜き出して表に出す」という意味となります。また、広辞苑(第二版)で調べると、「抽出」には「ぬき出すこと、引き出すこと」という意味と「固体・液体からなる物質を、液体で溶解してとりだすこと」の意味があります。後者はまさにコーヒーの抽出の説明になっています。

「抽出」に相当する英語を考えると、「extract」と「brew」の二つがあります。「extract」は「draw out by force」(引き抜く)、obtain from a substance(抽出する)、pick out(抜粋する)、derive(起源とする)という四つの意味があります。また「brew」には make beer(ビールを醸造する)、make tea or a drink by soaking(浸たすことによってお茶あるいは飲み物をいれる)、bring about(引き起こす)grow to ripeness(熟す)、impend(起ころうとしている)四つの意味があります。「extract」には引き抜くという意味はありますが、お茶や飲み物を入れるという概念はありません。「brew」には「お茶を入れる」という意味があります。コーヒーの事典(日本コーヒー文化学会編)に書かれているように、コーヒーの「抽出」という言葉の英訳は、「extract」でなく、「brew」が正しいと思います。

以上からわかるように、日本語の「抽出」という言葉には、コーヒーをいれることの本質である「成分あるいは要素を抜き出す」(extract)という意味と「コーヒーをいれる」(brew)という意味が包含されています。私はコーヒーの抽出の定義を「コーヒーの抽出とはコーヒー豆と水あるいはお湯のような液体を接触させて、コーヒー豆から液体に一つ以上の成分を引き出すこと」と考えています。なお、コーヒーの事典(日本コーヒー文化学会編)の抽出の説明も参考にしてください。

9.2 抽出の目的

コーヒーを飲むためには、栽培 ―> 精製 ―> (輸入)―> 焙煎 ―> (ブレンド)―> 抽出の一連のプロセスが必要です。コーヒーの抽出はコーヒーを飲むための最終プロセスです。抽出の目的は、人々が満足する美味しいコーヒー液を得ることにあると考えています。すなわち、コーヒー豆と水あるいはお湯のような液体を上手に接触させて、コーヒー豆から液体に美味しい成分を引き出すことです。

9.3 抽出の基本となる考え方

美味しいコーヒーを得るためには、まず抽出する前に飲みたいと思うコーヒーの味の輪郭を頭の中に描くことが重要だと思います。
 
 次に、美味しいコーヒーの味を実現するためには最適な方法と条件を決める必要があります。問題となるのは味に影響する因子です。たくさんあります。ドリップ抽出を例にとると、影響の大きいものとしては、焙煎豆の質、焙煎度、鮮度、粉砕度(粒径分布)、水質、湯温、抽出時間、攪拌の有無、フィルターの目詰まりなどです。とくに抽出の前工程である粉砕すなわち粉砕度(粒径分布)は重要な要素です。粗いと酸味や苦味が軽く、きれのよい味になる傾向があり、細かいと酸味や苦味が強く、深みのある味になる傾向があります。またこの中には自分である程度制御できるものと制御が困難なものとがあります。たとえば、水質や湯温などはある程度制御可能ですが、目詰まりなどは制御が難しいものです。

美味しいコーヒーの最適条件を決めるためには簡単でよいから抽出実験をおこない、決めるのが良いと思います。条件が決まったら、その条件を満足するように抽出を行なえば、理屈の上では美味しいコーヒーが得られます。しかし、実際には味にばらつきがでますので、問題点を考えて試行錯誤する必要があります。美味しいコーヒーの条件を見つける前に自分の好みに合うコーヒーを得る条件を見つけることから始めると良いと思います。

9.4 抽出の実際

実際の抽出にあたっては、コーヒー抽出の基本に従い、コーヒー粒子とお湯(あるいは水)を上手に接触させることが重要になります。美味しいコーヒーを入れようとするといくつかのコツがあります。誰にでも簡単にできるドリッパーとろ紙を使ったドリップ抽出のコツを以下にまとめました。このやり方をマスターすればプロに近い味が得られますよ。

美味しい入れ方のコツ

1).サーバーにロトをのせ、ロトにろ紙をセットする。

2).ろ紙を少量のお湯で湯洗いし、サーバーに落ちた湯をすてる。美味しくいれるポイント1です。

3).ろ紙にコーヒーの粉を所定量いれる。
 コーヒーの粉の量は1人前約8−10gが標準です。1人分抽出する場合は10gですが、たくさん抽出する場合は1人当たりの量を減らします。美味しくいれるポイント2です。         

4).コーヒーの粉に少しずつお湯をふりかけ、むらす。
 お湯をふりかける要領は、粉全体にお湯をポタポタとふりかけ、粉全面が湿り、コーヒー液がサーバーに落ちてきたらやめます。むらし時間は約30秒から1分位が適当です。美味しくいれるポイント3です。

5).お湯を注ぎ、コーヒー液を抽出する。
 お湯の注ぎ方でコーヒー液の味や濃度が変わりますが、その基本はやさしく、ていねいに粉の中央から「の」の字を描くようにそそぎます。抽出量は1人前150−180cc程度(実際にしようする湯量は180−200ccが目安です。美味しくいれるポイント4です。

ちょっと一言

1)コーヒー豆の挽き方はどのくらいが良いでしょうか?
 ドリップコーヒーの挽き方は中挽きが基本ですが、あっさりした味が好きな方は中挽き、濃い味が好きな方は細挽きにするとよいでしょう。

2)ろ紙の湯洗いをするのはなぜですか?
 これはろ紙についた臭いを除くためと、ロトとサーバーをあたためるためです。ろ紙は臭いを吸着し易く、予想以上に臭いが付着していることがあります。湯洗いしたお湯から古本のような臭いを感じる時があるでしょう。

3)むらしはなぜ必要なのですか?
 コーヒーの粉にいきなりお湯をドット注いでも美味しいコーヒーは抽出できません。むらしは美味しいコーヒーを抽出するための準備の工程といえます。水分子がコーヒー粉粒子内部に浸透し、コーヒー成分を取り込んでいる様子を想像するとわかり易いでしょう。

4)お湯の温度は紅茶とおなじように沸かしたてがよいのですか?
 少し違います。お湯の温度は90度位が適温といわれています。お湯は沸騰したものをすこし(1−2分程度)さましてから使うとよいでしょう。


参考文献

1.基礎化学工学 化学工学会編 培風館
2.コーヒーの事典 日本コーヒー文化学会編
3.コーヒー鑑定士検定教本 全日本コーヒー検定委員会編(全日本コーヒー商工連合会)
4.ウィリアム・H・ユーカーズ著 オール・アバウト・コーヒー
5.コーヒー文化研究 第10号 2003年12月発行 コーヒー文化学会
6.コーヒー文化研究 第13号 2005年12月発行 コーヒー文化学会



8.ブレンド(配合)って何?22007.11.1

8.ブレンドってな〜に?

8.1 ブレンドという言葉

「ブレンド」は英語では「blend」です。「blend」を英英辞典で調べると、「mix」という意味です。「mix」は「join together into one mass」という意味です。「ミックス」は「種類の違う物をまぜること」すなわち「混合」という意味です。一方、「ブレンド」は広辞苑や新明解国語辞典には掲載されていません。コーヒー屋の世界では「ブレンド」は「配合」と訳されています。「配合」は「調和するように幾つかの物を取り合わせるあるいはまぜ合わせる」という意味です。英語では「ブレンド」と「mix」を同じような意味で使っているようです。しかし日本語では「ミックス」と「配合」を明確に区別して使っています。コーヒー豆を単に混ぜる(混合する)のではなく、調和するように配合する場合に使う言葉としては「ミックス」でなく「ブレンド」のほうが良いと思います。

 またブレンドの場合にはなぜか外来語の「ブレンド」(英語のblend)と言う言葉が主として使かわれ、「配合」という言葉は従として使われています。「焙煎」の場合とは言葉の使い方が好対照です。私も「ブレンド」を使っています。私は「ブレンド」を「2種類以上のコーヒー豆を混合して、もとの味とは異なる新しい味の輪郭を描くこと」と定義しています。なお、「ブレンド」で重要なことは調和のとれた、個性のある、新しい味を創作することであると考えています。以上

8.2 ブレンドをする理由

コーヒーは単品のストレート豆でも十分に美味しいのですが、純である反面、やや単調になる傾向があります。数種のコーヒー豆をブレンドすると、単品よりも味の幅がひろがり、奥行きがでてきます。使用するコーヒー豆の種類は2種類以上、通常3〜4種類です。しかし、バランスが悪いと、美味しくないコーヒーになります。新しい独自の香りと味を出しながら、どうやって味のバランスをとるかがブレンドの技術でノウハウになります。豆の種類だけでなく、焙煎の度合も影響します。全体の5%の量でも味に影響を与えます。

8.3 ブレンドの基本的な考え方

ブレンドをするためにはまず頭の中に「味の形」すなわち「味の形の輪郭」を描き、さらに、その味の輪郭を作り出すために必要な要素となる幾つかの「要素の味の輪郭」を描く必要があります。これらを頭の中で描いたら、実際にブレンドするコーヒー豆を選んでいきます。最初にベースとなるコーヒー豆を決めます。ベースとなるコーヒー豆で大きい味の輪郭を作ります。次に、味の肉付けをするコーヒー豆を選び、要素の味の輪郭を付け加えていきます。実際にブレンドして、テイスティングして、自分の想像していた味が実際に得られていれば、「良し」ということになります。違う場合には、試行錯誤することになります。ブレンドは職人的な仕事で、感性と熟練が必要です。

8.4     ブレンドの実際的手法

ブレンドする豆の選び方には二つの方法があります。その一つは性格の異なる豆を組み合わせ、それぞれの味の長所を生かし、新しい独自の香りと味と奥行きを作り出す方法です。組み合わせの例としてはコロンビア、ブラジル、モカなどなどです。もう一つは性格の似たコーヒーを組み合わせ、香りと味の幅を広げ、奥行きを出す方法です。この組み合わせの例としてはキューバ、ハイチ、ブラジルなどなどです。

ブレンドの味はベースとして用いるコーヒー豆の味が基本になります。たとえば、ブラジルをベースにした場合には、ブレンドの味が比較的軽く、切れの良いものになる傾向にあり、コロンビアをベースにした場合には味が酸味とコクのあるものになる傾向があります。またカリブ海のコーヒー(たとえばキューバ)をベースにした場合には、味が柔らかでかろやかなものになる傾向にあります。モカをベースにすればモカの風味に富むコーヒーになります。

ブレンドする豆の配合の形には基本となる比率(配合比)が存在します。たとえば2種類なら6・4あるいは7・3(合計を10とする)であり、3種類なら4・3・3(合計を10とする)です。これらは先人が導き出した経験則です。この基本形のバリエーションも数多くあります。これらを参考にいろいろなご自分のブレンド作りを試してみてはいかがかと思います。

参考文献

1)高島君子著 世界のコーヒー専科 P39 大泉書店(昭和53年4月20日発行)
2)嘉茂明宏著 コーヒー最高の一杯COFFEE BOOK P66 大泉書店(1996年2月6日発行)
3)ウィリアム・H・ユーカーズ著 オール・アバウト・コーヒー



7.焙煎(ロースト)って何?22007.10.5.

7.焙煎ってな〜に?

7.1 焙煎ということば

 「焙煎」という言葉を聞いたことがあるとおもいます。よく聞く言葉ですね。珈琲豆を焼くということを日本語で「焙煎」とよんでいます。「焙煎」という言葉の意味を辞典で調べてみました。「焙煎」という言葉は広辞苑や新明解国語辞典にはありませんでした。次に「焙煎」を構成する「焙」と「煎」を調べてみました。まず、「焙」という字は「あぶる」と読み、「火を少し離して焼く」という意味です。また、「煎」という字は「いる」とよみ、「なべなどに入れて熱を加えながら水分を取り去る」という意味です。したがって、「焙煎」は「あぶって、いる」とうことで、「容器に入れて、火を少し離して、熱を加えながら、水分を取り去り、焼く」ということになります。
 また、焙煎に相当する英語は「roast」です。英英辞典では「cook before fire」あるいは「heat too severely ]あるいは「parch]」という意味です。「roast」を簡単な日本語に訳すと「焼く、あぶる、煎る」になります。
 コーヒー豆を焼くということをいつ、だれが「焙煎」と名づけたのでしょうか?実に上手く名づけたものだとおもいます。なずけ人を教えていただければ幸いです。

7.2 焙煎の手法はいつ、どこで発明されたか?

 コーヒー豆の焙煎は15世紀中頃に発見されたようです。それを工夫したのはペルシャ人だという説があります。

7.3 焙煎の実際的な定義

焙煎の実際的な定義としては「焙煎とはコーヒー豆を焙煎機のような容器に入れて、加熱して、飲用に適する状態に変化させる熱的操作である」とするのが良いと考えています。

7.4 焙煎機の種類と構造

構造はドラム回転式が一般的で、直火型、半熱風型、熱風型に分類される。

容量で分類すると、小型の1kg釜から大型の200kg釜まである。

7.5 焙煎度と味覚

ローストは通常、次の8段階に分類されています。

焙煎度

参考

味覚

1.ライト

浅煎り

グリーニッシュな香り、さわやかな酸味

2.シナモン

浅煎り

酸味が柔らかくなる

3.ミディアム

中煎り

果実香、柔らかでまろやかな酸味、苦味はあまり感じられない

4.ハイ

中煎り

酸味に加え、苦味が出てくる

5.シティ

やや深煎り

こうばしい香り、酸味と苦味のバランスが良い

6.フルシティ

深煎り

スモーキーな香りが出てくる、酸味が減り、苦味が強くなる

7.フレンチ

深煎り

豆の表面に油があらわれる、酸味はほとんど感じられなくなり、苦味とコクの味になる

8.イタリアン

深煎り

さらに苦味が増える

7.6 キングスコーヒーの焙煎に対する考え方

コーヒー豆はマジックビーンと呼ばれるように、焙煎することによって素晴らしい香りと味に変身します。焙煎によって香味が変化するコーヒーは、コーヒー豆の個性に合わせ、どのように焼き上げるかが重要なポイントです。キングスコーヒーではコーヒー豆の個性に合わせて焙煎の強さを微妙に変化させています。香りときれいな酸味を楽しむなら、浅めのローストが、こうばしい香りと苦味・コクを楽しむなら、深めのローストがおすすめです。以上。

参考文献
  1)コーヒーの事典 日本コーヒー文化学会編 柴田書店
  2)コーヒー味わいの「こつ」 田口 護著 柴田書店



6.コーヒーと健康について222007.3.26.

1.はじめに

 コーヒーが健康に良いか、悪いかということは古くからのテーマです。10世紀初めに書かれたバグダッドの医師「ラーゼス」の記録では、当時、コーヒーの乾燥した種子を「バン」、その煮出し汁を「バンカム」と呼び、この飲み物を薬あるいは健康飲料として飲んでいたようです(参考3の1)。一時期、健康に悪いということが言われていましたが、最近では健康に良いというデータが出ているようです。これまでに発表された記事や資料を下記に掲載します。この内容については皆様方ご自身で判断していただきたいと思います。まだまだ分からないことがたくさんありますので、きちんとしたデータに基づいた健康に関する論文が発表されることを期待しています。

2.これまでに発表された珈琲と健康に関するする記事と資料

.「珈琲と健康」 泉谷 希光著 (社)全日本珈琲協会 1988.(S63)7.10.発行

.「コーヒー&ヘルス」 中村 治雄監修 全日本珈琲協会

.「カフェインと持久力」(健コロジー) ?新聞

「濃いコーヒーは害」 日刊スポーツ 1997.6.16.

   エスプレッソ一杯飲むと、コレステロール値が3〜4mg上昇。

  5.「カラダが元気になるコーヒーの飲み方(漢方流コーヒー再発見)」

   (1995.H711.1. NHKTV放映「ためしてガッテン」より)

   NHKエデュケーショナル企画制作  (社)全日本珈琲協会

  6.「コーヒー三杯胃がんを予防」 朝日新聞 1998.H109.8.

  愛知県ガンセンター研究所主任研究員 嶽崎 俊郎 日本がん学会発表

  コーヒーを全く飲まない人より飲む人の方が胃がんになる危険率が低い。

  7.「コーヒーは薬だ」河野友美監修 壮快6月号別冊246号 H6.6.1.発行

  8.「コーヒーにがん抑制効果」 朝日新聞 1999.H119.28.

  産業医科大学講師 徳井教孝 コーヒーサイエンスセミナー 全日本珈琲協会主催

  コーヒーを一日一杯以上飲む人は肝臓がんで死ぬ危険が飲まない人に比べ半分になる。

  9.特集ワイド2「コーヒーと健康」 毎日新聞 1999.H111.20.

 10.ヘルシーライフのための珈琲学シリーズ1

「がん予防からダイエットまで」元防衛医科大学校教授 石川俊次 全日本珈琲協会編

 11.ヘルシーライフのための珈琲学シリーズ2

「がんと老化の要因を抑える働き」日本女子大学食物学科教授グェン・バン・チュエン 全日本珈琲協会編

 12.ヘルシーライフのための珈琲学シリーズ4

「コーヒーの香りの脳機能への働き」杏林大学医学部教授 古賀良彦 全日本珈琲協会編

 13.「がん細胞の転移コーヒーが抑制」日本経済新聞 H12.9.4. 

   東京農工大学教授 矢ヶ崎 一三 クロロゲン酸の効果

 14.COFFEE BREAK「薬としての歴史」全日本珈琲協会編 

 15.特集「コーヒーは薬だった」暮らしの達人 H126月号

 16.「コーヒーが胆石予防?」 日本経済新聞 H12.6.11.

 17.「コーヒー豆から残留農薬」. 日本経済新聞 2003.H15.)9.15.

 18.「1日三杯以上コーヒーを飲む人は、直腸がんになる危険が半減する」

   愛知県ガンセンター研究所 田島 和雄

 19.「コーヒーに胆石予防効果?」??新聞 2003.(H15.9.25.

   産業医科大教授 吉村 健清

 20.「コーヒーで糖尿病予防?」朝日新聞 200.(H16.6.29.

 21.「コーヒーの成分のカフェインがストレスを緩和し、運動量を増加させる」

   中村学園大学教授 青峰 正裕

 22.「善玉コレステロールを増やして、動脈硬化を防ぐ」

   防衛医科大学校医師 伊藤 利光

23.「ダイエット効果を上げる、運動前のコーヒー」

「脂肪の燃焼を助けるカフェインの動き」 京都府立医科大学 吉田俊秀病院教授(現京都市立病院内科部長)

「運動中の酸素摂取量を高める、コーヒーの効果」 神戸芸術工科大学 芸術工学部 古賀俊策教授

24.コーヒー/健康の「飲力」読売新聞 2007H1911.11

25.エチオピア産コーヒー生豆残留農薬調査結果について 全日本コーヒー商工組合連合会 2000H207.11.

26.コーヒー・お茶 記憶力に効果? 朝日新聞 2008.(H20.8.15

3.珈琲と健康に関する本:

1)こうひい絵物語(版画珈琲小史) 版画・奥山義人、文・伊藤博 旭屋出版(199311.10初版)

2)カフェイン大全 ベネット・アラン・ワインバーグ/ボニー・K・ビーラー著 別宮貞徳監訳


 4.おわりに

 最初に読むものとしては 泉谷 希光先生の書いたもの(たとえば上記1)や(社)全日本珈琲協会発行のの雑誌をおすすめ致します。また、最近発表されたデータなどをお持ちでしたら、教えていただければ幸いです。 



5.コーヒーの美味しい飲み方222006.10.3

1.はじめに

 コーヒーの98%は水です。水が違えばコーヒーの味が違います。外国で美味しいと思って買ったコーヒーが美味しくないということもままあります。美味しいコーヒーを飲むためには、コーヒーに合った水(軟水)を使うことが基本ですが、水に合ったコーヒーを使うことも必要なことです。

1)日本の水(軟水)に合うコーヒーは
  
浅煎りから深煎りまで、どんな煎り方のコーヒーにも適します。
   日本の水で特徴の出るコーヒーは浅煎り〜中浅煎りのコーヒーです。
   深煎りは苦味が強く出る傾向があります。

2)外国の水(硬水)に合うコーヒーは
   やや深煎りから深煎りが適します。
   浅煎りから中煎りは水に負けて本来の味が出ません。苦味はマイルドに感じられます。
   ミネラル分の影響で成分の抽出が妨げられると考えられています。

2.いろいろな飲み方

2.1 いろいろな国の飲み方

コーヒーは世界的な飲料ですから、世界各地にいろいろなコーヒーがあり、いろいろな飲み方がされています。私もいろいろな国(12ヶ国)のコーヒーを飲み歩みました。まだまだ私の飲んでいないコーヒーはたくさんあります。これからもいろいろなコーヒーを飲んで楽しもうと思っています。皆様が旅行先で飲まれたコーヒーの感想をお聞かせ頂けるとうれしいです。いろいろな国のコーヒーの飲み方の詳細は別の機会に書きたいとおもいます。なお、下記に参考となる本をあげておきました(注1)。

1)カフェジーニョで陽気にブラジルスタイル・・・

2)牛乳たっぷりのカフェ・オ・レでおしゃれなフランススタイル・・・

3)イタリアンの後でエスプレッソ、カフェラテ、カプチーノのイタリアンスタイル・・・

4)厳粛なコーヒーセレモニーをエチオピアンスタイルで・・・

5)王様になった気分でアラビアンスタイルのサルタンコーヒー

6)トルコ料理の後はトルコスタイルのターキッシュコーヒー

7)ベトナム料理のあとはコンデンスミルクをいれたベトナムスタイルのベトナムコーヒー

8)バリスタイルはバリのふんいきで。・・・

9)カリブの海を見ながらコンデンスミルクがはいったジャマイカンスタイルといきたい。

10)山や野外でワイルドにカウボーイスタイルで・・・

2.2 時間帯とコーヒー

 1)朝のコーヒーには・・・
   目覚め、香り効果の高い浅煎り〜中煎りのコーヒーがおすすめ。

 2)午後のコーヒーには・・・
   リラックス効果の高いやや深煎り〜深煎りのコーヒーがおすすめ。

2.3 食事に合うコーヒー
 1)イタリアンには・・・
  やや深煎り〜深煎りのコーヒーがおすすめです。

コーヒーの入れ方はイタリアン=エスプレッソとこだわる必要はありません。ドリップでもエスプレッソでも貴方のお気に召すままにどうぞ。軽いイタリアンなら普通のコーヒーカップで、ディナーならデミタスで飲みたいですね。パスタならやや深煎りが良いと思います。

2)フレンチには・・・

 やや深煎り〜深煎りのコーヒーがおすすめです。イタリアンと同様、エスプレッソでもドリップでも良いのですが 、コーヒーはデミタス・カップで飲む一杯だと思います。最後の「しめ」にふさわしいコーヒーになります。

3)ステーキには・・・
 深煎りのコーヒーがよく合います。これもやはりデミタス・カップで飲むのが良いように思います。

 4)カレーには・・・
  やや深煎りのコーヒーがおすすめです。カレーの種類にもよりますが、マイルドなコーヒーがおすすめです。

2.4 ケーキに合うコーヒー

 1)フルーツ系や甘味の少ない軽い味のケーキには・・・
   中煎り〜やや深煎りのコーヒーが合います。

 2)チョコレート系や甘味のあるしっかりとした味には・・・
   やや深煎り〜深煎りのコーヒーが合います。

 3)ショート・ケーキには・・・
   中煎り〜深煎りのコーヒーがおすすめ。

3.私のおすすめコーヒーメニュー

 ここで紹介をするメニューは私がカフェをしていた時に人気のあった美味しい飲み方です。これらは簡単・美味・飽きないメニューです。ご家庭でできるように参考レシピも入れておきました。是非お試しください。

3.1 ドリップ・コーヒーとそのバリエーション

ドリップ・コーヒーはヨーロッパのフランスで1800年頃ドゥ・ベロワがドリップ・ポットを考案してから発展してきました。

 1)朝に飲むモーニング・コーヒー
   あまり煎り方の強くない(ミディアム・ロースト〜シテイ・ロースト)コーヒーを少し薄めにいれるのがおすすめ  です。
   参考レシピ:コーヒー10gに対し200〜250ccくらいのお湯でドリップする。粉の粗さは中挽き〜やや粗  めに。
 
  
2)  お昼や午後のコーヒー・タイムに飲むアフタヌーン・コーヒー
   煎り方の強いコーヒー(シティ・ロースト〜フルシティ・ロースト)を通常〜少し濃い目にいれるのがおすすめ。  参考レシピ:コーヒー10gに対し120〜150ccくらいのお湯でドリップ。粉の粗さは中挽き。

 3)気が向いた時に飲む強くて、濃いデミタス・コーヒー
   気が向いたら、深煎りの豆を濃く抽出してデミタス・カップで少し飲むのもいいものです。わたしの好きな豆はブ  ラジルです。後口がさっぱりします。ブラジル式なら砂糖はたっぷり入れてかき混ぜずに飲みます。
   参考レシピ:コーヒー10gに対し75ccくらいのお湯でドリップ。粉の粗さは中挽き〜細挽き。また、エスプ  レッソで使うような極細挽きの粉でドリップする方法もあります。抽出に時間がかかりますが・・・。
 
 4)産地のコーヒーで世界の旅をする
   世界の産地のコーヒーを味わいながら、その国に思いを馳せれば、また楽しからずやです。最初は中煎りがおすす  め。さらにお好みの煎り方で味わってみましょう。コーヒーの味が焙煎で如何に違うかが分かり、コーヒーの多様  性と奥深さを実感できます。たとえばこんな飲み方はいかが?まず中煎りのミディアム・ローストでは酸味を、そ  して深煎りのフルシティ・ローストでは苦味とこくを、さらにこの二つを1対1でブレンドしたコーヒーの味を楽  しみます。

 5)ミルク(牛乳)の中に少量のコーヒーを入れて飲む。
   コーヒーの量は牛乳の臭いが消える程度がおすすめ。

 6)コーヒーの中に少量のミルク(牛乳)を入れて飲む。
   ミルク(牛乳)の量はコーヒーの苦味が消える程度がおすすめ。

 7)ミルク(牛乳)とコーヒーのハーフ&ハーフで飲む。
   いわゆるカフェ・オ・レです。まず深煎り(フルシティ〜フレンチ・ロースト)のコーヒーを使い、通常の2倍の  濃さで抽出します。このコーヒーを温めた同量のミルク(牛乳)の中にいれて出来上がり。ミルク(牛乳)とコー  ヒーの割合は1対1が基本ですが、ミルク多めでも良い。なお、ミルク(牛乳)を茶せんとかで泡立てるとカプチ  ーノのようになります。
   参考レシピ:コーヒー10gに対し75ccくらいのお湯でドリップ。粉の粗さは中挽き〜細挽き。暖めたミルク (牛乳)75cc〜100ccと合わせる。
 
3.2 エスプレッソ・コーヒーとそのバリエーション

  約1900年頃イタリアで生まれた入れ方ですが、いまでは世界中に広がりました。エスプレッソコーヒーはドリッ  プコーヒーに比べ、そのままで飲んだらあまり美味しいとは言いがたいというのが正直な気持ちです。しかしミル  ク(牛乳)をいれたバリエーション・コーヒーはじつに美味しい。これも正直な気持ちです。

 1)エスプレッソ・コーヒー
   エスプレッソコーヒーは専用マシーンを用いて蒸気を含んだお湯で抽出します。コーヒーの表面にきれいな泡(ク  レマといいます)ができているのが良いエスプレッソです。コーヒー豆はフルシティ〜イタリアン・ローストした  ものがおすすめ。ミルクを加えず、プレーンで飲むならフルシティくらいのローストがおすすめです。エスプレッ  ソコーヒーはあまり美味しいとはいえないと前述しましたが、苦みが少なく、マイルドでそのままで飲んでもなか  なか美味しいエスプレッソも登場してきました。筆者も最近、エスプレッソ専用のコーヒー豆つくりに力を入れ、  美味しいエスプレッソ専用コーヒー豆を開発しました。興味のある方はお問い合わせください。
   参考レシピ:コーヒーは7gくらいを極細挽きにして用います。抽出時間は30秒くらい、抽出量は3040ccが適  切です。

 2)  カフェ・ラテ:
  温めた牛乳にエスプッレソをいれた飲み物。エスプレッソコーヒーのよさが出る、美味しい飲み方です。
  参考レシピ:温めた牛乳(100〜120cc)にエスプレッソ(30〜40cc)を注ぎます。
 
 3)カプチーノ:
  泡立てた牛乳にエスプッレソをいれた飲み物。ラテより味がまろやかです。人気メニューの一つ。
  参考レシピ:泡立てた牛乳(100〜120cc)にエスプレッソ(30〜40cc)を注ぎます。(
 
 
4)カフェ・モカ:
   チョコレートまたはココアにエスプッレソをいれた飲み物。ココアは無糖のものより多少の甘みがあるほうが美味  しい。
   参考レシピ:温めた牛乳(100〜120cc)にチョレート・シロップを加え、エスプレッソ(30〜40c c)を注ぎます。あるいは温めたココア(100〜120cc)にエスプレッソ(30〜40cc)を注ぎます。 

 4)アフォガード:
  アイスクリームにエスプッレソを注いだ飲み物。デザート的一品です。アイスクリームはバニラが一番良く合いま す。
  参考レシピ:アイスクリームをアイスクリーム・ディッシャーで1杯掬い取る。このアイスクリームのの上にエスプ レッソ(30〜40cc)を注ぎます。

4.私の飲み方・味わい方

これは私の親父からの直伝の飲み方・味わい方です。参考にしていただければ幸いです。

コーヒーはまずブラックで
 コーヒーはまずブラックで一口味わいます。そしてブラックにするか、砂糖をいれるか、ミルクをいれるかきめます 。コーヒーの最初の一口をブラックで飲み、味わうとコーヒー本来の味を見分けることができるようになり、どのよ うな飲みかたに合うのかがわかるようになります。

砂糖は
 砂糖を入れたいと思ったら、最初は少し入れてみます。苦味が消えるくらいが目安。もっと甘い方がよいと思ったら 、思い切ってたっぷりといれます。ブラジルふうにたっぷりいれてかき混ぜずに飲みます。

ミルク(牛乳)は
  また、ミルクを入れたいと思ったら、はじめは少ない量から始めます。浅い煎り方のコーヒーはミルクの味に負け る場合も多いので要注意です。深煎りのコーヒーは非常にミルクとの相性が良いので、カフェ・オ・レやラテのよう にミルクをたっぷりいれて飲みます。

気をつけていることは

体調です。これは仕事柄ですが、できるだけ風邪を引かないように、そして酒を飲み過ぎないように気をつけていま す。

(注1)
 1.柄沢和雄著 世界カフェ紀行(20022月)(株〉いなほ書房
 2.高島君子著 世界のコーヒー専科(昭和534月)P110 (株〉大泉書店


4.コーヒーの美味しい入れ方

4.1 いろいろな抽出法

下記のような抽出法があり、抽出法で味が異なります。

表2 いろいろな抽出法とその特性

抽出方法

小分類

簡単な説明

ボイリング
抽出法

ターキッシュコーヒー

ジャズベという容器にコーヒーの粉と水をいれて火にかける。沸騰して泡が吹き上がってきたら容器を火からはずし、下がったらまた火にかける。これを全部で3回くりかえし、放置後粉が沈んだら上澄みを注いで飲む。

同上

カウボーイ・スタイル

西部劇で見られる簡単な入れ方。コーヒーの粉と水を金属性カップにいれて煮沸。沸騰後容器を火からはずし、粉が沈んだら上澄みを飲む。煮沸の仕方で味がかわる

浸漬抽出法

テイスティング・スタイル

テイスターがカッピングで行なう方法。コーヒーの粉とお湯を容器にいれて攪拌。攪拌後放置。粉を沈降させ分離して上澄みを飲む。なお、テイスターは飲まないで味を調べる。

同上

プランジャーポット法

コーヒーの粉とお湯を容器にいれて攪拌。攪拌後放置。粉をスクリーンで押し下げて分離して上澄みを飲む。コーヒー液に微粒子が混じる。味覚にプラス面とマイナス面がある。

ドリップ抽出法

ペーパードリップ法

ろ紙を使って抽出する方法。現在一番普及している。

同上

ネルドリップ法

布フィルターを使って抽出する方法。味は一番と評価の高い抽出法。

エスプレッソ抽出法

モカ式エスプレッソ・コーヒーメーカー

コーヒーの粉を上の容器(コーヒー液受け)と下の容器(水入れ)の間でサンドイッチにした状態で火にかける。コーヒー液は上の容器に溜まる。

同上

エスプレッソコーヒー・マシーン

蒸気タンクを備えた本格的な家庭用エスプレッソ抽出器。カフェラテ、カプチーノもできる。

ウオ―ター抽出法

浸漬式

コーヒー粉と水を容器にいれて攪拌し、長い時間(2―3時間くらい)放置して抽出。

同上

ドリップ式

コーヒー粉に水を少しづつ長い時間(2―3時間)をかけて滴下して抽出する。


4.2 ペーパードリップで味が変わる要因

ペーパードリップ抽出で同じように抽出しているのに味がいつも変わるということを経験していませんか?味が変わる要因は表2に示すようにたくさんあります。ご自分でチェックして参考にしてください。

表2 ドリップ抽出の味に影響する因子

珈琲豆

種類・品種

アラビカかロブスターかetc

栽培条件

有機栽培かどうかなど。

精製条件

ナチュラルかウオッシュドか、天日乾燥か機械乾燥か

焙煎条件

煎り方(浅煎り、中煎り、深煎り)

保管条件

焙煎後の日数。冷凍保存で粉1〜2週間、豆3〜4週間が目安

挽き方

細挽き〜中挽き〜荒挽き

粉の粒度分布

均一性と微粒子の量

粉の量

コーヒー液の濃さに関係。1人前8〜10gが標準。

ドリッパー

外形

円錐か非円錐か、傾斜角度は?

内壁の構造

抽出液の透過速度に関係。

リブなどの突起物

ろ紙を支えることができる形・幅。

抽出液の流れやすい形・幅・深さ。

突起物と溝の比

ろ紙を支え、抽出液の流れやすい条件。

排出穴

速やかな抽出液の排出。丸穴が最適か、3つ穴か1つ穴かなど。

ろ紙

材質

木材パルプかコットンパルプかなど。

目開き・厚み

抽出液の透過速度と清澄性に影響。

臭い

極端な場合古本のような臭い。湯洗いで除去。

目詰まり

ろ過条件(コーヒー粉の粒度、お湯の注ぎ方)で毎回変化。

付着

付着の程度は毎回変化。

水質

軟水が適。硬水、塩素イオン、鉄イオンは不適。

湯温

通常は85〜90度C位。温度が高いと苦味が強くなる。

湯量

コーヒー液の濃度に関係。粉8〜10gに対し150〜200cc位。

時間

抽出時間は通常2〜3分。長すぎると雑味がでる。

蒸らしの仕方

お湯を粉全体にふりかけ、湿潤させること。(通常30秒位)

抽出の仕方

お湯の注ぎ方(高さ、太さなど)が重要。通常3−4回に分割注湯。

T.P.O

飲む時間

朝のコーヒー、午後のコーヒーなど。

場所

コーヒーだけを飲む、食事とともに飲む、野外で飲むなど。

ふんいき

一人で飲む、友人と飲むなど。

体調

体調の良い時に、悪い時に飲む、のどが渇いたときに飲むなど。


4.3 ペーパードリップの美味しい入れ方

コーヒー抽出の基本はコーヒー粉とお湯(あるいは水)を上手に接触させることです。美味しいコーヒーを入れようとするといくつかのコツがあります。誰にでも簡単にできる、ロトとろ紙を使ったドリップコーヒー抽出のコツ以下にまとめました。このやり方をマスターすればプロに近い味が得られますよ。

(1)用意するもの

 1)ドリップコーヒーに適したコーヒー豆:中挽きのコーヒー豆を用意してください。

 2)ロト(ドリッパー)

 3)ろ紙

 4)サーバー:コーヒー液を受けるもの

 5)やかん:お湯を沸かすためのもの

6)ドリップ用ポット:お湯を注ぐためのもの(あるとよい)

(2)美味しい入れ方のコツ

 1).サーバーにロトをのせ、ロトにろ紙をセットする。

 2).ろ紙を少量のお湯で湯洗いし、サーバーに落ちた湯をすてる。美味しくいれるポイント1です。        

 3).ろ紙にコーヒーの粉を所定量いれる。
 コーヒーの粉の量は1人前約8−10gが標準です。1人分抽出する場合は10gですが、たくさん抽出する場合は 1人当たりの量を減らします。美味しくいれるポイント2です。         

 4).コーヒーの粉に少しずつお湯をふりかけ、むらす。
 お湯をふりかける要領は、粉全体にお湯をポタポタとふりかけ、粉全面が湿り、コーヒー液がサーバーに落ちてきた らやめます。むらし時間は約30秒から1分位が適当です。美味しくいれるポイント3です。

 5).お湯を注ぎ、コーヒー液を抽出する。
 お湯の注ぎ方でコーヒー液の味や濃度が変わりますが、その基本はやさしく、ていねいに粉の中央から「の」の字を 描くようにそそぎます。抽出量は1人前150−180cc程度(実際にしようする湯量は180−200ccが目 安です。美味しくいれるポイント4です。

(3)ちょっと一言

1)コーヒー豆の挽き方はどのくらいが良いでしょうか?
ドリップコーヒーの挽き方は中挽きが基本ですが、あっさりした味が好きな方は中挽き、濃い味が好きな方は細挽きにするとよいでしょう。

 2)ろ紙の湯洗いをするのはなぜですか?
 これはろ紙についた臭いを除くためと、ロトとサーバーをあたためるためです。ろ紙は臭いを吸着し易く、予想以上 に臭いが付着していることがあります。湯洗いしたお湯から古本のような臭いを感じる時があるでしょう。

3)むらしはなぜ必要なのですか?
コーヒーの粉にいきなりお湯をドット注いでも美味しいコーヒーは抽出できません。むらしは美味しいコーヒーを抽出するための準備の工程といえます。水分子がコーヒー粉粒子内部に浸透し、コーヒー成分を取り込んでいる様子を想像するとわかり易いでしょう.。

4)お湯の温度は紅茶とおなじように沸かしたてがよいのですか?
少し違います。お湯の温度は90度位が適温といわれています。お湯は沸騰したものをすこし(1−2分程度)さましてから使うとよいでしょう。

4.4 エスプレッソコーヒーの美味しい入れ方

エスプレッソコーヒーは簡単にいうと、イタリア生まれの、エスプレッソマシーンという特殊な機械で抽出されたコーヒーのことです。エスプレッソマシーンはコーヒーを蒸気の圧力によりあっという短時間(20−30秒位)で抽出します。ちなみに、エスプレッソは急行の意味です。エスプレッソマシーンを用いた美味しい入れ方のコツを説明しましょう。

(1) 使用する器具

エスプレッソマシーンが対象です。エスプレッソマシーンに必要な基本条件は、圧力:9気圧、湯温:90度Cとされています。最近、業務用も家庭用も良い機種がいろいろと販売されています。具体的な機種についてはご相談ください。

(2)エスプレッソコーヒーの美味しい入れ方のコツ

 1)エスプレッソに適した中深煎りからの深煎りのコーヒー豆を選ぶ。

エスプレッソには味と香りの点で中煎りの豆よりも中深煎りからの深煎りの豆の方が適しています。そのなかでも、苦みだけでなく香りと甘みを感じるエスプレッソが抽出されるのが最高の豆です。重要なポイント1です。

 2)エスプレッソに適したコーヒー豆の挽き方は極細挽きにします。

粉の粒度で味が大きく変化します。粉が粗いと水っぽくなります。重要なポイント2です。

 3)抽出容器にコーヒー粉を詰めます。

   詰め方で味が変わります。重要なポイント3です。

 4)エスプレッソコーヒーの量は通常1杯分として30cc前後を抽出します。

本場のナポリでは20−25ccだそうですが。キングスでも30cc程度を基準にしています。濃いようでしたらお好みに合わせて量を調整します。エスプレッソコーヒーの味はドリップ法に比べると同じ豆ならあっさりというか、さっぱりというか軽い味になります。重要なポイント4です。

 5)エスプレッソコーヒーの抽出時間は20−30秒が目安です。

 6)カップはデミカップをお使いください。これだけでエスプレッソ気分になれます。

(3)ちょっと一言

 1)肉料理・味付けの濃い料理・油っぽい料理の後では深煎りの豆の、苦みのしっかりしたエスプレッとソが良く合います。またイタリアンやフレンチでも軽い味わいならば中深煎りの豆で、柔らかな苦みのエスプレッソが良く合います。イタリアでは南と北でエスプレッソの味が違うということですが、これは料理との関係があるのではないかと推測しています。

 2)エスプレッソコーヒーは作り手のテクニックが反映します。イタリアにはバリスタという専門のコーヒー職人がいるほどです。あなたもバリスタになったつもりでお試しください。



3.コーヒーが出来るまで
3.1  コーヒーってな〜に?

その答えはコーヒーの木の「実」、正確にいうと「種」です。

コーヒーの木はアカネ科コフィア属に分類される」常緑樹です。

3.2  コーヒーはどこで採れる?

どこで採れるかというと、赤道を挟んだ北緯25度と南緯25度の間の熱帯性〜亜熱帯性地域(コーヒーベルト地帯)です。生産国には次のような国があります。

アフリカは、エチオピア、タンザニア、ケニアなど
 アジアはイエメン、インドネシア、ベトナムなど
 北米はハワイ
 中米はメキシコ、グアテマラ、ジャマイカ、ハイチなど
 南米はブラジル、コロンビア、ペルーなど

ちなみに、ヨーロッパは消費国ですが、生産国ではありません。

3.3  コーヒーの栽培に適した土地の条件とは?

コーヒーの木はなかなかの気難しがりやで、熱帯でも涼しい山の中腹や高原地帯が生育の適地です。たとえば、エチオピアのアビシニア高原やブラジルのブラジル高原などです。理想的な条件をまとめると以下のとうりです。

 1.気候が温暖。年間の平均気温が20度前後で四季のないところ。
 2.朝は陽が当たり、午後は日陰になるところ。シェードツリーを植える場合もある。
 3.十分な雨量。年間雨量が1000~3000mm。スプリンクラーを設置する場合もある。
 4.有機質の多い、肥えた土壌。
 5・水はけが良い、火山質のような土壌。
 6.風あたりが強くないところ。
 7.霜・雹が無いところ
 8.とくに良質なコーヒーは標高が600~2000mの高地。

3.4 品種

商業用に栽培されているコーヒーの種類はアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種の3原種で、そのほとんどがアラビカ種です。アラビカ種の中にティピカ、ブルボン、ムンドノーボ、カツ―ラ、カツアイ、マラゴジッペなどの品種があります。

3.5 栽培サイクル

ブラジルを例にとると、10月から12月にコーヒーの花が咲き(開花期)、5月末から8月にかけて収穫され、精製処理される(収穫期)。9月以降から新豆として登場する。ちなみに、ブラジルのコーヒー年度は71~630日。

3.6  精製処理方法

コーヒーの精製処理を大別すると乾燥式(非水洗式)と水洗式があります。収穫されたコーヒーの実をチェリーといいます。このチェリーから果肉を除去したものはパーチメント・コーヒーといいます。パーチメント・コーヒーを脱穀・選別すると、商品の豆になります。この豆をグリーン・コーヒーといいます。

乾燥式あるいは非水洗式(アンウオッシュド)とは、
収穫したコーヒーの実(チェリー)をコンクリート床などに広げて乾燥し、乾燥チェリーにした後、脱穀して果肉とパーチメントを除去する方法。ブラジルやエチオピアなどで行われている。ナチュラルともいう。

水洗式(ウオッシュド)とは、
収穫したコーヒーの実(チェリー)をまず水槽につけ未熟豆を分別し、パルパーで果肉を除去、さらに水槽で粘着質も除去する。さらに乾燥処理した後、パーチメントを脱穀除去する方法。コロンビアなどの中南米やアフリカで行われている。

なお、どちらの方法が味の面ですぐれているかということは、難しい問題で、むしろ好みの問題といえるのではないでしょうか?

また、パーチメント・コーヒーの乾燥方法には天日乾燥と機械乾燥があります。機械乾燥のほうが効率的だが、味の面ではゆっくりとした天日乾燥のほうが良い。

3.7  珈琲の取引

コーヒーは世界でも代表的な貿易品。生産国で栽培・収穫・精製されたコーヒー生豆(グリーンビーンズ)は世界の消費国に船(ときに飛行機)で輸出される。
収穫後1年以内の生豆を「ニュークロップ」、1年以上2年未満のものを「パーストクロップ」、それ以上経ったものは「オールドクロップ」と呼んでいる。

3.8  新しい市場

最近、次のような新しい市場システムが形成されつつある。これらの新しい市場を見守って行きたいと思います。

1.スペシャルティ―・コーヒー:品質基準を明確化する品質保証市場システム
2.オーがニック・コーヒー:有機栽培基準を明確化した有機栽培市場システム
3.フェア―・トレード・コーヒー :最低価格保証市場システム(ヨーロッパ主体)
4.レイン・フォレスト・アライアンス:森林生態に配慮した市場システム(アメリカ主体)
5.ウツカぺ:フェア―・トレード的市場システム(オランダ主体)

参考文献
日本コーヒー文化学会編 コーヒーの事典
全日本コーヒー商工組合連合会発行 コーヒー鑑定士検定教本



2.コーヒーを楽しむためのチェックポイント
良い珈琲豆を選び、やさしく、ていねいにコーヒーを抽出すれば、だれでも美味しいコーヒーが楽しめます。このポイントをコーヒーを楽しむためのチェック・ポイントとしてまとめました。

2.1 見る
珈琲豆はピンからキリまであります。信頼できるお店を見つけましょう。

信頼できるお店を見つけるにはとにかくお店をよく見ることです。お店の外観、店内レイアウト、そしてお店全体のふんいきをみましょう。とくにふんいきは大事です。お店のポリシーはふんいきにあらわれるものです。

次に、スタッフとコミニュケートしましょう。珈琲を愛するスタッフならば珈琲豆について詳しい情報を提供してくれます。スタッフが誠実かどうかは珈琲の説明をしてもらえばわかるものです。

2.2 
選ぶ

珈琲豆を選ぶ基準は上質と鮮度です。珈琲豆が上質であって、鮮度が良いものを選びましょう。さらに自分の好みも加味すれば最高の珈琲豆があなたの手にはいります。

百聞は一見にしかず。珈琲豆を選ぶ時には珈琲豆を必ず見せてもらいましょう。見るのは珈琲豆の色・つや・均一性などです。鼻も利かせてください。香り・匂いはどうですか?これらのことからある程度品質をしることができます。とくに香りは重要です。新鮮な珈琲豆には新鮮な香りが、良い珈琲豆には良い香りがあります。新鮮で良い香りがしますか?すれば、フレッシュで良い珈琲です。1粒食べさせてもらうとなお良いでしょう。

そしてスタッフの説明をききましょう。
品質と価格について疑問の点を聞くと良いでしょう。たとえば品質ですが、味の良否だけでなく、珈琲豆の産地、エステートなどを聞くとよいでしょう。また価格ですが、高いコーヒーには高い理由が、安いコーヒーには安い理由があります。なぜ高いのか?なぜ安いのか?教えてもらいましょう。その理由に納得がいけば、買いましょう。

2.3 入れる
コーヒーの抽出はやさしく、ていねいにが基本。

a.
清潔で臭いのない器具を使う
ろ紙は臭いを吸着しやすいので、コーヒー粉を入れる前に湯洗いする。
布フィルターは使用後水洗いし、水につけて保管。

b.水は軟水[水道水]を使う
水道水を沸騰させて、一息置いたお湯(90度位)が良い。
鉄分や塩素を含む水・硬水は不適当。

c.抽出器具にあった粉の挽き方をする。
たとえばドリップ抽出なら中挽き、サイフォンなら細挽き、エスプレッソなら極細挽き

d.抽出の時間はいつも同じに

e.器具の容量に合わせてつくる
1人分つくるなら1人分の器具で、3人分つくるなら3人分の器具で、

2.4 味わう
マジックビーンはマジックテイスト。
珈琲の抽出液はデリケートです。入れたてを楽しみ、時間の変化を味わいましょう。

a.プレーンで飲むか、ミルクをいれて飲むかはあなたのお好みです
こんな飲み方も・・・最初はプレーンで、次は砂糖を少々加え、さらにミルク加えて

b.同じ豆でも煎り方を変えて味わう。
苦味のすくない味なら中煎り、苦味が利いた味なら深煎り

c.同じ豆でも挽き方や濃度を変えて味わう。
あなたのお好みの味を見つけましょう。たとえば軽めですっきりした味とか重厚で深みのある味など

2.5 
保存する

保存のポイントは珈琲豆の酸化をいかに防ぐかです。

粉より豆がお勧め。そして冷蔵庫より冷凍保存がお勧め。

冷凍保存では、粉で3週間―1ヶ月、豆で2−3ヶ月が保存の目安。
常温保存では粉で1−2週間、豆で3週間―1ヶ月が保存の目安。

2.6 まとめ「美味しい珈琲の4条件」
美味しい珈琲の3条件というといわゆる「3たて」すなわち「煎りたて、挽きたて、入れたて」です。私はこれに「上質」をくわえて美味しい珈琲の4条件としています。



1.マジックビーンって何?
1.1 マジックビーンって何?
マジックビーンという言葉を聞いたことがありますか?耳なれない言葉ですね。キングスコーヒーのルーツである珈琲鑑定士「衛藤六蔵」は珈琲豆のことを愛情をこめてこう呼んでいました。それに倣ってキングスコーヒーでも焙煎によって七変化する珈琲豆をマジックビーンと呼んでいます。


1.2 マジックビーンはいつ、どこで発見されたか?
コーヒーがいつ・どこで発見されたのか定かではありませんが、アビシニア(現エチオピア)かアラビア(現イエメン)が原産地であることは間違いないようです。コーヒーの発見伝説には2つの発見物語があります。アラビアを舞台にした回教僧オマールの発見物語とエチオピアのアビシニア高原を舞台にした山羊飼いカルディの発見物語です。

アラビアの回教僧オマールの発見物語
「回教僧オマールが山中をさまよっていたとき、小鳥が赤い実を食べていた。その赤い実を取り、口にすると美味しく心身に力がわいた。」

エチオピアの山羊飼いカルディの発見物語
「山羊飼いカルディは高原で赤い木の実を食べて興奮している山羊の群れに出会った。その赤い実を食べてみると、悩みが消え、元気が出た。」

イエメンにおけるコーヒー栽培は6世紀から始められていたという権威筋の説があるそうです。

コーヒーが飲み物として歴史に最初に登場するのは9世紀末頃です。アラビアの医者ラーゼスによってコーヒーについての最初の記録が書かれています。コーヒーの実を煎じた汁は刺激的でさっぱりした味で胃に効き目があるとの記述が残されています。

■当時、コーヒーは食べ物であり、果実酒であり、ノンアルコール飲料水だったようです。熟したコーヒーチェリーの果肉は現代でも現地の人に良く食べられているようです。ノンアルコール飲料水としてのコーヒーは外皮と果肉を使った飲み物と生豆を使った飲み物の2通りがあったようです。

15世紀中頃まで、生豆を煎じた汁(カーフワと呼ばれる)が回教僧の秘薬として珍重され、飲まれていたようです。

コーヒー豆の焙煎は15世紀中頃に発見されたようです。それを工夫したのはペルシャ人だという説があります。

やがて、コーヒーは16世紀以降急速に世界各地に普及します。これには16世紀にアジア・・アフリカ・ヨーロッパの3大陸に跨る大帝国を築いたオスマントルコとターキッシュ・コーヒーの文化が大きく影響しているとおもわれます。ヨーロッパには17世紀の始めにベネチアの商人によって伝えられたとされます。日本に伝来するのは17−18世紀です。

参考文献
奥山義人・伊藤博著 こうひい絵物語(版画珈琲小史)
ウィリアム・H・ユーカーズ著 オール・アバウト・コーヒー



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