特別レポート:
原発と原発事故を考える
TOPぺ―ジへ
今年は原発事故に揺れた一年でした。被害にあわれた方にお見舞い申し上げます。福島県磐城市にいる友人と議論を交わし、そしていろいろな友人らと意見を交わし、また知人から貴重な資料をいただくことが出来ましたことに感謝しています。これらを参考に私なりの考えを構築し、「原発事故とエネルギー問題」という論文を書きました。ここに掲載します。合わせて友人・知人の意見も掲載します。皆様のご意見、ご批評いただければ幸いに存じます。 
2011.12.06. 衛藤正徳(記)
 
 目次
 
原発と原発事故を考える

 目次

 A.原発事故とエネルギー問題・・・掲載中(2011.12.06.)
  1.はじめに
  2.原発導入まで
  3.これまでの主な原発事故
  3.1外国の原発事故
  3.2.日本国内の原発事故
  4.原発の明と暗
  5.なぜ脱原発か?
  6.自然エネルギーへの道
  7.日本のエネルギー戦略
  8.まとめ
 B.鍛治邦雄君との対話・・・掲載中(2011.12.10.)
 C.下山敏昭君の意見・・・掲載中(2011.12.19.)
 D.武田邦彦氏の講演・・・掲載中(2011.12.19.)
 E−1.原発の再稼働について考える・・・掲載中(2012.03.31.)
   鍛治邦雄君の意見・・・掲載中(2012.4.9.)
 E−2.原発の廃炉について考える・・・掲載中(2012.06.22.作成07.02加筆修正)
 F.原子力協定と原発輸出の危険性(2013.5.4.)
 G.Y.Y.さんからの情報(arai eiichiからE Araiへのメール)
  (1)2011.325.「東電福島第一3号機で作業員3人大量被爆」・・・掲載中(2012.5.4.)
  (2)2011.326.「福島第一からウラン、プルトニウムの漏出がない」・・・掲載中(2012.5.10.)
  (3)2011.327.昼「無題」・・・掲載中(2012.5.13.)
  (4) 2011.327.夜「29Bqで恐怖を感じるな 」 ・・・掲載中(2012.5.21.)
  (5) 2011.329.「Pu検出と炉の汚染水漏れ」 ・・・掲載中(2012.5..28.)
  (6)2011.330.「RE:Pu検出と炉の汚染水漏れ2011.329doc」・・・掲載中(2012.6.1.)
  (7)2011421000「使用済み核燃料貯蔵プール20113.11doc」・・・掲載中(2012.6.8.)
  (8)201143940「消防の死亡・行方不明の数」・・・掲載中(2012.6.11.)
  (9)2011431810「質問:日本の核燃料の再処理は?消防団と原子力工学との関係は?」
    ・・・掲載中(2012.6.15.)
 (10)2011451536 使用済み核燃料の再処理 読者からの指摘 ・・・掲載中(2012.6.22.)
 H.太陽光発電の我が家の状況・・・掲載中(2013.07.08.)
 I.日本のエネルギーについて・・・掲載中(2015.08.13.) New
 
 

 A.原発事故とエネルギー問題

 原発事故と日本のエネルギー問題
 ―脱原発そして自然エネルギ―へー
                                                                      衛藤 正徳
 1.はじめに

 東日本大震災で亡くなられた方にお悔み申し上げます。また被害にあわれた方にお見舞い申し上げます。
 
   311日に東日本大震災がおこり、津波が発生し、多くの被害をもたらした。同時に福島で原発事故がおこり、福島の地をはじめその 周辺地域が放射能で汚染された。それからすでに5カ月近くになるが、原発事故はいまだ収束せず、汚染水処理もようやく軌道に乗り始 めたという状況である。
   今、原発事故の収束と福島をはじめとする被災地の復興が始まろうとしているが、これには多額の費用と時間が予想されている。新 聞によれば今年だけで4兆円とか・・・。また復興するのに原発事故が足をひっぱっている。放射能汚染された土地は使用できず凍結す るしかない。
   地震があり、人口の多い日本ではこれからのエネルギーを広域に影響を与え、放射能汚染のような二次災害のある原発に頼るのはあ まりにも危険である。原発をこれまで通りエネルギーの中心に据えるのは国民の理解を得られない。原発賛成49%で脱原発賛成が51% になっている。(朝日新聞) 原発事故の発生以来、日本はエネルギー問題に直面し、エネルギー戦略の再構築を迫られている。以下 に原発事故と日本のエネルギ―問題を検討考察する。

2.原発導入まで

原発導入までの経緯はおよそ次の通りである。(日本の原子力施設全データを参考)

1945年に広島、長崎に原爆が投下され、大きな被害を受けた。
また1954年にはアメリカがビキニ環礁で水爆実験を行い、第5福竜丸が被爆する事件が起きた。
1955年(昭和30年)に第一回の原水爆禁止世界大会が開かれた。
この年に原子力の平和利用の名のもとに原子力基本法が公布された。
以後、原子力発電の実用化が一気に進められていく。
1956年に原子力委員会設置、原子燃料公社設立、日本原子力研究所設立
1957年に茨城県東海村・原研の研究炉1号が臨海に到達。
1965年に茨城県東海村・日本原子力発電の商用発電原子炉「東海1号」が発電に成功。
1967年に国産原子炉の開発を目指し、動力炉・核燃料開発事業団を設立。
1970年に関西電力が美浜発電所1号機(加圧水型)を建設。
1971年に東京電力が福島第一原子力発電所1号機(沸騰水型軽水炉)を建設。
1978年に福井県敦賀市の新型転換炉「ふげん」が運転開始。
1985年に原子力発電は石油火力発電を抜き、電源別で1となる。
1994年に福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」が臨海に到達。

3.これまでの主な原発事故(太字は大事故)

 原発は今回の福島の原発事故の以前に下記のように多くの事故が発生している。原発は事故を生じやすい装置であるといえる。これ までは、日本ではチェルノブリ原発やスリーマイル原発のような大事故はおきていなかったが、おおくの事故が発生していた。ついに 福島原発で大事故が発生してしまった。事故に対する認識の甘さがあり、安全を過信していたと思わざるを得ない。

  3.1.外国の原発事故
  (1)チェルノブイリ原発(ロシア)
  (2)スリーマイル原発(アメリカ)
  (3)仏・マルクール核施設で爆発(フランス2011.0912

  3.2.日本国内の原発事故
  (1)泊原発(北海道泊村)・・・タービン翼の溶接部の亀裂
  (2)女川原発(宮城県女川町・牡鹿町)・・・原子炉格納容器の圧力上昇
  (3)福島第一原発(福島県大熊町・双葉町)・・・主蒸気官隔離弁の損傷
  (4)福島第二原発(福島県楢葉町・富岡町)・・・3号機原子炉再循環ポンプ損傷(1989年)
  (5)東海第二原発(茨城県東海村)・・・制御棒ハンドル部のひび
  (6)柏崎・刈場(新潟県柏崎市)・・・燃料棒間隔のずれ
  (7)浜岡原発{静岡県浜岡町)・・・タービン駆動給水ポンプの制御系トラブル
  (8)志賀原発{石川県志賀町)・・・原子炉再循環ポンプの機能
  (9)敦賀原発(福井県敦賀町)・・・2号機熱交換器からの一次冷却水もれ(1999年)
 (10)美浜原発(福井県美浜町)・・・2号機蒸気発生器伝熱細管破断{1991年)
 (11)大飯原発(福井県大飯町)・・・制御棒の落下
 (12)高浜原発(福井県高浜町)・・・燃料集合体の変形
 (13)島根原発(島根県鹿島町)・・・原子炉再循環ポンプの機能 
 (14)伊方原発(愛媛県伊方町)・・・蒸気発生器伝熱細管トラブル
 (15)玄海原発(佐賀県玄海町)・・・蒸気発生器伝熱細管損傷
 (16)川内原発(鹿児島県川内市)・・蒸気発生器伝熱細管損傷
 (17)高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)・・・ナトリウム漏れ(1995
 (18)高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)・・・炉内損傷(2010

(注)原発事故のデータは日本の原子力施設全データから引用した。

 4.原発の明と暗

日本は被爆した国である。しかし原発は原子力の平和利用のもとに国策で推し進められてきた。一基当たりの発電量が大きく、また温暖化防止の切り札と考えられてきた。さらに事故がおこらないように、二重、三重の安全対策が取られているといわれてきた。ところが実際には小さい事故が多数発生していた。そして今回福島で大事故が起きた。また原発導入には多額の原発交付金が支給されてきた。原発導入地では原発交付金で地域振興を図ろうと危険を承知で原発を導入してきた。今、この考え方が福島の大事故により大きな問題としてクローズアップされている。

 5.なぜ脱原発か?

地震・津波は自然現象である。地震・津波の被害は、地震・津波の大きさの予測精度の問題とお金の問題はあるものの地震・津波
対策だけでかなり対応できる。しかし原発事故は地震・津波の影響を受けたものであるが、原発の被害は地震・津波の被害と異なる。放射能汚染がある。放射能汚染は何十年と続き、大切な国土を不毛の地にする。この差は非常に大きい。日本のように国土が狭い地
震国では、地震が起きたときに災害を最小にすることが肝要である。

ところで、科学技術の機械や装置は故障を生じ、人間はミスを犯す。事故が起きる可能性は常にある。現実に原発では事故がたくさん起きている。(上記3項を参照)また原発は軍事施設ではなく、商業用施設であるが、日本が反感を持たれれば、原発がテロにあう可能性もある。この様な事態は絶対に避けねばならない。原発が存在しなければ、この様な悲劇は起こらない。

原発のように多くのの問題を抱え、事故が起これば広域に影響を与え、二次災害(放射能汚染のような)も引き起こすエネルギーはやめるのが賢明である。多くの人が脱原発に賛成しているが、私も脱原発に舵を切る時がきたように考える。とくに、これまで軽視してきた太陽光発電をはじめとする自然エネルギ―を見直し、力を入れることが重要である。自然エネルギ―について賛成する人が増えているのは嬉しいことである。

 6.自然エネルギーへの道

これまで自然エネルギーは軽視されてきた。その理由の一つにエネルギー源として不安定で、大規模化困難であるとされてきた。はたしてそうであろうか?検討考察する。

 6.1.これからのエネルギーに必要な要素

  これからのエネルギーに必要な要素は以下の三つであると考えている。

 すなわち、

 一番重要な要素は「安全なエネルギー」であるということ、

 つぎに「身近にあるエネルギー」であるということ、

 さらに、枯渇しないエネルギー」であるということである。

 6.2.自然エネルギーとは

  自然エネルギーには、太陽光、風力、波力・潮力、流水・水力、地熱、バイオマスなどがある。この中で太陽光、風力、波力、潮力 、流水、水力などは5.1.に書いたようにこれからのエネルギーに必要な要素である身近にある安全なエネルギーである。自然エネ ルギーは最近では再生可能エネルギーとほぼ同じ意味でつかわれている。再生可能エネルギーは英語でrenewable energyである

  6.3.原発と自然エネルギーの比較・・・下記表1に示す。 

 表1 発電方法とその比較2011.0516.作成 911日修正 衛藤正徳)

原子沸騰水

太陽

バイ

設計理

化学エネルギーの利

自然エネルギの利

自然エネルギの利

自然エネルギの利

自然エネルギの利

バイオマスの利

化石エネルギーの利

自然エネルギの利

集積

分散

分散

集積

集積

集積

集積

エネルギー

核分

太陽

風の運動エネルギ

波の往復運



植物や生物の焼却



天然ガ

水の位置エネルギ

電気生成方

蒸気+タービ

パネ

プロペラの回

蒸気+タービ

蒸気+タービ

蒸気+タービ

水+タービ

システム構


付属機操作
予備電

操作

操作

操作

操作

操作

操作

操作

設置場

人里から30km離れた

日当たりのよい

風の強い

波のある

地熱のある

水の豊富な

設置面

平方m/kw

1枚は

1台の規(kwh


50万〜100

小〜
1.5

設置費

本体設付属設電気設




原子ポン

小〜

発電単

Kwhあたり(注

4.86.210<

49

914

5.06.5
1.017.35.87.1

8.213.3

耐用年数(注

40

20

20

40

60

システムの難易

複雑で

簡単で容

システムの問題

技術
安全(放射能

自然相手(天候

自然相手(風

自然相手(波

自然相

植物・生物の管理

ほとんどが輸入品大気汚

自然相
ムが必要

運転操作

維持管理


放射水の確
・使用済み燃料の処

大気汚

安全

事故の件と発生(詳細は3.これまでの主な原発事故参照

問題あ
外国2ヶ所
1.チェルノブイ
2.スリーマイ
国内16ヶ所
泊、島第二、柏崎刈場、敦賀、美浜など

事故の影

広範

環境汚

広範囲で深

面積的影

広範

時間的影

長期

CO2排出量(/kwh) (注

2225?

53?

29?

975?
742?
608?

11?

放射能汚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
注)発電単価:2010年経産省作成データ

発電単価の問題点:

1.算出根拠があいまい

2.事故の費用(原発の廃炉、被災地の復興、被災者の賠償)は含まれていない

  3.正しい発電単価の計算基本式;設備コスト+運転コスト+土地取得コスト

 6.4.自然エネルギーへの道

日本のエネルギーを原発中心から、自然エネルギ―中心に変えていくには次のようなプロセスが必要である。

まず、地域の復興・再生のエネルギーとして、放射能汚染のない、太陽光発電をはじめとする自然エネルギーを優先して採用する方針を決める。

その方針に従って、自然エネルギー施設をつくり、稼働させる。自然エネルギー施設は停止する原発に相当する能力の施設にする。自然エネルギー施設の稼働状況を確認したら、原発を停止し、しかる後廃炉にする。一基づつ行う。

なお、太陽光発電をはじめとする自然エネルギーについてはさらなる研究開発が必要である。これからの政府の取り組みに期待したい。

7.日本のエネルギ―戦略

日本のエネルギーをどう考えたらよいか?現在ではなく未来(できれば100年後)の理想とすべき日本人の生活と産業と環境を塾慮してエネルギ―戦略を立てるべきであろう。その場合、人びとの安全こそ最優先にすべきである。すくなくとも放射能汚染を引き起こし、環境に長く、広範囲に悪影響を及ぼす原子力発電所のようなエネルギー源は狭くて小さい日本の国土にはふさわしくない。データを集めて検討し、日本に最適なシステムを後日報告したい。

  8.まとめ

福島における原発事故で日本における原発の安全性と問題点が明らかになった。日本のエネルギーをこれまでの原発中心から原発以外の安全なエネルギーへシフトすることが日本のためになる。とくに自然エネルギーの活用が必要不可欠である。

   その他
   この論文に対するご意見、ご質問はメール(info@kingscoffee.jp)でお願いいたします。

参考・引用文献
1.資料による新しい歴史 浜島書店編集部編著 浜島書店発行
2.日本の原子力施設全データ 北村行孝・三島勇著 (株)講談社発行
3.朝日新聞日刊および夕刊 2011312日〜915
(2011.12.06.作成、2012.06.11.一部追加)

 
 B.鍛冶君との対話
 鍛治邦雄君との対話

 この論文を書くにあたっては、福島県いわき市に住む大学時代の友人「鍛治邦雄君」と議論を重ねた。また言葉につくせないほどの協
 力をいただいた。ここに鍛治邦雄君との対話を掲載します。

 
 2011410
 鍛治邦雄 様

 地震、如何でしたか?無事でしたか?
 津波や原発トラブルがあったので気になっていました。
 原発トラブルの収束や地域の再生にかなりの時間がかかりそうなので、大変だと思い ます。
 なお、私のほうはいまのところ大きな問題はありません。
 なにか私のほうで役にたつことがあればメールでご連絡下さい。( 衛藤正徳)

 2011416
 衛藤様

 返信遅くなりました。
 地震の被害はほとんどありませんが、終わりのない余震には参っております。4/11の後、余震は数百回起こっています。いつまで続くことやら、じっと我慢
 です。我が家は原発から60km離れていますので、放射線量は健康に影響することはないと思いますが、それでも家庭菜園はやめた方がよさそうだし、外出 も控えがちです。今後数年間は忍耐ひとすじになりそうです。コーヒーの消費量は増えそうです。(鍛治)

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 201153
 衛藤様 
 お元気のことと思います。
 今日小包を受領しました。たくさんのお心尽くしに家族共々感謝しております。さっそく美味しくいただいております。
 3.114.11にダブルパンチを食らいましたが、幸運にも我が家は大した傷も負わず、今のところ安泰です。
 
 原発事故は、慌てても仕方がないのでじっと我慢の子に徹するのみです。いわき市は原発から30〜60km離れており、国の避難指
 定地域ではありませんが、放射能汚染という風評被害は、大気、水道水、土壌、農産物、海産物、家畜及び人の放射能汚染へと伝播し、 時の経過とともにまるでボディーブローのように人々の日常生活を侵食してきています。岩手や宮城の復興はあっても福島の復興は 難航しそうです。昨日ボランティアで被災地に行ってどぶ掃除をやってきました。ボランティアは5日目です。添付ファイルは昨日の 被災地(薄磯地区)の状況です。人気は全くなく文字通りゴーストタウンです。

 電源が切れたらおしまいというあまりにも稚拙なこの原発事故に対する憤りのはけ口はどこにもありません。最先端の科学を駆使して 安全宣言されたはずの原発がいとも簡単に破綻した現実を見るにつけ、人間の愚かさ、人知の儚さ、が身に沁みます。
 原発は電源が切れたらおしまいということが指摘されていながら、裁判所がそれを認めなかった、という判例があるようです。4/ 27にTBSテレビで放送された情報がネットに公開されていましたので、ご参考までに以下にコピーしました。
 これをみると、今回の原発事故はまさに国の犯罪と言っても過言ではないと思われます。鍛治)

 〜 上記ネット公開記事のコピー〜
 TBS NEWS
 唯一の原発差し止め判決の裏側
 http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4711647.html
 唯一の原発差し止め判決の裏側
 巨大地震が起こったら原発は大丈夫か?安全性については、これまで何度も法廷で争われてきました。全国8か所の原発で、住民が運 転差し止めの訴えを出して争いましたが、訴えは相次いで退けられています。そんな中、たった一度だけ住民の訴えが認められ、原発 の運転をしてはならないという判決が出たことがあります。
 
 当時の裁判長が重い口を開きました。
「原発事故は取り返しがつかない。原発事故を起こさないための司法の責任」元金沢地裁裁判長 ・井戸謙一氏。32年間、裁判官を努めてきた彼は、かつて民事裁判の歴史で極めて異例とされる判決を出しました。それが・・・  「原発を運転してはならない」石川県にある志賀原発の2号機について、「電力会社の想定を超えた地震によって原発事故が起こり、 住民が被ばくする可能性がある 」として運転差し止めを命じたのです。原発の差し止めを求める住民訴訟はこれまで各地で起きてい ますが、訴えが認められた例はあ りません。「これが金沢で言い渡した判決。裁判官人生の中で一番記憶に残る事件」(原発の差し 止め判決を出した 井戸謙一元裁判長)

 井戸元裁判長が初めてテレビの取材に応じました。
 Q.判決を出すまでに一番大事にした軸は?
 「生命、身体、生活環境に大変な影響、万が一、原発事故が起こると。一方で電気の供給など公共的な面もある。そのバランスの中で 、どこまで司法が関われるか、慎重に考えたいと思った」(原発の差し止め判決を出した 井戸謙一元裁判長)
 このとき、井戸氏が書いた判決文にはこんなくだりがあります。「可能性として、外部電源の喪失。非常用電源の喪失。さまざまな故 障が同時に。多重防護が有効に機能するとは考えられない」
 福島第一原発の事故を予言するかのような文字が並びます。(判決のシナリオがそのとおりになった・・・)
 「判決をした原発とは違うが、危惧したものが現実になるというのは大変なショックでした。(福島第一原発の)事故が想定外なのか というと決してそうではないと思うし、そんなに軽々しく想定外という言葉を使うものではないと思う」(原発の差し止め判決を出し た 井戸謙一元裁判長)

 原発事故を想定しえた判決。判決は、地震で事故が起こった場合、その被害は取り返しがつかないという住民の訴えに重きを置いたものです。
 「人間の知恵なんて知れている。地球のこと、地震についてどれだけのことが分かっているか、そこには謙虚にならないといけない。事故に備える、地震に
 備えるという姿勢がやはり電力会社に必要な
のでは」(原発の差し止め判決を出した 井戸謙一元裁判長)

 原発の差し止め訴訟は全国8か所で行われてきましたが、「原発の地震対策は妥当である」などとして、住民の訴えが認められることはありませんでした。志 賀原発についても、控訴審で「国の耐震指針に適合していて問題はない」などとして、住民側が逆転敗訴しました。
 志賀原発は一審判決の後、1200か所にわたる耐震の改善工事を実施。安全性を高めてきました。ですが・・・発生したレベル7の事故。志賀原発を抱える
 地元にも動揺が広がりました。
「この近くで何かあったとき、子供たちがどうなるだろう、そういう思いは強い」志賀原発から10キロの場所に住む友禅作家の 志田弘子さん。原発の差し止めを求めた原告の一人です。福島の事故以降、町の空気が変わったといいます。「みんなが信じようとしていたものに、なんか
 裏切られたような。みんなが不安を持っている声がい
っぱい聞こえるようになった」(志賀原発の近くに住む 志田弘子さん)
 志賀町で先週行われた町議会選挙では原発訴訟のリーダーがトップ当選。収まらない不安が裏付けられた形です。一方で北陸電力は、事故を想定した訓
 練を行なったり、大津波を防ぐ防潮堤の建設など、
安全強化策を発表。「さらなる安全性に万全を期し、わかりやすく丁寧に説明していきたい」とコメントしてい ます。

 Q.裁判所自体も、ある種安全神話に乗っかっていた点はある?
 「結果として、司法はほとんどが今までの原子力行政、あるいは電力会社の仕事を追認してきたわけで、そこでいろいろな警告を発していれば、こういう事態  はなかったかもしれない。最後の砦であるという自覚をより深刻に持って仕事することが、これからの裁判官に求められるのではないか」(原発の差し止め
 判決を出した
井戸謙一元裁判長)2723:15

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 201154
 鍛治邦雄 様  奥 様

荷物が届いてよかったです。今 新緑がきれいです。裁判所の記事をありがとうございます。
 自然は復元力があり、ほとんどなにもしなくても元に戻りますが、
 人間が作り出した原発は、事故がおこるとその影響は広範囲にしかも長く及び、人・モノ・金・時間をつぎこまないと元に戻りません。

 私は東日本の復興・再生やエネルギ―問題について次のように考えています。
 今、データをあつめて、考えをまとめようと思っているところです。これからどうやって東日本そして日本を復興していくかが問題です。
 社会・経済・安全の面で。地域再生の問題や原発の放射能汚染の問題そしてエネルギーの問題が出ています。
 東日本の復興・再生は急を要し、巨額の金も必要で、これに税金が充てられるわけで、日本全体では景気対策が出来そうにありません。景気が良くなる要 素が見当たりませんね。防衛予算のうち、兵器購入費は災害対策費にまわすとかするとよいと思っていますが・・・。

 エネルギーの問題に関して言えば、私は地震国で過密な日本では原発をやめ、放射能汚染がなく、環境汚染のすくない太陽光発電、地熱発電、風力発電
 などの自然エネルギーを中心に据え、これに既往の水力、火力で賄うのが良策と考えています。
とくに太陽光発電は進歩が著しく、簡単に設置でき、家
 庭の電力のかなりの部分を補えるようになってきています。
太陽光発電で世界一になれば、日本がエネルギー自給国、技術立国、環境保全国として世界
 に認められるかもしれません。(
衛藤 正徳)

 2011511日(1)
 衛藤様

 ご返信遅くなりました。
 「原発革命」(古川和夫著)という本には、ウランではなくトリウムを燃料として使えば原発は安全であると書いてあります。ウランを燃料とした原発技術は軍
 事的には有用であるが原爆があるがトリウムを燃料とした原発技術は軍事用には利用しにくいので、米国はトリウム原発の開発を排除した、ということも書
 いてあります。原子力エネルギーの平和利用を可能にすることは人類にとって必要なことと思います。一読をお勧めします。  (鍛治)

 2011511日(2)
 鍛治 邦雄 様

「原発革命」(古川和夫著)は買って読んでみようと思います。いずれにしても、エネルギー政策は日本の命運を握っていると考えています。
 これからも議論させていただければありがたい。(衛藤正徳)

 2011511日(3)
 衞藤様

1昨日から今日までチェルノブイリ関連のTV番組(3夜連続)をやっています。
 1昨日の日本のNHKが編集した番組はチェルノブイリの悲惨さを訴え、人類と地球に対する原発の負の部分を強調していました。
 昨日のフランスで制作された番組は、チェルノブイリ周辺に@人がいなくなったことで動物や植物の多様性が増して広大な自然が甦った、A低レベルの放
 射線の中では動物は放射線に対する耐性ができる、というような内容です。科学的に間違ってはいないのだろうと思いますが、明らかに原発を肯定した内
 容です。更にBチェルノブイリ周辺を世界の使用済み核燃料の保管庫にしたい、とも言っていました。フランスは原発を世界に売り込むためにこんなことまで
 やっているのですね。 今夜は第3話があります。(鍛治)

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 2011512
 鍛治 邦雄 様

メールと情報を有難うございます。
 私の率直な感想意見を述べます。
 フランスは貴兄の言うように原発を世界とくに日本に売り込もうとしているのだと思 います。
 チェルノブイリ周辺に動物や植物の多様性が増して広大な自然が甦った、A低レベル  の放射線の中では動物は放射線に対する耐性ができるとしています  が、すくなくとも人間や動物が放射能の後遺症なく、住めるという確証が科学的にあるのか?疑問です。ここで考えているのは低レベル放 射能の長期にわ
 たる影響です。 それも胎児―乳幼児−小学制―中学生―高校生にいたる成長過程にいる子供たちへの  影響です。
 NHKのように、原発は正の部分より、負の部分が大きいものであると認識していないと、第3のチェルノブリが誕生しかねません。
 事故が起こってからでは遅いので、事故が起こらないようにするにはどうすればよい かを考えないといけないと思います。
 これらのことに関してきちんとしたデータがないように思います。このようなデータがあったら教えて下さい。(衛藤 正徳)

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 2011513
 衞藤様

 私のメールの内容が不正確で誤解があったようですので追記します。
 ”動物は放射線に対する耐性ができる”というのはネズミなどの一部の動物について事故後の解析結果です。人間を含めたすべての動物が放射能の後遺
 症なく住めるということを主張したものではありません。
 番組が言いたかったのは、きちんと科学的に検証すれば放射能と共存できる可能性がある、ということではないかと思います。原発を肯定するフランスの立
 場を肯定するための政策的番組です。
 昨日のチェルノブイリ事故関連番組第3話はドイツで制作されたもので、事故後の処理作業の状況、当時の作業員の無残な死に様、などのドキュメンタリー
 でした。ソ連という国の無責任さを痛感しました。

 添付ファイルは今日(5/12)のTV番組(プライムニュース)で紹介された発電単価です。
 原発の場合はこれに、@原発村への政府の補助金、A使用済み核燃料の再処理費用、B安全確保のための追加設備費用、などを加算すると10円/kw
 以上になろう、と番組では言っていました。福島原発事故のような被害に対する補償金も含めれば更に高くなります。(鍛治)

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 2011516日(1)
 鍛治 邦雄 様

発電方法とその比較をまとめてみましたので、ご参考までに送ります。
 貴兄から頂いた発電単価も入れてあります。これは、主として新聞記事などを参考に私なりにまとめたものです。異論もあると思います。気がついたことがあ
 ればご連絡下さい。
 最近は雨が多く、梅雨がきたような感じです。皐月晴れになれば、気分も少しは晴 れやかになるのですが。
 それにしても、原発の事故の収束の見通しがつきませんね。現場の人たちは精いっぱい努力しているのでしょうが・・・。
 技術力が未熟だったとしか思えません。( 衛藤 正徳)

 2011516日(2)
 衞藤様
 
 さっそく資料を拝見しました。気が付いた点は下記の通りです。
 1.添付ファイルにおいて、赤字部を追加しました。青字部(「為替」)の意味がよくわかりません。
  今まで世界で発生した原発事故は5件あってそのうち3件が日本で起こっている、とフランスのメディアが言っています。
 2.原発の発電単価は、「10<」(@原発村への政府の補助金、A使用済み核燃料の再処理費用、B安全確保のための追加設備 費用、などを加算推定)、  とした方が他と比較する数値として正しいと思います。
 3.私は、ウラン燃料ではなく、トリウムを燃料とした原発に興味があります。(先に紹介した「原発革命」参照。)
  原発方式       ウランを燃料とした原発       トリウムを燃料とした原発
  原爆製造可否      可能                  不可能
  使用済み燃料の再処理  必須  
                不要
 トリウムを燃料とした原発が安全なものであれば、その早急な実現を図ること望まれます。太陽光や風力などの代替エネルギーだけでは人類に必要なエネ
 ルギーを確保することは当面(20〜30年間)は難しいと思われます。原子力を排除するのではなく、原子力の安全な利用のための検討は必要と考えます。
 もちろん現在のウラン原発は廃棄の方向です。

 昨日から飯館村の強制集団避難が始まりました。数十マイクロシーベルトという異常に高い放射能の中で退去を余儀なくされた住民の無念はいかばかりか
 と胸が痛みます。東電は、これら住民の「土地・家屋・家畜等」の所有権を一方的に侵害しました。「所有権」は「民法」によって日本国民に与えられた基本的  権利です。今回の原発事故による避難者は所有権侵害で東電を訴えるべきと思います。所有権(しょゆうけん)とは、物を自分のものとして支配する権利。
 法律的には、所有する者(所有者)が「法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする」権利(民法第206条)。(鍛治)

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 201165
 鍛治 邦雄 様

梅雨の時期を迎えました。その後いかがお過ごしですか?
 遅くなりましたが、以前頂いた下記のメールについての感想と意見を書きます。
 1.「為替」は間違いです。「需給バランス」です。石油などの価格は本来、需給バ> ランスできまるものですが、石油の輸入量と価格は産油国の考えに左右
 される。
 2.原発の発電単価ですが、浜岡原発について、出力あたりの建設費(日本の原子力> 施設全データより)をだすと30円強になる。この計算が正しいかどう
 か  疑問もありますが・・・。
 3.トリウム原発(Th232)は貴兄が指摘するように、原爆製造に向かないようです。また廃棄物も1000分の1と少ないようです。ところで、Th232は原子炉   でTh232−U233(核分裂性核種)−Th229(半減期7340年)と変化するようです。崩壊生成物に至る過程でU233(核分裂性核種)ができます。これは原
  爆にも使用できるのではありませんか? また崩壊生成物として半減期の長いTh229(半減期7340年)ができます。半減期が7340年というのはすこし問
  題があるように思います。
 4.原発エネルギーの代替エネルギー(自然エネルギー)への移行ですが、原発をいきなりすべて止めるのではありません。まず、1つの原発に相当する、地   域にあった代替エネルギ―施設を作り、稼働させ、それからその原発を停止し、廃炉にする。このような方法でエネルギー源を切り替えていけば、時間はか  かるが、十分可能だとおもいますが、いかがでしょうか?
 5.東電を所有権侵害で訴える件について この問題に対する私の意見ですが、まず、所有財産に相当する額のお金・代替地を請求すべきだと思います。こ   の請求が通らなければ訴えればよいとおもいます。訴訟は時間と費用がかかりますから。この件については弁護士を入れたほうがよいと思います。(衛藤)

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 2011618
 衞藤様

今日も朝から雨模様で梅雨らしくなってきました。
 トリウム原発についてネットで添付ファイル(3編)を検索しました。ご参考までに。 下記3.についてですが、Th232の崩壊生成物に至る過程でできるU233
 (核分裂性核種)は トリウム原発(溶融塩原子炉)から取り出すことができないので、原爆の製造には使えないよう です。(添付ファイル参照)。貴兄のご指
 摘のようにTh229の半減期が長いという問題も含めて他にも細かい問題があるのか もしれませんが、原子力の平和利用のひとつの手段として、「ウラン原
 発」よりもはるかに安全に 「トリウム原発」を実現できる可能性はあるのではないかと思います。 下記4.の自然エネルギーへの移行については私も貴兄の  意見と同じです。 「原発革命」の続編として「原発安全革命」が最近出版されたようです。  現在の日本の状況は、国と電力会社が結託して「ウラン原発を推  進する」、という雰囲気があり 心配です。( 鍛治)

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 2011619日(1)
 鍛治 邦雄 様

トリウム原発の資料をありがとうございます。参考にさせていただきます。トリウム原発については、資料をよんでから、議論させていただきます。

 今日、メールしましたのは、今日の朝日新聞の朝刊一面に「汚染水の浄化装置停止」の記事が出ていました。トラブルの原因が「汚染水中の汚泥などの不
 純物」と書かれていました。浄化装置の専門の技術者がいないのでしょうか?水処理のプラントを扱った技術者なら、トラブルに対応でき、解決できるように
 思います。私見ですが、トラブルの一つの解決案は油分離装置とセシュウム吸着装置の間に、粗ろ過をする固液分離装置を置き、汚染水中の汚泥などの不  純物を除去すればよいと思います。参考までに私見を書きました。( 衛藤)

 2011619日(2)
 衛藤様

 全く同感です。本件はまさに貴兄の出番です。(鍛治)

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 201175
 衛藤様

 返信大変遅くなりすみません。 パソコンが故障して6/20に修理に出していましたが、今日やっと戻ってきました。メモリーが皆復 帰しているのでホッとしました。

 1.東電の汚染水処理状況は本当にお粗末ですね。貴兄のいうとおり沈殿槽の後に吸着層を配置すべきと思います。電気会社には、電  気の専門家ばかりで、装置設計者がいないように思えます。
 2.トリウム原発
  1)5/2に「原発安全革命」(古川和夫著)が出版されました。内容は先にご紹介した初版とほぼ同じです。ウランと違って、福島  原発のような事故が起こらない絶対安全な原発であると主張されています。私はこれまでそれを信じていましたが、よく読んでみる  と、トリウム原発はウラン原発に比べて確率は低いといえども、重大事故につながる危険性は残る、という見解に達しました。
  2)トリウム原発は、液状のトリウム燃料の中に個体の黒鉛(核分裂反応の促進剤)を入れて核分裂を持続させます。地震やツナミな  どの異常事態が発生したとき、この装置の下部にある弁を開いて液状の燃料を下方に排出すれば、黒鉛のない液状物だけでは核分裂  反応を継続できないので自然に核分裂は停止する。従って危険はない、と主張されています。
   しかし、この装置が地震でいきなり横倒しになった場合は、その後上記の弁を開いても液状物は落下しません。つまり黒鉛と液状物  が分離できないため核分裂反応は継続することになり、更にこの状態で全ての電源が切れた場合には福島原発を超える重大な事故に  発展すると推察されます。
   形あるものは必ず自然の力によって予期せぬ壊れ方をする可能性があり、そのような事態を想定してプラントは造られなければなら   ない、という貴兄の考え方は正しいと思います。一昨日TVの対談で大江健三郎氏が、「人間は、危険だと感じたときは、その道を  選択してはならない。」と言っていました。
   上記のような理由で、私はトリウム原発はウラン原発より安全性において遥かにすぐれているが、絶対安全とはいえない、という見  解に至りました。
   私は原発の専門家ではないので、これ以上のことはいえませんが、人類が発見した原子力という巨大なエネルギーをなんとか平和的  に利用できないものか、という願望も持っています。トリウム原発の研究者に更なる安全性を確立してくれることを期待したいと思  います。(鍛治)

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2011726

衛藤様

暑い日が続いています。いかがお過ごしでしょうか。テレビ番組「BS世界のドキュメンタリー」で、フランスやロシアの使用済み核  燃料の処理状況が克明に語られていました。20万年後まで使用済み核燃料を管理し続けねばならないこの現実を、天文科学者が「人 類は未来を担保にしてしまった。」と嘆いていました。チェルノブイリ事故以前に当時のソ連は核開発中に事故を起こし、現在もなお モルモット化的な状態におかれている住民が多数いることも報じていました。

 7/21の朝日新聞に、@ウランを原料とした原発から出る使用済み廃棄物から原爆を作ることができる、
            A
日本は既に原爆を1250個も作れる使用済み廃棄物(プルトニウム)を確保している、
                   B日本の原発を推進した当時の中曽根元総理大臣が原発は安全ではないから太陽熱発電の方がよいと、自らの            これまでの考えを変更する発言をした、という記事が載っていました。(添付ファイル参照)
  いずれにしても、ウラン原発廃止の方向は正しいと思います。
 (トリウム原発については灰色なので今後の検討を待つことにしたいと 思います。)(鍛治)

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 2011915
 鍛治 邦雄 様

先日は、コーヒーのご注文ありがとうございました。
 まだまだ暑いものの、ようやく秋らしくなってきました。
 脱原発について小論文を書きました。添付いたしました。未公表です。読んでいただき、ご意見をいただければ幸いです。(衛藤 正徳)

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 2011917

 衛藤様

早速資料を読ませていただきました。記載事項については全く同感です。
 使用済み核燃料が下記の問題を有することが現在の原発の致命的欠陥のひとつであることを追加した方がよいのではないでしょうか?
 @原爆を作るためのプルトニウムを含む。(→原子力の平和利用の嘘)
 A処理手段が確立されていない状態でいたずらに山積みにされている。(→未完成の技術を商業目的に使おうとした業界と国と原子力学会の悪行)
 Bその使用済み核燃料は少なくとも3年間は常時冷却しなければならず冷却が途絶えれば大惨事に至る。(→安全神話の嘘)
 即ち、現在の原発は作ってはいけないものであったにも関わらず、国が国民を騙して危険をかえりみずに強引に作ってしまったものである、ということを明記
 する必要はないでしょうか?

 これまで原発で多くの事故が起こっており、特に今回の福島第一原発事故が起こったから原発はやめることにしましょう、というのでは政府の見解と全く同じ  になる可能性があります。そうではなく、もともとこの原発は科学的に欠陥品であって、作ってはいけないものであったのだからやめることにしましょう、という  話にした方が私は素直に理解できます。

 仮に日本が半世紀前から、原発ではなく、自然エネルギーの開発に全精力を注いでいれば、今頃は世界に冠たる自然エネルギー立国になっていたと思わ
 れます。

 従来(原発事故前)私は原発に無知であったため、原発推進賛成派でした。科学の力で原子力という巨大なエネルギーを活用することはよいことではないか、 という単純な考えからです。しかし、今回の事故で各種報道(TV、新聞、雑誌など)から情報を得て、原発の安全性に関する致命的な不備の多さに愕然と致
 しました。現在私は脱原発派です。私は日本が原発を作ったことは日本政府の国民に対する犯罪であると思っております。

 私の近隣で収穫されたお米から100ベクレル/kgのセシウムが検出されています。いわきの海で採れるウニは900ベクレル/kg、まこがれいは300ベク
 レル/kg、です。川で採れる鮎も数百ベクレルです。今後数十年間は近海の魚は食べられません。近くの山で採れるきのこのセシウムは1000ベクレルを
 超えています。もはや里山でのきのこ狩りは今後数十年間はできないでしょう。ハウス内での栽培されている野菜が多いので毎日の食生活はそんなに変わ ることはないとは思いますが。

 この鬱積した気分はまさに下記の一句に尽きます。
  ”山河嘯くや銀漢に投網打つ”
  「銀漢」とは「天の川」のことです。

例年であれば数十万人の海水浴客で賑わういわき七浜には、今年の夏はひとりも来ませんでした。

  ”言霊の果てフクシマの夏の海”
  「言霊(ことだま)」とは「原発の安全神話」のことです。(鍛治)

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 2011918
 鍛治 邦雄 様

すばらしい意見です。ありがとうございました。( 衛藤正徳)

 
 
   
 C.下山敏昭君の意見  
 下山 敏昭君の意見

 大学の研究室時代の友人である下山敏昭君の意見を以下に掲載する。

 衛藤正徳様       2011・10・24 

 衛藤さんからの小論文読ませて頂きました。私も原発事故発生から、新聞・Tv・雑誌・本などから問題点を求めてきました。中々うまく自分でも整理出来ていません。しかし何か具体的な行動をとることが必要と思っています。特に工学系を出て、日本のプラント建設(原発もプラントの一種です)の一翼に係わりあった技術者として責任があると思うのです。少なくとも多数の原発建設を黙認してきた責任。衛藤さんの様に論文を作成し世の中の人達に喚起していく方法とか、何か脱原発運動のNPOのようなものに係わりあう方法とか、新エネルギー関連のNPO活動に係わりあう方法とかあるように思います。

 私なりの視点として考えるのは次のようなことです。
 @  発はエネルギー密度が他の発電に比べると飛びぬけて高く、事故を起こすとそれだけ危険であること。たとえば、福島第1の1号機だけで広島型原爆千個分の放射能物質をもつそうです。今回の事故で広島型原爆の20個分(ウラン換算)出たそうです。他の発電設備や化学プラントに比べ、非常に危険なものであること。
 A 原発ついて日本で安全に運転する技術がないこと。地震、津波、火山、ほか天災の多い国、日本で運転する技術は多分他の国にもないと思う。よく日本は技術レベルが高くすぐにでも出来るような事を言う人がいるが、そんなに簡単には出来ないと思う。日本の多くの技術は西欧から導入してそれを改善したもので、そのようなものの延長では出来ない。原子炉本体の基本から考えなおす位のものが必要。又原子炉本体をサポートする水、電気、ガス、建屋、土木、基礎、配管、などの技術が研究されていない。それは丁度、太平洋戦争で鉄砲を持った兵士だけ送れば戦争可能と考え、兵站(食糧などの補給)を無視し多くの餓死者を出した戦争と同じです。
 B 原発の燃料の最終高濃度放射性物質の処理処分の技術と場所がないこと。技術は簡単に開発出来ないと思う。日本の地層で何万年も安定している地層などあるのか。
 C これは毎日新聞の解説で知った話しですが、日本は潜在的核保有国です。再処理工場での濃縮技術はすぐに原爆製造可能となるそうです。実際青森の工場はIAEAの定期的査察を受けているそうです。外国も日本をそう見ているそうです。このような技術は保持したいと思う人がいて脱原発を喜ばないようです。

衛藤正徳様      2011・10・27

先日、南三陸町/歌津の民宿に1泊してきました。途中、志津川付近を通ってきましたが、やはり実際見てみると、その被害の大きさに圧倒されました。ここが復興されるにはかなりの年月がかかるだろうとおもいました。福島の原発に近い方へも一度行ってみようと思っています。

 鋭い意見です。ありがとうございました。( 衛藤正徳
 
   
 D.武田邦彦氏の講演  
 武田 邦彦氏の講演

 20111118日に麻生市民会館大ホールで武田 邦彦氏(中部大学総合工学研究所教授)の講演「放射能から子供を守れ」を聴講した。以下にその要旨 を記す。

 ―講演要旨―
  
  1.原発は全部で430か所ある。
  2.日本の原発は日本用に設計されていない。(とくに耐震性)
    外国用の原発を多少手直して使用している。
    日本用の原発は日本人が設計をする必要がある。
  3.壊れた原発はすべて地震が原因。
  4.安全なものなら作る、危険なものなら作らないという考え方が必要である。
  5.事故が起きたら、100年は人が住めないと考える必要がある。
  6.補助金が出るので作っている。補助金がなくても作れるものでないといけない。
  7.石油・石炭は1万年位大丈夫。
  8.被爆は1年間に1ミリシーベルト(21年前の基準)なら安全(経験上)。
  9.白血病は5ミリシーベルト以上で多い。
  10.死の灰(粉)が問題。福島は広島の1000倍。
     34月に空中を舞っていた。
     川崎では1ミリシーベルト/年(実際には11.52.5ミリシーベルト/年)は守れる。
  11.食べ物:6月は肉が、78月は魚(北海道〜太平洋沿岸)、キノコ、牛乳、新米が危ないので、注意の必要がある。

―質疑応答―

1.牛乳について・・・大手は危ない。産地がはっきりしている中小メ―カーがよい。
2.セシウム:40ベクレル/kg位なら良い。検出限界以下なら大丈夫。
3.多摩市:0.040.15μシーベルト。この数値なら大丈夫。
4.計測器:0.10.2μシーベルトが分かるもの(できればもっと精度の高いものが必要)。
5.浄水場:生田浄水場のヨウ素:713ベクレルで基準値(10ベクレル)前後。むしろ、地下水が問題。
6.武蔵工大の実験炉:廃炉なので心配ない。
7.土遊び:今年は、子供はやめたほうが良い。
8.1ミリシーベルトの中味:水0. 1ミリシーベルト、土0.1ミリシーベルト、食材0.4ミリシーベルト、空間0.4ミリシーベルト
9.子供:注意が必要。
10.   移住:仮に自分が移住するとしたら北海道を選ぶ。


  内容が具体的で、多くの質疑応答もあり、充実した講演会でした。(衛藤正徳)
 
   
 E.原発再稼働について考える  
E−1.原発再稼働について考える

 原発再稼働について、314日の新聞に原発世論調査が出ていました。 原発再稼働に約6割(57%)が反対、女性は約7割(67%)が反対と出ていました。もちろん私も反対の一人である。野田首相は政治判断をするようだが、世論調査に民意は表れている。野田首相はこれを尊重しなければならない。これが民主主義の基本である。

原発再開を主張している人達は原発を安全なものにすればよいと言っているが、これは安全神話の形を変えたものであると思う。事故が起こらない原発があると考えているとしか思えない。また事故は防げると考えているようだ。福島の事故をどのように考えているのだろうか?

地震が今も頻発している。福島と同等以上の地震も起こる可能性もあると予想されている。再度、事故が起きたら、原発の継続や再利用を推進している人達はどう責任をとるつもりなのか?福島のことを忘れているように思う。

日本を放射能汚染列島にしてはいけない。原発を再稼働させれば、再び、福島のような事故がおこる恐れもあり、またなし崩し的に稼働をつづけることもありうる。

今が太陽光などの放射能汚染のない自然エネルギ―に切り替えていくべき時である。今の日本は電気が使い放題で、電気飽食の時代である。原発再稼働をしない場合、もし電気が足りなければ、人間が我慢をすればよい。また、各個人が太陽光発電で電気を作り、節電に努めれば、原発を稼働させる必要はないのではないか? 我が家では2.04KWの太陽光パネルで太陽光発電をおこなっているが、約6〜7KWH/日の発電量(2月の場合)を得ている。電気の消費量は約10KWH/日(2月の場合)で、太陽光発電で消費量の6~7割が賄えている。ちなみに家は断熱材で保温効果を高め、暖房は床暖房を主として使用している。 

私は太陽光などの放射能汚染のない自然エネルギ―が原発の代わりに使われ、原発が廃炉になるように見張って行きたいと思っている。また、原発の輸出はすべきでないと考えている。原発で放射能事故が起きても輸出先の国や人びとに私は日本人として事故の責任を負えないからである。

なお、330日の朝日新聞に「政府の「エネルギー・環境会議」は省エネや再生可能エネルギーを広げるため、28項目の規制・制度改革をまとめた。」とあり、7月ごろまでに実行するとあった。主な規制・制度の改革の内容(9項目)も記載されていた。確実に実行してもらいたいものである。
                                          (衛藤正徳 記 2012.3.31.)

*鍛冶邦雄君の意見

原発再稼動論など論外です。福島第一原発の事故を反省して、既存の原発が想定外の災害に遭った場合どのような問題があり、それに対してどのように対応するのか?、そもそも想定外の災害に対する”作業マニュアル”があるのか? 今回の事故後既存原発は一体どのような対策をとったのか?など、基本的なことが全く明らかにされない現状で再稼動とは一体何事でしょうか?

 化学工場の新入社員は、まず緊急時(電源が切れた場合)の安全対策を教え込まれます。化学工場の運転員の最大の使命は、緊急時に化学反応を安全に停止させることといっても過言ではありません。原発は化学工場です。想定外(電源切断)の作業マニュアルを作っていなかったという福島第一原発の稚拙な業務実態を知るにつけ、世界の最先端を行っているはずの日本の技術レベルがその程度であったことに涙が出るほど悔しい思いでいっぱいです。恐らく他の原発も同じでしょう。再稼動など絶対に許してはならないと思います.

 
何かご意見があればお聞かせ下さい。                       (衛藤正徳 記 2012.6.22.)

 
   
 E−2.原発の耐用年数と廃炉について考える  
 
E―2 原発の耐用年数と廃炉について考える

はじめに:

最近、原発の必要性と廃炉の問題が議論されている。628日の朝日新聞には電力株主総会で「脱原発すべて否決」の記事がでていた。株主総会で脱原発に反対した人達は福島の原発事故をどのように考えたのか?事故が起きたら責任を取る覚悟を決めたということか?

また629日の朝日新聞には原子力委員会委員長の近藤駿介氏が事故の事実は雄弁、安全対策甘かった、最悪の想定が基本と語っている。

さらに72日の朝日新聞には「大飯3号機再起動」の記事が出ていた。大飯3号機は1991年に建設されたもので、すでに21年経過している。原発はかなり老朽化し、疲労している可能性が大きい。関電の八木誠社長は会社のトップとして大飯3号機再起動にあたって福島の事故の現場を実際に見てから決めたのでしょうか?また、関電の八木誠社長は会社のトップとして責任を取る覚悟を決めて大飯3号機再起動を決めたと思いますが、事故が起きたらどのような責任をとるのでしょうか?

いろいろな疑問が湧いてきます。原発再起動について反対する国民の多数意見が届かず、梅雨の雲にさえぎられたような感じです。以下に原発の耐用年数と廃炉について私の意見を述べる。

1.原発の必要性
  ―原発の使用か、廃止か―

日本は原発を使用したほうが良いか?あるいは廃止したほうがよいか?を考えてみる。
 原発はエネルギー確保の点を重視すると、必要という答えが出てくる。一方、安全性を重視すると、危険性の高い原発は不要と言う答えが出てくる。
生産活動にはエネルギーが必要であることは確かである。しかし、原発は危険性が高いという致命的な欠点がある。安全が確保できなければ、いいかえれば、原発に事故がおきれば、エネルギー確保ができず、生産活動はできなくなる。このことは、安全性に問題の多い原発にエネルギーを依存することは危険であることを意味する。
 今の日本の社会は産業が発達し、金と便利さの時代である。しかし、福島の原発事故がおこり、原発が社会や環境に致命的ともいえる状況を作り出した。今、「日本を良い国にするためにはどうすればよいか?」を基本から考え直す時期に来た。これまでのように産業と便利さを重視するのではなく、日本全体を総合的にみて良ければ産業の停滞と不便さを我慢することも大切であると考える。
 長期的視野に立ち、日本の将来を考えれば、効率の良いエネル―ギ―である危険性の高い原発より、多少効率が悪くとも安全性の高いエネルギー源(自然エネルギーなど)を改良して使用するほうが総合的にみるとプラスである。それは福島の原発事故のような大事故の起こる可能性が低いからである。ドイツは安全性を重視して、脱原発の道を選んだ。人間が安心して生きていくためには危険性の高い原発ではなく安全性の高い原発廃止を選ぶことが賢明である。

2.原発の耐用年数について

新聞によれば、政府は大飯原発再稼働を決定し、また原発の廃炉を40年にする案を自民党と進めています。これが妥当かどうか考えてみる。さて、ここで問題になるのは原発の耐用年数です。耐用年数は寿命のことです。機械・装置には耐用年数(寿命)がある。耐用年数が過ぎれば、機械・装置は壊れやすくなります。耐用年数を過ぎたものは使わないのがベストの選択である。放射能を出さないものならば、耐用年数を過ぎて使うことも許されるでしょう。しかし放射能を出す原発ではあまりにも危険すぎます。安全を軽視していると思わざるをえない。原発の耐用年数は40年なのでしょうか?何年と考えるのがよいのでしょうか?

2.1.原発(軽水炉)の構造と材質について(参考文献:日本の原子力施設全データ)
(1)原子炉建屋、タービン建屋、補助建屋、コントロール建屋などで構成される。建屋はコンクリート製とおもわれる。
(2)原子炉建屋(コンクリート製と思われる)の中に原子炉格納容器(沸騰水型では鋼鉄板)があり、格納容器の中に原子炉圧力容器(沸騰水型では低合金鋼という特殊鋼)があり、この中に原子炉が 収まっている。なお、鋼鉄板はγ線、X線を止める効果があり、コンクリートは中性子線を止める効果がある。

2.2.耐用年数一覧表について(参考文献:「耐用年数一覧表1」)
(1)原子炉建屋・・・耐用年数:24
  (種類:建物、構造又は用途:鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造のもの、細目:工場用又は倉庫用のもので放射性同位元素の放射線を直接受けるもの)
(2)  原子炉格納容器(沸騰水型では鋼鉄板)・・・耐用年数:20
  (種類:建物、構造又は用途:金属造のもの(骨格材の肉厚が4ミリメートルを超えるものに限る)、細目:工場用又は倉庫用のもので放射性同位元素の放射線を直接受けるもの)
(3)原子炉圧力容器(沸騰水型では低合金鋼という特殊鋼)及び原子炉・・・耐用年数:不明
  なお、一覧表「耐用年数一覧表1」はホームページ:http://minna-no.com/mkaikei/taiyounensuu/taiyounennsuu.htm です。
  (このホームページの元となる原典まではわかりません。)

3.原発の廃炉について

原発を廃炉すべき理由と原発を何年で廃炉にしたらよいかを考えてみる。

3.1.原発を廃炉すべき理由
(1)日本のおかれている条件(自然環境など)は厳しい
    イ)海洋国である。
      津波:地震がおこれば破壊力のある津波が起こる。
      拡散:放射性物質が海に拡散し、環境汚染の原因をつくる。
    ロ)地震国である。
      今も頻発している。福島と同等以上の地震も起こる可能性もあると予想されている。
    ハ)人口密度が高い
      日本は人口密度が高い。従って、汚染が多くの人に影響する。特に子供たちへの影響が大きい。
(2)民意
 原発再稼働について、314日の新聞に原発世論調査が出ていました。 原発再稼働に約6割(57%)が反対、女性は約7割(67%)が反対と出ていました。もちろん私も反対の一人である。野田首相は政治判断をするようだが、世論調査に民意は表れている。野田首相はこれを尊重しなければならない。これが民主主義の基本である。
(3)安全の問題
 原発再開を主張している人達は原発を安全なものにすればよいと言っているが、これは安全神話の形を変えたものであると思う。事故が起こらない原発があると考えているとし気か思えない。また事故は防げると考えているようだ。福島の事故をどのように考えているのだろうか?機械・装置は事故が起きるものである。機械・装置が古くなれば、疲労による事故もある。人間の注意力不足によるうっかり事故もある。また、自然災害の影響による事故もある。福島のことを忘れているように思う。
 原発問題で一番重要なことは安全の問題です。日本を放射能汚染列島にしないようにすることです。そのためには、原発を順次廃炉にしていくことです。原発を稼働させれば、再び、福島のような事故がおこる恐れが多分にある。日本の原発には古いものが沢山ある。事故が起きてからでは遅いのです。今、再稼働で問題になっている大飯原発1号機(加圧水型・1979年)は建設してから約33年経過している。
(4)責任の問題
 原発を廃炉にしないで、再起動・再稼働させた場合に一番問題になるのは事故が起きた時の責任の問題である。福島と同等以上の原発事故が起きた時に、原発の継続や再利用を推進している人達はどう責任をとるつもりなのか?今の原発の組織では責任の所在が明確でない。たとえば、今回の福島の事故の責任はだれがどう負うのか。私は原発設置を決めた人たち(推進した人も含め)、設計者、運転者のすべてが負わねばならないと考える。一番責任が大きい人は誰か?それは原発設置を決めたトップの人たちである。しかし、原発設置を決めた人たちは現在その任にいない人が大部分であるという問題がある。

3.2.原発を何年で廃炉にしたらよいか

今、何年で原発を廃炉にするかが議論されている。628日の朝日新聞には「超党派議員が原発危険度ランク付け・高い順に廃炉を」という記事がでていた。これも一案である。私は耐用年数を参考にして決めると良いと考えている。前述2.耐用年数表を参考にすれば、原子炉建屋・・・耐用年数:24年、原子炉格納容器(沸騰水型では鋼鉄板)・・・耐用年数:20年が妥当であると判断される。

私の結論:

これまで述べてきたことをまとめると、私の結論は以下になる。
 1.日本を放射能汚染列島にしないようするために、原発を廃炉・廃止にすることである。
 2.耐用年数表を参考にすると原子炉建屋・・・耐用年数:24年、原子炉格納容器(沸騰水型では鋼鉄板)・・・耐用年数:20年が妥当であると判断される。
 3.最近の日本の情勢に一言。原発も消費税も梅雨の雲にさえぎられたように、国民の多数意見が届きませんでした。民主党の政権ならば、国民の多数意見を尊重し、政府はマニフェストに従って政策を実行してもらいたいものである。約束違反は子供たちはじめすべての国民に悪影響を与えるものと思う。政府は民意を尊重し、原発を再稼働させずに、廃炉にする工程を明らかにすべきであると考える。

何かご意見があればお聞かせ下さい。      (衛藤正徳 記 2012.7.2.)

 
   
 F.原子力協定と原発輸出の危険性  
 2013年5月3日の朝日新聞(朝刊)安部首相がUAE(アラブ首長国連邦)と原子力協定に署名したという記事がでていました.。また5月4日の朝日新聞(朝刊)には安部首相がトルコと原子力協定を結び、原発新設の「排他的交渉権」を日本に与えるとした共同宣言に署名した記事もでていました。これは日本人の財産を危うくするものである。日本が受注した原発が事故を起こせば、UAEやトルコの国土を放射能汚染で汚し、UAEやトルコの国民に多大な迷惑をかける事になります。また福島の事故で明らかのように多額の賠償が発生します。これは日本と日本国民が負う事になります。原発と原発事故の詳しい情報を与えるにとどめ、原発輸出はやめ、太陽光発電の輸出に変更すべきです。長い目でみれば、日本と相手国のの利益になると考えます。安部首相は原発事故が起きる事を前提に原発の是非を考えるべきである。そうすれば原発はすべてやめることが最善であるという結論に達することは自ずから明らかである。
 (衛藤正徳 2013.05.04.)
 
   
  G.Y.Y.さんからの情報(arai eiichiからE Araiへのメール)  
YYさんからの情報

知人のYYさんから貴重な情報(arai eiichiからE Araiへのメール)をいただきました。下記に掲載させていただきます。(衛藤正徳)
 
 
(1)2011.325.「東電福島第一3号機で作業員3人大量被ばく」

  1)新聞、TVなどで、作業員とは下請け会社の職員であって、東電の職員ではない、

2)放射線障害防止法が事業所の放射線管理を定める法律である、

3)この法律に基づいて、事業所(東電福島第一発電所)は第1種放射線取扱主任者の免許を持つ者の中から事業所の放射線管理のために選出し、文部省の担当掛に書面でその旨を伝える。

4)施設全体、環境、周囲、その中で働く人は東電職員であれ、下請け会社の作業員であれ、すべて事業所(東電福島第一)の取扱主任者がそこで働く人に安全教育、放射線の測定、記帳をする。測定値が評価され、規定値以上の場合は監督官庁(文部科学省)に速やかに報告する。

5)著者は第1種放射線取扱主任者の免許を持つ者である。昨日の作業員3人の被爆の状況を新聞などの報道により解析すると、ここでいう作業員に対する教育(東電の義務)が不十分。長靴が短くて汚染水が靴に入ったなど。長靴でα線もβ線も100%遮蔽できた。

6)3人が施設に入って作業する時は、放射線管理室(長は東電が任命した取扱主任者)の職員が被服、装備の点検、現場の放射線の測定は放射線管理室の職員が行うのであって、作業員(下請け会社)に携帯線量計だけを持たしただけでは、これでは、法の条件には不十分である。(職員が測定を専門として同行すること)

7)新聞報道によれば各人の被爆は180mSvとなっている。これがγ線の全身被爆か足だけのβ線の局部被爆か著者には分からないが、著者の評価によれば180mSvはγ線の全身被爆賭しても生命に影響は無い。致死量は4.5Sv(4500mSv)と教科書には書いてある。四肢(腕、脚)の被爆による致死の限度は全体被爆に対する値よりはかなり大きい。但しこの場合はβ線被爆の場所に部分的にケロイドが残るだろう。しかし後々作業を続行できると思う。但しこの作業員に対しては下請け会社が一生放射線作業をもうさせない、と思う。

8)癌の発生は、特にトリウムTh,ウランU,プルトニウムPuなどα線放出核種が体内に入り、長く留まっていると、危険性はおおきい。1940年代にX線写真を撮るとき造影剤としてトリウムを患者に注入していた。これが肝臓癌の原因になった。

9)ヨードは体の一部に集まるので、局部に線量が高くなる。線量によっては癌の発生がある可能性がある。母乳の中にヨードが入り、乳児に入るかどうかは著者には分からない。

以上間違いもありかもしれないが、大体はこのような状況です。新井栄一

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(2)2011.326.「福島第一からウラン、プルトニウムの漏出がない」

  皆様へ、

  326日までのところ、福島第一から核燃料物質、Uran,U,Plutonium,Puが検出された報告はまだない。東電ばかりでなく東京も含め各研究所がこれらの核種からのα線を探している、と思う。1986年のChernobylでの爆発の後、この事故を始めて発見したのはSwedenの研究所である。α線を検出して、そのエネルギーから原子炉の大事故を予測した。当時ソ連はそれまで発表しなかった。今回の福島の事故で、先ずヨードI131,後にCs137を検出したが、核燃料物質(α放出核)は日本及び周辺国の研究所では今までのところ発見されていない。

東京電力、福島第一は2011325日付けで溜まり水の中の9種の核の放射線強度をγ線検出器で測定した。その結果を公開している。これ以外の核種によってはα線、β線は放出するけど、ガンマ線は非常に弱いというものも沢山ある。ガンマ線検出器空の測定結果は十分信頼できるものではない。大学又は大研究所の結果を見なければならない。

今のところ、燃料棒から核燃料が溶け出てない(大変少量)とすると、このように解釈できる:CsIの水溶性は大変強い。従って露出した核燃料の表面からこれらの核種が溶け出した。しかし、核燃料は酸化物で焼結されているから(セラミック)、水に溶け出しにくい。

環境に放出され人体に入る可能性のある放射物質、それから出る放射線の危険性には順番がある。:αが一番危険、次はβ線。最後はγ線。それにplutoniumPuは放射線作用に加え、化学的に猛毒である。今後はα線放出核種のデータに注目してください。

新井栄一
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(3)2011.327.昼「無題」

 今日327日 日中にN放送局のNewsが福島の原発のタービン室の溜まり水の放射性物質の濃度1ml当たりなんと29Bqと放送。
大変な数字です。世の終わりですか?

 先ず、落ち着いてください。
 放射性の原子が1秒当たり1個崩壊して(死んで)放射線を1個出す、この強度が1Bq。今、簡単のために例として1mlの水の中に1万個のヨード131原子が溶けているとする。半減期は8日(1日は86400秒)、つまり691200秒。すると毎秒10000/691200=0.01446個のβ線が放出される。つまり放射性濃度0.01446Bq/ml=14.46Bq/ml

 一般には 放射線の強度(Bq=放射性元素の濃度/半減期(秒) 具体的に類似を使って説明する:蜂が人を刺す、するとその蜂は死ぬ。100匹の蜂が毎日10人を刺すと、10日で蜂は全部いなくなる、死ぬ。もし蜂が15人をさせば、蜂は20日で全部無くなる。

 原子炉がつくった放射性元素も同じ事で、半減期の短い放射性原子は強度が大きい。逆に半減期の長いものは強度が小さい。発電所の原子炉が作る怖い放射性元素はセシウムCs137半減期=30年、プルト二ウムPu239半減期24100年、Pu2403570年などなど。これらは体に留まる、半減期が長い。後2者はα線を放出する。これが体に非常に悪い。放射線が無いとしてもこれ自体が猛毒である。

ヨード131の濃度のことで目を奪われずに、最も悪いα放出元素を厳重に監視させるように。

新井栄一2011327日(日)記

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(4)2011.327.夜「29Bqで恐怖を感じるな 」

皆さん、
落ち着いてください。1cm立法の水の中に29Bq、この数字を見て世の末を見たようなことにはなりません。

その理由は
 1)世界の物理、化学の学者が30年位前に放射線関係の単位を変えた。Bq以前はCi(キュリー)という単位だった。1Ci(キュリー)370Bqです。従って29Bq0.078 Ci(キュリー)78Ciです。当時若い私はこれは馬鹿な変更だと思った。なぜなら、10の何乗と言うやり方は一般人には直接には分からない。
 2)私は1Ciの放射線の危険性の感覚としてこう考えている:1キュリーのコバルト60の線源があるとする。そこから1mはなれたところに防護なしで1時間座っている。その被爆量は約1remである。これは新単位では0.01Sv=10mSv(ミリシーベルト)です。参考までに致死量は450 rem4.5Svです。
 3)従って、29Bqの線源のコバルトだとすれば、0.01Svかける0.07800.00078 Sv0.78Sv780μSv 780マイクロシーベルトになります。
 4)つまり、これは数字のいたずらです。
 5)次に、あの放送の内容が物理学的にあまり意味が無い。その理由は29億の放射線の出所つまり、核種を示してない。体積かけた総量も分らない。
 6)被爆量が核種に依存する。あの放送の内容では放射線のエネルギーと種類が全部混じって合算して29億と、私は理解する。これでは私は危険性の度合いを考えることができない。
 7)前から書いているようにアルファ線がどのくらいか、無いのか、それをはっきりさせること。ガンマ―線は、べータ線は?エネルギーは?ゼロであるという結果も重要なデータです。こういう内訳がはっきりしてから、評価できます。アナウンサーは渡された原稿を読んだだけでしょう。原稿は誰が書いたか?
 8)今日あれから、フランスとドイツのTV放送を見ました。同じ事を言っていた。あの馬鹿原稿は世界中を一瞬にして駆け巡った。
 9)ああ、情けない。
 10)今朝、自分の大学に電話して、α線を調べてもらいました。結果はゼロです。当事者も「出たら、大騒ぎ」と言っていました。

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(5)2011.329.「Pu検出と炉の汚染水漏れ」

 2011.329
 1.福島第一原発の敷地内の土壌からプルトニウムを検出
 1.1)今まで原子炉建屋、排水関係の測定の結果の中にプルトニウム検出の報告はなかった。測定値はゼロと言う結果も記録しておかなければならない。(関係法規)。α線測定のbackgroundはゼロである。極端に言うと、カリカリと2つなったらα線は「あり」と結論できる
 1.2)初めて敷地内の地中からプルトニウム(α線測定と思う)初めて検出とは、私には理解できない。
 1.3)プルト二ウム観測は原爆で攻撃されることを予想して各国とも主に軍隊の研究所が最高の技術を使って監視している。
 1.4)プルトニウムは細かい粉で風又は水に乗って拡散する。そのため日本の周辺の国、韓国、台湾、米軍の沖縄、グアム基地、オーストラリアなどがこれを検出する可能性がある。Chernobyl事故の場合Swedenの研究所が最初に検出・報告した。
 1.5)先日の29Bqの例であるが、日本発のNewsを外国放送局が見て、それを即時に再放送した。各国が自国の測定結果を発表したら、私はそれを評価する。
 1.6)今時間3299時半頃日本のTVを見たらPuについてはあまり大きな報道にはなってなく、コマーシャルなど長々やっています。

 2.福島2号機の放射性の汚染水漏れはなぜ?
 2.1)この型」の原子力発電機の型名は沸騰水型原子炉です。つまり、Boiling Water Reactor,「やかん型原子炉」。形だけでなく、本当に大きな「やかん」です。この「やかん」にタービンを繋いで、発電する、それがこの型の原理です。米国General Electric社が開発した。福島第1の1号機はGE製です。
 2.2)「やかん」の水が沸騰する。その蒸気をそのままタービンに入れます。タービン」の中で仕事が終わって温度が下がった蒸気は水に戻り(復水器から)ボイラーつまり原子炉の(圧力容器)に戻る。こういう水循環です。
 2.3)タービン、皆さん見たことはあるでしょう。飛行機の翼の下に各1台、又は各2台付いています。あれがタービンです。
 2.4)飛行機のタービンの前3分の1くらいは空気圧縮機と火を燃やすところです。残りの部分が力を出す部分です。
 2.5)飛行機のタービンはこの2つ一体になっていることが分かるでしょう。
 2.6)発電所では、この2つは各々ものすごく大きくて重いので、各々別な建屋に収納されている。それらの間を太いパイプ、電線、通信線が走っている。
 2.7)そこで大地震が来ると各々の収納建屋の地盤ごと別々に揺れる。そうするとこの2者を繋いでいるパイプ、電線、その他にひびが入ったり、壊れやすい。これについては東電はすでに新潟の大地震のときに経験があります。変電所の火災が発生し、原子力発電所が長期にわたって止まっていた。事故当日、長時間あの煙が上がっていたNewsは世界中に中継されました。
 2.8)タービン室での原子炉中の放射線汚染水が漏れたのはそのような次第でしょう。
 2.9)大地震が来て、津波が来るまでの間ではDieselポンプは動いていたでしょう。(東電の社長は、これは全て津波の生と言わんばかりです。)その間数分間くらいは炉の原子炉圧力容器には真水を予定どおり注入していたでしょう。多分。でも原子炉とタービンの間では、もうあちこちのパイプ、配線はきれていたでしょう。建屋の内部ではPuの報告はない。
 2.10)津波後、原子炉建屋からまず白煙を立て、屋根が吹き飛んだことは覚えているでしょう。あれは使用済み核燃料保管プールです。つまり燃料体は使用後かなりの月日を経ていた。その中にはヨード131はもうないが、Puや半減期が長い放射性元素はそっくり残っている。今までにPuの検出は報告されていない。どうして、地中からはじめてPuが?329日の記事ではPu238239,240を検出。原爆実験から来た?それはありえない。Pu238は世の中にない。

 新井栄一

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(6)2011.330.「RE:Pu検出と炉の汚染水漏れ2011.329doc

Tさん、返信ありがとう。

 皆さん、これに関連して、核燃料棒から外に放射性物質がどの位流失しやすいか、しにくいか ここで簡単に説明します:
 1.核燃料はUにしろ、Puにしろ酸化物です。粉状です。これを陶磁器のようにします。これを焼結と言う。
 2.義理の弟は陶磁器を作っているので、陶磁器は何度位で焼いているか教えてもらった。大体1000度位です。溶けて形を無くす温度もその一寸上だそうです。従って1000度より一寸上。火山から流れ出す溶岩のようになる。
 3.温度は昔から暑いものの発する光の色から決めます。物にはよらない。次に大学の窯業の名誉教授に教えてもらった:水溶性のない酸化物は焼結したものから出てこない。つまりPuは核燃料体から非常に流出しにくい。私が昔、講義を聞いたことを思い出すと、核燃料は5つの壁に囲まれている:第1はこの焼結であると。
 4.東電福島ではmox核燃料、つまりPuUと混ぜて使っている。だけど核燃料物質が健康に異常なほど流失していない。
 5.329日皆さんに送った記事の中で「Pu238の存在は理解できない、存在しない」と書いた。それに対して直に質問が来た。この機会に説明する;
 5.1物理現象が起こるためには、必ずその前後に物理量の保存率がある。これは買い物と金(かね)の動きと同様です。但し、物理学ではcredit(借金)はできません。
 5.2可能な原料からPu238が生成するための保存則を見た。現在のところ私には未だその生成の道すじがつかめない。そのためあのように書きました。「世の中に無い」と書いたのは言いすぎでした。訂正します。
 5.3理解できないことが含まれている、結論を言うのはだめです。つまりその生成の道すじをつかまないと、その道すじには、この場合Pu238以外に何ができているかを見なければならない。
 2011330940分 新井栄一

新井さん

 情報有難うございます。
 本日の日経夕刊は、「燃料棒を収める圧力容器が一部壊れている可能性を否定できない」云云と書いています。
 新井さんの説明から、燃料棒を収める圧力容器とタービンをつなぐパイプも同じ圧力容器の一部と考える事ができます。発見されたプルトニウム238が極めて微量だったというこは、多分、還流側のパイプは低圧になっていて、そちらが破損したということをするのかと考えたりしています。
今後ともインプットを宜しくお願い致します。T.より

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(7)2011421000「使用済み核燃料貯蔵プール20113.11doc

 313()の新聞はすでに爆発を、14日(月)の夕刊は3号機水素爆発を報じた。316日朝刊は4号機建屋で「使用済み核燃料プール付近に8メートルの穴2つ」を1面見出しに。4号機は定期点検中で休止中であったのにである。その頃は使用済み核燃料プールに関する記事が続いた。プールの水の循環、冷却、補給が止まった。水の温度が上昇、蒸発、減少。燃料棒の金属被覆材Zrが水と反応、水素発生、爆発。このプールは発電用原子炉のすぐ近くにある。大きさは10m*12m*12m(深さ)、純水をはる。中には使用済み核燃料が貯蔵されている。その名称のとおり。今日のこの議論は「それで良いか」です。

 このプールは本来、核燃料を一時的に原子炉圧力容器から取り出し、ここの中に収める。水の放射線の遮蔽能力は大変高いので作業従事者が近寄っても安全。水の中が良く見える、器具を差し込むことも容易なので、異常の有無を常に点検できる。原子炉の定期点検が終われば、核燃料は元に戻されて、プールは水だけの空になる、と誰でも理解していた。ところが、現在は使用済み核燃料の貯蔵プールである(名称どおり)。この理由は:これを最終的な処理処分が出来ない、最終保管場所を引き受ける国、地方自治体ともに、それは無い、世界的に皆無。日本では燃料サイクルのための再処理も出来ていない。従ってこのプールの名称はこのようになった。いつから誰がそのようにしたのか?

 外国の事情は:
a)核爆弾を製造保有している国々はIAEAの査察の対象にならない。
b)イタリア、オーストリア、デンマーク、そのほかにまだあるかもしれないが、これらの国ははじめから原子力をしなかった。
c)日本と同じ状況にあるのはドイツ、スイス、ベルギーなどなどである。発電炉のそばに使用済み核燃料プールを持ち、その中に貯めるだけである。最終処理処分の見通しは、どの国でも、無い。

 つまり、IAEAはこのやり方に対して、異議を唱えていない。「皆がやれば、怖くない」。そのため、原子力発電のためにはこういうことがもう長らく行なわれている。かなり以前に「原子力はトイレのないマンション」と言った、そして言い続けている人が日本にも外国にもいる。汚れたオムツが部屋の中に積まれてゆく。それが2011313日地震・津波のすぐ後に日本福島で悪臭・汚染・破壊を始めた。

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(8)201143940「消防の死亡・行方不明の数」

 私はまだ消防団員である。
 今日の朝刊を見て驚いた。見出しは岩手県、宮城県の消防の死亡・行方不明者が200人超。内、消防団員が合計194人、署員は17人と記載している。

 私が考える理由は:
  1)消防団員の数は署員よりも何倍も多い。
  2)団員は常日頃、署員から訓練を受けている。安全教育も不足しているとは私には思えない。だけど、団員は災害現場で危険を犯してでも突っ込んでしま う傾向がある。
  3)それから、東京の場合は消防団の定年が高く、高齢化している。訓練において、署員が1列に並んで、その横に団員が1列に並ぶと、親と息子、娘と並ん でいるようである。私の場合は息子、娘じゃなくて、孫と並んでいるようである。

 今度の金曜日に私の所属の署で幹部会議がひらかれる。

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(9)2011431810質問:[日本の核燃料の再処理は?消防団と原子力工学との関係は?」

 1質問:日本の核燃料の再処理は?
 前回の記事中にあるフランスからの燃料はこれから使える燃料の様ですが、前にはフランスが彼らの使用済み燃料を六ケ所村へ持ってくるような記憶が有りますが、間違っていますか?
 本当でしたら、私に理解しにくいことはつぎのようです:長距離運搬リスク的だけでなく、長期的な貯蔵場所としても、どうして日本のような狭い海に近い、沢山地震のある国に持ってくるようなロジックになれますか(チーズではないし)?どうして日本が此れを受け取るんですか?日本にこんなに沢山使用済み燃料が有るのに、すこしそれでMOXを自分で作ればと普通なら思いますが。技術問題ですか?それとも日本の原発反対派が再処理を許さないから(絶対量を増やすことに成る新品を輸入なら良い?)計画が強い日本が国として全般的にマネージしてますか?いまフランスの此の会社が日本を援助するとニュースでみますと、世の中のことが不可解に思います。
 私の説明: 
 この質問文中で言っている六ヶ所村の施設の名称は日本原燃六ヶ所再処理工場。1933年から約2兆1900億円を投資。最新の竣工予定は201010月。しかし何度目かの延期の後、現在は2年延期後の2012年竣工となっている。つまり、全く動作していない。
 使用済み核燃料を溶解し、a)核分裂生成物とb)ウラン、プルトニウムを分離する。a)は放射性廃棄物として安定な化学状態のもの(ガラス化法、ドイツが1960年代に開発した。日本では未だ出来ていない)に加工して、廃棄物貯蔵庫に収める。但し廃棄物を受け入れる場所は未定(引き受ける県、都市、場所が見つからない)。b)には新しい濃縮ウランを加え、新しい核燃料とする。上記の分離作業は従来フランスとイギリスに依頼していた。分離された物a)、b)は全量日本に送り返された。a)は廃棄物貯蔵庫に収められたが、それはもう満杯である。b)mox核燃料として使用されている。現在はフランス製のものだけ使っている。

 第2の質問 御苦労さま!定年後に消防団員になられたのは、原子力工学を専門にされたことと関係があるのでしょうか?
 入団当時のことです。私の家の周りは「ぐら・ぴちゃ」という状況の一軒家、そこに後家さんの一人暮らし、老夫婦だけで住んでいるという状況が沢山でした。それに外国人が多い。消防署は回覧板で団員募集していた。管轄の署に行って、「こんな年だけど採用するか?私の得意とするところは外国語です。」と問うてみた。担当の係長は一寸考えた末、採用となった。外国語で受けたらしい。
 全ての訓練を受けてから、私は応急手当ての指導員に力を入れた。あの頃は応急手当てはまだ少数の方だった。訓練・試験の末、応急手当指導員と言う最高の認定書を戴いた。本来は、今年の328日、課長に辞表の代わりに私の第1種放射性同位元素等取扱免許のコピーと皆さんに送っているe-mailの記事のコピー2点を渡した。ここでは一応定年制はない。課長は喜んでくれた。私はいつも謙遜しているように努めていますが、実は48日に何度目かの表彰を受けます。新井栄一

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(10)2011451536 使用済み核燃料の再処理 読者からの指摘

 43日皆様に送付した「日本の核燃料の再処理は?」に対して、読者の一人から次のような指摘がありました。ありがとうございました:

 新井様

 先般の新井さんの指摘「フランスが彼らの使用済み燃料を六ケ所村へ持ってくるような記憶」について、私の認識が少し間違っていたようです。以下(赤字)のような記述が、このHPに載っています。http://homepage3.nifty.com/ksueda/waste0000.html

 また、放射能の量だけでなく、ガラスで固められた高レベル廃液の中身が問題です。もともと英仏の再処理工場では、日本の使用済み燃料を再処理したときに発生した廃液とその他の廃液を分けているわけではありません。計算上の放射能量で日本起源相当分だけ送り返せばいい契約になっています。このため送り返されてきているガラス固体には日本の原発ではなくフランスなどのガス炉や高速増殖炉の再処理液を処理したものも含まれています。」これらの廃液は、寿命が非常に長く、毒性の強い超ウラン元素などを多量に含み、非常に高い発熱をします。

 この問題に関わらず、日本の原子力の問題全般にわたって、次に紹介する中曽根康弘元総理大臣の話を思い出す:
 20061031日元総理大臣が講演をしてくれた。場所は私が所属していた大学野大講義室である。氏は日本の原子力二エンジンをかけた人である。そのとき(1950年代、第1回、第2回のGeneve会議の後)彼はどうすべきか 中でも 物理学者を訪ねて回り、意見を聞いていた。その中で 彼は 高名な原子物理学者 嵯峨根教授(私はこのお名前をはっきり記憶していないのでお名前を間違えていたら、大変失礼します。)の意見を訊いた。教授の忠告の中にこういうくだりがある:「多額の予算が付くと、ろくな者は来ない。そのことに気をつけるように」。

 嵯峨根教授のこの忠告は現在もまたそのとりである。
 この教授は開戦前までアメリカで実験原子核物理を研究していた。1941年日米は戦争へ。中曽根康弘元総理大臣は上記の講演の中で嵯峨根教授について次のような話をした:
 1945年原爆が日本に投下される少し前にアメリカ軍の偵察機か何かが飛来した。爆弾ではなく通信管を落としていった。その中には手書きの手紙があった。それは嵯峨根教授が当時一緒に働いていたアメリカの原子核物理研究者からのものであった。文面は「近いうちに米軍は原子爆弾を投下する。それは本物の原子爆弾だ、」と言うような趣旨であった。中曽根元総理大臣はその手書きの手紙のコピーをOHPで我々聴衆に見せてくれた。きっと そのアメリカの研究者は嵯峨根教授の親友だったのだろう。

 原子核物理の歴史をめくると、1938年にドイツの物理学者と化学者(若い女性研究者)が共同で核分裂を発見した。研究結果はすぐにアメリカ報せる。そこにはユダヤ人科学者、それを助けるドイツ兵などなど、本当に映画になることが起きた。嵯峨根教授へのアメリカ人科学者からの手紙、それを運んだ米空軍。これもドラマです。
 このような歴史を背負った日本人、特に上層部、嵯峨根教授が元総理大臣(当時は第1代の科学技術長官になる頃)に忠告したことを良くわきまえるべきである。

 完

 
 H.太陽光発電の我が家の状  
太陽光発電の我が家の状況

平成12111日に我が家に小さいものですが、念願の太陽光発電システム(2.04KW)を設置しました。名称は衛藤正徳発電所です。2012年(平成24年)111日に太陽光発電システムを設置以来、1年以上を経過しました。最初は太陽光発電システムでどの位発電するかわからないというのが正直なところでした。これまでのところ、トラブルもなく、順調に発電しています。以下に平成132月までの発電状況を報告します。

その1.平成132月までの我が家の発電状況

下記表1に平成132月までの我が家の発電状況を示します。
  
  表1:我が家の発電状況(2012年1月11日〜2013年 131)

年  月(日数)

日平均の発電量
1日の範囲)

1ヶ月の発電量

モジュール1KW
当りの発電量

2012年1月(21)

 6.52KWH/
 (ー)

137.0KWH/

67.2 KWH //KW

20122(29)

 6.74KWH/
0〜12.2KWH

195.7KWH/

95.9KWH //KW

20123(31) 

 7.16KWH/
0.5〜14.5KWH

222.1 KWH/

108.9 KWH //KW

20124(30)

 8.45KWH
0.6〜14.7KWH

253.4 KWH/

124.2 KWH //KW

20125(31)

 8.72KWH/
1.1〜13.6KWH

270.4 KWH/

132.5 KWH //KW

20126(30)

 .6.80KWH/
0.9〜13.6KWH

203.9KWH/

100.0 KWH //KW

20127(31)

 .8.08KWH/
1.1〜12.4KWH

250.6KWH/

122.8 KWH //KW

20128(31) 

 9.85KWH/
4.2〜12.7KWH

305.5KWH /

149.8 KWH //KW

20129(30)

 7.67KWH/
1.9〜12.3KWH

230.1KWH /

112.8KWH//KW

201210(31)

 7.71KWH/
1.2〜12.2KWH

238.9KWH /

117.1KWH//KW

 201211(30)  6.85KWH/
0.3〜11.3KWH
 205.6KWH /  100.8KWH//KW

201212(31) 

 6.60KWH/
0.2〜10.8KWH

204.6KWH /

100.3KWH//KW

2013年 1(31)  8.49KWH/
0〜11.8KWH
263.1KWH / 129.0KWH//KW

 以下に、上記の表から「201221日〜2013131日までの1年間の総発電量と月平均および日平均を算出して示す。

合計日数:366/(期間:201221日〜2013131)

年間発電量:2843.9 KWH/年、モジュール1KW当り:1394.1KWH/KW/

月平均発電量:237.0KWH/月、モジュール1KW当り:116.2KWH/KW/

日平均発電量:7.77KWH/日、モジュール1KW当り:3.81KWH/KW/

 以上のデータをもとに、我が家の太陽光発電システム(2.04KWのモジュール)について201221日〜2013131日までの1年間(  366/年)の太陽光発電の発電状況をまとめると、

 年間の総発電量は2843.9 KWH/年で、モジュール1KW当りにすると1394.1KWH/KW/年であった。

また月平均発電量は237.0KWH/月で、モジュール1KW当りにすると116.2KWH/KW/月であった。

また日平均発電量は7.77KWH/日で、モジュール1KW当りにすると3.81KWH/KW/日であった。

 この発電量の数値が大きいか、小さいかの判断は難しいところであるが、我が家の通常の電気の消費量は約10KWH前後で、太陽光
 発電で消費量の
6割位が賄えている。なお、我が家は断熱材で保温効果を高め、冬期の暖房は通常、床暖房を使用しています。非常に寒
 い時だけ、エアコンによる暖房を併用している。

 なお、天候による発電の概略の傾向であるが、晴れの日には10KWH前後、曇りの日で0.5〜1KWH発電している。雨・雪の 日はほとんど発電していない。

 2013.05.05.衛藤正徳(記
 
   
 
 I.日本のエネルギーについて

 日本のエネルギーについて                        衞藤正徳

「猛暑でも電力安定」という記事が88日(土)の朝日新聞・朝刊の1面に掲載された。太陽光発電の普及と節電効果によるものとある。これは国民の努力の賜物である。また、「川内再稼働 新基準で初」「九州電力川内原発1号機が11日午前、再稼働したという記事が12日(水)の朝日新聞・朝刊の1面で報じられた。この二つの記事を読み、違和感を感じた。それは、猛書でも電力が安定して供給されているにもかかわらず、なぜ問題の多い原発の再稼働が実施されたのかが理解できないからである。九州電力と川内市は金儲けのことだけを考えているとしか思えない。

日本にとってエネルギーは必要不可欠であるが、どのようなエネルギーが良いかが問題である。安全性の高い質の良いエネルギーこそ日本には必要である。安全性に問題のあるエネルギーは使うべきではない。日本のエネルギーは「量より質」で選ぶことが大切である。

日本で使用されるべきエネルギーの優先順位は最上位が質の良い太陽光発電をはじめとする自然エネルギーで、最下位が質の悪い原子力発電である。その他のエネルギーがこの中間に位置すると考えるべきである。

なぜ原子力発電が質の悪い最下位のエネルギーかというと、事故が起きた時に広範囲に放射能汚染の危険があるからである。実際に福島の原発事故の例を見れば一目瞭然である。また、今なお放射性廃棄物の実用可能な処分方法が確立されていない。我々日本人は経験しているのである。

ところで九州電力は川内原発を再稼働する暴挙を行ない、川内市は容認した。九州電力と川内市は福島のような事故は起きないと考えているようだ。九州電力と川内市は金儲け主義に陥ったようである。田中俊一原子力規制委員長は「原発が絶対安全ということは申し上げない」(5日の東京での記者会見)と述べている。新基準ができたからといって原発事故が起きないという保証はないということである。これは福島のような原発事故がまた起こりうるということである。

また日本は火山国であり、地震国である。鹿児島には霧島や桜島などの火山活動を行っている山もある。それに海にも面している。九州電力川内原発で福島のような放射能を出す原発事故が発生したら、鹿児島だけでなく、九州全体に放射能汚染が広がることは容易に想像がつく。九州の美味しい農産物、魚介類が食べられなくなるのだ。

九州電力と川内市は実際に原発事故が発生したらどうするつもりなのか?原発事故に対するきちんとした対策がないのに、原発を再稼働するのは無責任というほかない。原発の再稼働はただちに停止し、廃炉にすべきである。原発のかわりに安全性の高い太陽光発電などの自然エネルギーに切り替えることが美しい自然に恵まれ美味しい農産物、魚介類を食べることができる日本を存続させるカギである。(2015813)

 
 
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